定番書であることは認めるが、それだけに言いたいことも山ほどある
「青チャート」(数研出版)
【評価】※1〜10の10段階評価
−総合:5
−基礎から学ぶ人向け:3
−中級者が「重要例題」メインで使用:7
−学校で使っている:指導者しだい
(持たされているだけ:論外)
率直に言うが、スタートレベルと到達度レベルのギャップがありすぎて、やりたいことは分かるが全体として破綻している。
この本を語るうえで「網羅性」(教科書学習時に重要である問題、演習で差がつく問題をいかにもらさず収録してあるかということ)は決して外せないポイントだが、例題だけでもかなり多いし問題によって難易度にかなりバラつきがあるので初学者が頭から解いていくのは無理。逆に、教科書内容をある程度押さえてしまった人にはムダが多くなる。付け加えるなら、この本の「重要例題」レベルを中心にやりたい人には「1対1対応の演習」(東京出版)という本があり、そちらの方がまとまりが良い気がする。少しだけひねった問題を集中的に演習したいという人にも「チェック&リピート」(増進会出版社)という選択肢があり、今となってはこの本で学ぶ必然性は思いあたらない。定番書ではあるのだが。
「まず授業と並行してやるならここからここまでは押さえようね。そのうえで、こんな問題やこんな問題にも触れて、最後にこれにチャレンジするぞ」・・・そういう流れを無視し、ただ例題を並べ節末・章末に問題を固めただけの「やっつけ仕事」的印象はぬぐえない。学校採用で突飛な問題を解説、いやそれより「解き進め方」を指導者側でフォローしてくれる、もしくはすでに持っていてどうせやるなら本を増やしたくないという限定でしか薦めない。
何か1冊持ちたいというとき、「赤は随一の網羅性を誇るが実用性に乏しい。黄では内容的に不足。名前からして青ぐらいかな」・・・そんな消去法的な考え方でこの選択肢に落ち着いてしまうことが多いのもまた事実だが、何とかしたくて仕方がないところ。
【基礎知識】
いわゆる「網羅系」の定番として幅広く使われている。白・黄のチャート式が旧課程時代の焼き直しであるのに対し、この「青」は新課程版を新編集で出してきた。基本+補充の例題数だけを見れば「黄チャート」(数研出版)に多少毛の生えた程度だが、重要例題まで含めて教科書学習時にマスターできる人は少ないはず。節末・章末の演習問題の数が多いのは、例題に採用できないが載せないともったいない的発想で詰め込んだからと思われる。問題を分けることで分かりやすくするというのも参考書の使命のひとつであることを、筆者自身、この本を見ていて強く認識させられた。
和田秀樹氏の提唱になる「暗記数学」と何かと結びつけられやすい本でもある。
正式名称は「チャート式 基礎からの」であるが、一般的に「青チャート」で通っているので、当レビューではこちらの呼称を用いる。
【リンク】
新課程版「青チャート」が買えます。
※リンク先の内容は当方で確認済み。旧課程版とお間違えにならないよう十分ご注意ください!