2018/8/17

トルコ危機と世界同時株安・・・石油と金融  時事/金融危機
 

■ トルコ危機で何故、世界同時株安となるのか? ■

トランプが突然トルコを敵視し始めて、トルコ・リラが下落。これを切っ掛けに世界同時株安が発生していますが、イマイチ全体像が掴めません。多くの方にとって、トルコの危機が何故世界中で株安を引き起こすのか理解できないハズ。

アナリスト達は例によって様々な理由を挙げていますが、尤もらしい説明は「トルコの国債をスペインやイタリアなど南欧諸国の銀行が多く保有している」というものです。

しかし、私はトルコの問題は「切っ掛け」に過ぎず、株式市場がリスクに過敏になって来ているのではないかと妄想しています。

トランプの牽制に反してFRBは年内4回の利上げを実施するでしょうし、ECBも緩和制作の縮小に着手します。日銀は口では「安定したインフレ率を達成するまで緩和を続ける」と言いながらも、国債購入額を裏では縮小し続け「ステルス・テーパリング」を絶賛継続中です。

世界の金融市場は今年前半まではリスクに鈍感になっていましたが、そろそろ緩和資金の縮小という事実から目を背ける事が出来なくなっています。当然、リスクの大きな市場から資金は逃げ出し始めます。トルコもその一つに過ぎません。

■ 高金利のトルコリラやブラジルレアル ■

銀行の窓口で「トルコリラ建ての債権ファンド」や「ブラジルレアル建ての債権ファンド」を薦められた方もいらっしゃるかと思います。或いはトルコリラやブラジルレアルの外貨預金を薦められた方も・・・。

トルコリラやブラジルレアル建ての投資の魅力は金利の高さです。トルコの政策金利は最近はでは17.5%程度でした。リラで銀行預金をするだけで、相当な金利が得られます。

一般的に金利の高さはその国の景気を反映します。景気が良く物価が上昇している国ではインフレ率を抑制する為に金利は高くなります。ではトルコの経済が17%もの成長をしているのか・・・答えはNOです。

トルコやブラジルの金利が高い理由は、外国から資金を呼び込む為に金利を上げているのです。逆に金利を下げてしまうと資金が国外に流出し、リラやレアルは為替市場で暴落する可能性が有ります。トルコやブラジルの金利が高いのは、リスクの裏返しなのです。

2013年のバーナンキショックの頃にも新興国通貨が売り込まれましたが、この頃、一般庶民外貨預金に手を出していた方もいらしたので、痛い思いをした方も多かったでしょう。外貨預金は為替変動リスクがあると庶民も学習したのです。

一方、トルコリラ建て債券や、ブラジルリラ建て債券などという怪しい商品も沢山売られています。例えば「欧州投資銀行のトルコリラ建て債券」などというものが有り、17.4%もの金利着いたりします。「債権の発行元が欧州投資銀行ですから安心です」なんて説明されてウ販売されているのでしょうが、高い金利が着くという事は高いリスクが有るという事。これらの商品の抱えるリスクはトルコリラ建て、ブラジルレアル建ての商品であるという事です。要は、リスクの大半は為替リスクなので、これは外貨預金と何ら変わらないリスクを持った商品と言えます。信用度の高い債権でリスクをカモフラージュした実にエゲツナイ商品なのです。

こんなエゲツナイ金融商品が世界で売買されていますが、金利に飢えた投資家達は短期的な利益求めてトルコリラ建ての債券や、トルコ国債に手を出します。南欧諸国の銀行の多くも、金利に吊られてトルコ国債を大量に保有している様です。

これらのハイリスク通貨への投資は、リスクが意識されると最初に売り込まれます。今回はトランプの発言が引き金を引いただけで、トルコ以外にもリスクはそこら中に転がっている事に注意必要です。

■ シリアと共通するトルコの地政学的リスク ■


一方、トルコにはもう一つ重大なリスクが在ります。それは、シリアと同様の地政学的リスクを負っているという事。

中東からのガスや石油のパイプラインはトルコ国内を経由してヨーロッパ諸国に到達します。さらにはロシアからのガスのパイプラインもトルコ国内を経由してヨーロッパに至ります。

例えば、イランからのパイプラインがシリア-トルコ経由でヨーロッパに繋がる事をアメリカは敬遠します。同様にロシアからのパイプラインがトルコ経由でヨーロッパに繋がる事を嫌がります。これはウクライナに似た状況です。ですから、アメリカはトルコをNATOに加盟させ、親米政権を維持したかった。

トルコのエルドアン政権はイスラム回帰的な政策を打ち出し、民主的な政権とは言えませんが親米政権だったのでアメリカとの関係は良好でした。シリア内戦でも、反政府勢力を資金面で後押しし、さらには反政府勢力が油田地帯で手に入れた原油はトルコに持ち込まれ国際市場に流されていました。

ところが、トルコがロシアの戦闘機を撃墜した事件から空気が一変します。プーチンに呼びつけられたエルドアンはビビリまくり、手の平を返した様にロシア寄りの姿勢を示す様になります。これに怒ったアメリカはトルコでクーデターを仕掛けますが、ロシアがクーデター派の通信を傍受してエルドアンは九死に一生を得ます。これでトルコとアメリカの関係は決定的に悪化します。

アメリカはシリア内戦でシリア国内のクルド人勢力に肩入れし始めます。しかし、国内でクルド人のテロに悩まされるエルドアン政権にとっては、これも面白くありません。シリアのクルド人勢力はトルコ国内の勢力と緊密な関係にあるからです。そこでトルコはシリア国内に越境してアメリカ軍の支援するクルド人勢力を攻撃し、これをほぼ制圧します。

