2017/5/10

既存政党の終わり・・・混迷する民主主義  時事/金融危機
 

■ 無所属の大統領?! ■


フランス大統領選挙でマクロン氏が勝利した事で、「無所属の大統領」が誕生しました。

近年フランスでは社会党(PS)と共和党(UPM)の2政党の間で政権交代が行われていました。オランド前大統領はPS。サルコジ元大統領や、シラク大統領はUPMを支持基盤としていました。

とこらが、今回のフランス大統領選挙では、この2大政党の候補が負けてしまい、無所属のマクロンと極右のルペンの決戦投票となってしまった。


■ 既存政党が国民の声を代弁し得ない時代 ■


フランスは伝統的に民主社会主義の傾向が強く、集散を繰り返しながらも政党政治の時代が続いていました。不満を持つ国民の多くは社会党を支持し、それに対抗して中道右派が集まっていたのが共和党です。

共和党の前大統領はサルコジ氏ですが、彼は新自由主義的政策を推進し、その結果フランスの民主社会主義的伝統は薄まります。しかし、リーマンショックによって新自由主義の矛盾が明らかになると、国民は社会党のオランド大統領を選出します。

しかし、過去の過度な社会主義政策によって財政がひっ迫し成長力が低下した経験から、オランドは極端な社会主義的は政策は取っていません。むしろ「EUの寛容主義」を推し進める形で、移民政策に理解を示しています。

一方、単純労働はどんどん移民に奪われる形で、貧困層や若者の失業は高まり、彼らの間に政府に対する不満が高まります。本来ならばこれらの層は社会党を支持するはずですが、「移民問題」の意見の相違によって、移民排斥を訴える「国民戦線」への支持が高まって行きます。

新自由主義への抵抗から共和党も支持がの伸びず、一方、移民問題から社会党も支持を集められない状況で、フランでは既存政党への支持率が低下して行きました。

■ 「移民排斥」の旗を振りながら、反グローバリズムを目指す国民宣戦 ■

フランスでは近年、極右の国民戦線が急速に支持を拡大して来ました。今回大統領選に敗れたマリーム・ルペン党首は国民戦線の創設者のジャン・マリー・ルペンを父親に持ちます。

ルペン(父)が登場した時は、移民排斥などを訴える彼にマスコミは「極右」というレッテルを貼りましたが、彼の発言を丁寧に追うと、彼は反グローバリゼーション的は主張を繰り返しています。アメリカのリバタリアンのロン・ポールの発言に近い。

確かに国民戦線の支持者には過激な移民排斥主義者も多く、彼らは移民によって職を奪われた事に怒りを覚えています。

EUの移民受け入れや、労働市場の開放は表向きは「EUの寛容主義」の様に受け止められていますが、その実態は「易い労働力の確保」を目的としたグローバリズムに過ぎません。先代のルペン党首はこの事に自覚的で、フラン国民の利益を守る為には、反グローバリズムが必要と考えていた様です。

ただ、支持率を高める為には煽情的な演説や、過激が主張が必要で、彼はこういった「仮面」を被っていただけだと私は妄想しています。


■ 「消去法」と「新しさ」で勝利したマクロン ■


本来は共和党候補と国民宣戦の戦いとなると思われましたが、そこに割り込んだのが無所属のマクロン候補です。

彼は経歴からも分かる様に新自由主義側の人物ですが、39歳という若さは有権者に大きくアピールしました。二大政党の候補が「新しさ」をアピール出来ない中で、ルペンへの批判票がマクロンに集まってしまった・・。

結果、ルペンとマクロンによる決戦投票となった訳ですが、「極右の台頭を阻止しなければいけない」というリベラルの票をも集める形で、マクロン新大統領が選出されます。

サルコジやオランドらは早々にマクロン支持を表明し、既存政党は「勝馬に乗る」戦略に切り替えます。

■ 結果としてルペン支持は高まって行く ■

移民は新自由主義者にしてみれば「安い労働力」です。一方、リベラルは立場上、移民に寛容でりつづけなればなりません。結果として、マクロン候補が共和党と社会党の混成政権を結成したとしても、新政権は移民には寛容であり続けるでしょう。

一方、フランスではイスラム系の移民が増え続け、国家の中にイスラム系のコロニーが散在する様な状況になっています。リベラルの人達ですら、移民には複雑な感情を向けているはずです。


新自由主義的な大統領を頂く新政権ですが、寄せ集め政権では大胆な改革も、大胆な経済政策も打ち出すのは難しいハズ。結果的に経済成長が停滞する中で、賃金の伸び悩みや失業率が上昇する可能性は高い。

こうして、次回選挙で国民宣戦の支持率は今回よりも高まっている可能性は否定できません。

■ トランプ大統領の状況に似ているのはルペンよりもマクロン新大統領 ■

移民排斥やフランス一国主義により、トランプ的と捉えられているルペン氏。しかし、状況的には政権基盤を持たない大統領という点で、トランプ政権とマクロン新政権は非常に似ています。

この様な状況を打破する為に、トランプは「国民の支持」を武器に使います。Twitterなどで過激な発信を繰り返し、対シリア、対北朝鮮で「強い大統領」を演じてみせます。

これは「ポピュリズム」以外の何物でもありませんが、かつて自民党内での強力な基盤を持たなかった小泉元首相も、マスコミを味方に付けて「ポピュリズム」を煽りました。

政治的にはアメリカや日本よりも成熟しているフランスですが、はたしてマクロン新大統領は「ポピュリズム」に依存する事を自制出来るのか・・・?


マクロン新大統領がトランプ化するのか、フランス人の政治センスが試されています。

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2017/5/15  10:52

投稿者:人力
へなちょこ侍 さん

まさに「ルペン意外ならだれでもイイ」というの選挙終盤のフランス人の選択だったと思います。それだけルペンに勢いがあった事の裏返しですね。

ヨーロッパでは連立内閣は珍しくありませんが、これ程支持基盤の弱い首長も珍しい。これは世界的に見てもトランプと彼位では無いか・・・。

ネットの時代、選挙はイメージに左右される傾向が強まっていますが、「ルペン強し」というイメージが暴走した結果、「既存政党ではルペンに勝てないかも」という別のイメージが暴走した結果なのかも知れません。確かにへなちょこ侍さんがおっしゃる通り、これもポピュリズムの一つの形なのかも知れませんね。

2017/5/14  7:52

投稿者:へなちょこ侍
来月に実施される議会選挙にて、マクロン氏率いる「前進する共和国」は全議席について候補を立てる予定だそうですが、今後の状況は、マクロン氏の政党が安定した連立を組めるかどうかにかかっている模様です。

小泉さんは確かに、自民党内での強力な基盤を持ってはいませんでしたが、曲がりなりにも自民党というバックボーンはあった訳ですので、「ポピュリズム」に持ち込むのは容易であったと思われます。

しかしながら、マクロン氏の場合は、小泉さんのような後ろ盾がないような感じに見受けられますので、単に「ポピュリズム」に走るのは困難なように感じられます。

但し、ル・フィガロ紙の世論調査において、マクロン氏が公約に掲げた政策への支持を得るため相当な駆け引きを余儀なくされるかも知れない事を多くのフランス国民は歓迎しているようです。

これを「ポピュリズム」と取れば、とにかく大統領決選投票では、ルペン氏以外であれば誰でも良かったのではないかと個人的に思うところであります。

それでは、またよろしくお願い致します。

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