「理系(/文系)数学の良問プラチカ(河合出版)」
改めて定番書レビュー
ペースメーカー的用途に適した演習書。本格的な過去問演習と並行して取り組む
「理系(/文系)数学の良問プラチカ」(河合出版)
【評価】※1〜10の10段階評価
文系数学T・A・U・B:8
理系数学T・A・U・B:8
理系数学V・C:6
時期を気にしてあせって取り組む:3
難関大志望者には過去問演習の前段階に、中堅国公立大志望者には過去問演習と並行して使える演習書。文系学部志望であっても、数学で稼ぎたい人には「理系T・A・U・B」を薦めるが、数学Uの微積分など文系数学の花形といえる分野ではやはり「文系T・A・U・B」が強く、この部分だけとれば「理系」より歯ごたえがあるかも知れない。定番の部類に入るが、相応の予備知識は必要になってくるので、覚悟のうえで取り組みたい。
収録問題がすべての分野からまんべんなく収録されており、本番で差がつきそうなところをうまくとってきているので、バランスよく中身の濃い演習ができるのが特徴。過去問だけだとどうしても志望校の頻出分野に偏ってしまうので(もちろん頻出分野の演習も大切なのだが)、それを補う意味でもこの本をうまく使ってもらいたい。解説は昨今の参考書を見慣れた生徒さんには若干そっけなく映るかも知れないが、とくに「文系T・A・U・B」には基本事項の確認や導入もついているので、しっかり読みながらノートに答案を作ってほしい。
あえて問題点をあげるとしたら、(これは河合出版の本全般にいえることかも知れないが)同じシリーズでも本によって対象レベル・難易度に差がみられること。文系と理系で難易度・解説に差があるのは当然としても、「理系T・A・U・B」に比べて「理系V・C」が格段に難しいのは見過ごせない。極限分野に難問が多いこと、解説が発展事項やチャレンジ問題の提示に傾いていて導入がそっけないことなどが原因か。もし両方使うなら前者→後者の順にする、後者を使う前にたとえば「理系入試の最速攻略」数学V・C(文英堂)のような導入書をはさむなど工夫したい。
【基礎知識】
入試精選問題集というシリーズの数学編という位置づけで、「文系T・A・U・B」「理系T・A・U・B」「理系V・C」の計3冊からなる。レベル的には「青チャート」(数研出版)、「1対1対応の演習」(東京出版)あたりで一定の見通しを得て、過去問演習にも入っていけるようになった人が主対象であろう。
問題数は「理系T・A・U・B」で150問、「理系V・C」で77問。大まかな分野別に分かれてはいるものの、一部融合問題も含まれるので、教科書学習時には触れにくい。最初は苦労するだろうが、タイトルどおり良問が多いので、ある程度慣れるまで繰り返し学習して欲しい。
類書として、同じ河合出版の「やさしい理系数学」「ハイレベル理系数学」があるが、「文系T・A・U・B」と「理系T・A・U・B」で中心になる問題の難易度が前者、「理系V・C」で中心になる問題の難易度が後者に近い。
※05年11月14日「徒然レビュー」執筆分より加筆修正