実はシリアのアサド政権とクルド人勢力は浅からぬ関係を持っており、アサドはトルコの越境攻撃に政府軍をシリア北部に派遣しますが、トルコとの戦闘は避けています。クルド人勢力がアメリカの手先になっているからです。

この様にトランプのトルコ敵視の背景には、昨今のトルコとの関係悪化が有りますが、もっと根本的な所で、中東の石油支配においてトルコはシリアと同様に地政学的には重要ポイントでアメリカとしては手放したくない場所なのです。

アメリカは自分の意に沿わない中東諸国の政権を戦争やアラブの春を使って倒して来ました。イラクのフセインが、リビアのカダフィーが、エジプトのムバラクが排除されましたが、シリアのアサドの排除には失敗した様です。

結果的にシリアとトルコ、そしてカタールがロシアやイランとの関係を緊密にするなど、中東の政治地図が2分される結果となりました。

■ 金融危機の落としどころとしての中東戦争 ■


ここまでは様々なメディアでも伝わる事実です。でも、このブログは陰謀論ブログなので、その先を妄想します。

これまでの中東の混乱や、トルコとアメリカの対立は来るべき中東戦争の「準備」に過ぎません。仮に、シリアやトルコやイランが巻き込まれる中東紛争が起きた場合、ロシアと中国はこれらの国を支援します。既にシリア国内ではロシアの特殊部隊とアメリカ軍の直接戦闘の様な事も起きていています。

戦闘が拡大し、米軍がシリアやイランに直接大規模な攻撃を加えた場合、ロシア軍は米軍と直接交戦する事態に発展する可能性は低くありません。中国も後方支援するでしょう。これで、アメリカと中露の関係は完全に悪化し、アメリカは中露に経済制裁を課します。

事、ここに至れば原油価格は高騰し、中国からの安い輸入品が立たれればアメリカ国内のインフレは加速します。アメリカに同調せざるを得ない日本も対中貿易制裁に踏み切らざるを得ません。当然、日本国内でもインフレが加速します。

さて、先進国でインフレが加速した場合どうなるか・・・。国債金利が急上昇してパンパンに膨らんだ先進各国の財政は一気に危機的状況に陥ります。特に日本とアメリカはヤバイ。当然、中央銀行が国債の直接買い入れに入りますが、ドルも円もその他の通貨も信用が失われます。こうして、高いインフレ(ハイパーで無くとも)の発生によって、政府債務は目減りし、国民資産も目減りします。そう、国民の資産が国家に吸収されるのです。

問題は、中東戦争の前に現在の金融緩和バブルが弾けるのか、それとも中東戦争が切っ掛けになるのかですが、戦争が不況時の公共事業だとするならば、金融危機の方が先にやって来ると思われます。その責任を誤魔化す為に戦争を利用するのは第二次世界大戦の時と同様では・・・。


こうして、世界は戦争と金融危機によって新し体制に変化して行く・・・これが世界の経営者の常套手段だと私は妄想します。


テスラのイーロン・マスク氏が株式の非公開化をツイートして物議を醸していますが、非公開化を焦る理由が存在するとするならば、米株市場の大暴落を予測している・・・そんな妄想も膨らむ今日この頃です。


毎度、同じ様な事を書いていますが、陰謀ネタが最近少ないので、陰謀好きに皆さんにサービス記事です。


19

2018/8/22  5:57

投稿者:人力
ゆうこ さん

私も4半期決算は株式市場の材料に過ぎず無益だと思います。まあ、都合が悪くなるとルールを勝手に変えるのがアメリカの得意技ですから・・・。

2018/8/22  5:55

投稿者:人力
一ブログ読者 さん

リーマンショック以降の緩和マネーバブルは、新興国の近代化の為の仕掛けだと、東南アジアの建築バブルを直接見て来た私には感じられています。

「新興国の経済成長が世界経済を牽引して、世界経済が新たな成長フェースに入る」というのがリーマンショック直前のデカップリング論の主張ですが、それから10年余りが立って未だ実現していません。それどころか、脆弱性は新興国に累積しています。

世界の累積債務は緩和バブルによってリーマンショック以前の水準を遥かに超えていますが、これが支えられているのは低利の資金が未だに潤沢に提供されているから。

しかし、各中銀がテーパリングに入り、アメリカの金利がジワリジワリと高まって来ると、どこかでリスクが急激に意識され、何かのイベントを機に一気に信用収縮が起こるのはいつもの事。小規模な後退局面は2013年頃から繰り返されていますが、おっしゃる通り、なかなか弾けないのが中銀バブル。

面白いのは、前回の中銀バブルの生みの親のグリーンスパンが盛んに警告を発し始めた事。立場が変われば発言は180度変わる。

2018/8/18  16:47

投稿者:ゆうこ
トランプさんが四半期決算やめようね・・もこれから起こるアメリカ経済の変化を目くらまししようとしているのかと?下種の勘繰りをしてみた

最も四半期やめて半年(上期下期)決算は私は賛成だけど

2018/8/17  16:42

投稿者:一ブログ読者
終わるぞ、終わるぞと言われてもなかなか終わらないの
が中銀バブルの面白さですね。
私は中国とインド、テクノロジーが成熟するまでは中銀
バブルが続くと見ています。日銀は最低あと10年は国債
を買い続けるはずです。
中国やインドで人口と供給力の過剰が、西欧や日本で貨
幣の過剰と潜在成長率の洒落にならない低下が問題にな
った段階で、何かが発動するはずです。それまでは今の
状況が続きそうです。
今のアメリカは、さっさと小規模な新興国危機でも起こ
して、また緩和局面に逆戻りしようとしているようにし
か見えません。

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