「解法のプロセス」の改訂版。到達レベル・網羅性ともに高いが分量も多い
「数学標準問題精講」T・A/U・B/V・C(旺文社)
【評価】※1〜10の10段階評価
総合:7
センターレベルに早めにメドをつけてじっくり取り組む:8
時間のない生徒さんが高3の2学期ごろから慌ててやる:4
いわゆる入試基礎レベルまでをマスターした生徒さんが、もう少し広い範囲を学習したいときに使える演習書。とくに教科書学習時に「黄チャート」などの中級者向けの参考書を使っている人の場合、上級者向け参考書にしか載らない例題や節末・章末レベルが手薄になる。学校の授業内容に飽き足らない人は、この本をしっかり使い、教科書レベルの確認もしながら、模試や入試で差がつく部分をうまく補っていきたい。
ただこの「しっかり使う」という部分が意外と難しいように思う。全体的にひねった問題が多くなるのは本のコンセプト上仕方ないにしても、そこにさらに何問かに1問の割合で「重たい」問題も混じるからだ。要するに、教科書学習のあとをフォローしつつ中堅までの国公立などの志望者を主対象にするのか、それとも旧帝大レベルや私立でも難関と呼ばれるところの志望者を相手にするのか、はっきりしないのである。あくまで筆者の私見だが、後者の志望者は、このレベルの演習をもう少し軽めの本で済ませ、同じ出版社でいえば「極選」(旺文社)(→
http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/590.html)などの本でもっと「高級な」問題・解法に触れて欲しい。
構成面でいえば、けっこうな例題数があるにもかかわらず、種別(基本例題・応用例題)に分けるなど使用者に取り組む問題を選ばせるための工夫がないことが残念。問題の難易度・サイズを考慮して3段階ぐらいに分け、教科書レベルの確認問題は章の最初にまとめる、この本で中心となるレベルはこのまま、さらに章末に大きめの問題をいくつか扱ってしっかり解説する、といった構成にして欲しい。いろいろな問題に触れて欲しい気持ちはわかるが、ただ問題を並べて「はい、やってみよう」では、今の生徒さんは動いてくれないと思う。
【基礎知識】
旧課程時代に「解法のプロセス」シリーズとして親しまれていた演習書の新課程版。他教科で「標準問題精講」というシリーズが定番になっているが、そのシリーズに編入された格好になっている。収録問題は基本的に焼き直し、一部差し替えといった印象だが、すでに定番としての地位を確立している本なので、指導者や先輩に薦められて使っている人も多いことだろう。
教科書的な分野別に分かれた章立てで、1ページもしくは見開き2ページで1つの例題を解説し、そのあとに練習問題が1題〜3題程度つくという構成。例題の問題文のあとには「精講」として指針が書かれていて、講義調参考書ほどではないにしろかなり詳しいほう。(解法のプロセス、といわれるゆえんである)。
例題にあたる「標問」がU・Bで157題とかなり多く、入試基礎レベルの確認問題的なものから標準以上の問題まで幅広い。さらに、いくつかの例題には「演習」もつく。その分もちろん網羅性は高いわけだが、この分量にどう立ち向かうかが、使い方・評価の分かれ目であることは間違いない。
【リンク】
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※リンク先の内容は東方で確認済み。類書とお間違えにならないよう十分にご注意ください!
※05年11月22日「徒然レビュー」執筆分より加筆修正