「大吉巧馬のゼロから始める入試対策 数学V・C(中経出版)」
徒然レビュー
再導入向けの演習書?基本からかなり難しい内容まで扱う
「大吉巧馬のゼロから始める入試対策」数学V・C(中経出版)
いきなり問題の解説に入るということをトコトン避け、言葉を尽くして基本事項や問題の解法(やや発展的なものも含む)のイメージを強調してから例題を扱うというコンセプトの演習書。
見開きで1つの「パターン」(テーマ)を扱う構成になっており、数学V・Cの内容があわせて75パターン。それぞれ左ページに講義調をとりいれた導入部があり、右で「例題」を解説、さらに右下には「類題」が設けられていて、類題の解答が別冊になっている。
著者は河合塾・東進衛星予備校講師の大吉巧馬先生。東進ブックスからトレーニング系演習書のシリーズも出されている。
さて、確かに1つ1つの内容はかなり初歩的なところから丁寧に解説されているが、疑問に感じたのは本全体にわたる「流れ」。全体として、バラバラに書きためたネタを問題数などを適当に考えてただ繋ぎ合わせただけの印象を受ける。入試基礎レベルまでの定着に絞るか、さもなくば同じ出版社の本なら「奥平禎の理系数学頻出テーマを攻略する本」のようにやや高度だが知っていると得する内容を扱いたいのか、はっきりして欲しかった。もし、部分積分の裏ワザ的な解法をはじめ、「テーラー展開」や「スペクトル分解」「固有値と固有ベクトル」といった教科書に載っていない内容をメインに扱いたいのなら、それぞれの導入が1ページ、「例題」の解説が1ページ弱では到底足りない。
生徒さんは、この本をどういう場面で、何の用途をメインに使うのだろうか?あえて考えるなら、進学校に在籍していてかなり難しい内容まで習ってはいるが十分消化しきれていない人が、もう一度初歩から噛み砕いた説明を読み、もやもやとしていた内容をストンと落とすような用途か・・・そして、確かに筆者の周りにもそういう生徒さんはいるのだが。