「きめる!センター数学 T・A(学研)」
徒然レビュー
新課程版になって生まれ変わったセンター対策本。とにかく「読ませる」内容
「きめる!センター数学」T・A(学研)
学研のシリーズ「きめる!」に数学もついに登場。今回は代ゼミの浅見(あざみ)先生を著者に迎えて旧課程版とは別モノに仕上げてきた。ただ単にマーク式の問題を扱って丁寧に解説するだけでよかった時代から、参考書づくりも予備校の授業も進化したひとつの証拠と言ってもいいだろう。
本全体の構成は、前半の「基本事項編」と後半の「実戦編」に分かれており、前者はセンターの過去問の一部を取り出したもの、後者はまるまる1問の大問を主に扱っているが、予備校の授業で言えばそれぞれ前期、後期に対応していると思われる。また、目標レベルを得点率でレベル60/80/100に分けて、何点とるにはどの小問まで正解すべきかの目安も示している。予備校にはセンターリサーチで小問ごとの正解率をまとめたデータがあるので、そのへんが根拠になっているのだろう。昨今の受験生がこういう情報を喜ぶことを、著者をはじめこの本の作り手はよく知っているようだ。
基本事項編も(このレベルの本にしては)かなり詳しく導入してあるが、実戦編の解説がとにかく読ませてくれる。まずは、いわゆる赤本に載っているような正統的な解答を紹介し、そのあと、公式の使い分けなど問題を解くうえで差がつく部分を「レベルアップ講座」としてフォローしている。さらに何問かの問題には別解がついているのだが、数学Tでも数学Uの知識を使って解いてもよいなどの正統的なものから、この問題は予想でマークしようなどセンター独特の解法(?)までバランスよく意識している。授業でこういう話が聞けると、生徒も「やっぱり予備校の授業は違うなあ。受けた甲斐があった」と感じるのではないか。
少々余談になるが、筆者自身もたとえば浅見先生のような予備校講師になりたかったことがあったので、そのときにどうすれば生徒の満足度を上げることができるだろうと考えて(いや、ただ単に悩んで?)いたことの「解答例」を今になってこう見せつけられてしまうと、妙に納得するやら悔しいやら、複雑な思いである。
難点ではないが、使用上の注意をあげるなら、やはり初歩的な演習量が(この本だけでは)不足すること。「基本事項編」の例題にすら歯がたたないか、解法を理解するのがやっとという生徒さんは、教科書レベルの練習を積んでから取り組むべきだろう。