「おさらい!高校生のための中学数学(中経出版)」
徒然レビュー
必要に応じて中学内容に戻りながら主に数学T・Aの教科書レベルの確認ができる
「おさらい!高校生のための中学数学」(中経出版)
中学内容・高校内容の枠組みにとらわれず、とくに高1の生徒さんがつまずきやすいであろうポイントを、いくつかの問題を通じて丁寧に「再導入」してくれる本。必要に応じて中学内容にまで戻るのが特徴。中学内容から復習すべき人も、本当に中学生向けの本を使うと高校入試独特の内容が入ってきて重くなってしまうところを、高校内容に置き換えて本としてのボリュームを保っている。
分野ごとに章に分かれていて、問題文の提示→基本事項の復習→問題の解説という流れで進んでいくが、やはり特徴は真ん中にあたる「中学の数学から思い出そう!」のコーナー。章によって中学内容か高校内容か区別がつかない部分もあり、本来はタイトルとしてよろしくないのだが、前書きには「一部高校で履修する内容を含む」とあるし、章ごとに中1、中2、中3、数T、数Aとマークをつけて区別してあるので大目に見るべきだろうか。やはり、中学時に苦手をかかえたまま高校内容に入ってしまって困っている高校生が主対象。中高一貫校であれば中2の終わりから中3にかけての弱点教科・予習用、中2で余力のある人には基本事項の先取り用としておすすめしたい内容だ。
さて、本の内容については誤解を生む恐れが強い。タイトルで「高校生のための中学数学」とうたっている以上、高校数学だけで構成される「三角比」という章が入っていていいものか。三角比の導入部分に「中学数学から思い出そう!」という見出しがついていることには、正直言って違和感を感じる。扱うなら三平方の定理で三角形の面積の求めた方を扱ったあと、三角比で学ぶ正弦・余弦定理を使うと補助線を入れなくて済むなど、もっと関連分野とリンクさせつつ、ウェイトとしてはあくまでオマケ的な扱いにとどめるべきではないだろうか。逆に、立体図形の切断や回転体など、中学内容だけで完結するが高校内容を学ぶうえでの下地になるところをしっかり扱っているのは嬉しい(本のコンセプトにも合っている)。内容面はもっと洗練すべきだとは感じたが、こういう本にニーズがあるのは確かなので、生徒さんが何を求めているかも含めて、いろいろな本が出てくる中で見ていきたいと思う。