本格的な過去問演習の前段階用。難関大志望者の定番だが、相応の予備知識が必要
「大学への数学 1対1対応の演習」(東京出版)
【評価】※1〜10の10段階評価
−総合:7
−「自称」でなく十分な基礎知識を得た難関大志望者:9
−「青チャート」の重要例題等と並行して使う:8
−数学の得意な友人の話を又聞きして手を出す:2
難関大を目指す受験生の皆さんに、教科書〜入試基礎レベルで止まらず「早めにこういう問題に触れておいて欲しい」と思える内容・解法が一通り網羅された演習書。とくに「2次関数」分野の選題にみられるように、通常の参考書や学校・予備校の授業で扱い&理解に差が出るところを集中的に補う用途に使って欲しい。12年度からの新課程に対応した「新訂版」も早々に発売され、教科書をひととおり学んだらすぐにでも取り組める。
この本の古いシリーズよりはだいぶマシになったが、「使い手を選ぶ」という印象は依然としてある。収録問題の性格上、中途半端な実力で背伸びして使うと、どの問題にも歯が立たず挫折してしまうし、実力的には十分でも、見たことのある問題にしか取り組めず、解法を覚えるだけになってしまう人には苦しい。いわゆる網羅系の例題を8割以上マスターしているのは前提で、さらに数学に対する苦手意識をなくしたうえで取り組みたい本である。分野にもよるが、教科書や一般の参考書と異なる解説をしている箇所が一部あるので、身の周りに質問できる指導者や友人がいればなお良い。
そこそこの大学の入試問題を何となく集めただけという本が多い中、先を目指したい受験生のニーズをよくとらえているとは思う。対象レベルや編集コンセプトからして難しい面もあるが、必要以上に敷居の高さを感じさせないよう、選題面にも解説面にも気を配った本づくりを引き続き求める。少々余談になるが、この「1対1」と同じレベルと選題で、解説に講義調を取り入れるなど、もう少し噛み砕いた感じの本が欲しいと思うことが多い。
【基礎知識】
難関大志望者が入試問題演習の前に使う演習書として定番の地位を得ている演習書。教科書学習を終え、網羅系をひととおり仕上げた終えたあとの力試し(アウトプット)用として、余裕があれば高1(一貫校なら中3)から取り組める。
教科書における分野別の章に分かれ、各章は要点の整理と「例題」「演習題」からなる。入試レベルの例題に類題が付いているのが最大の特徴で、「1対1」のネーミングの由来にもなっている(はず)。この形式のおかげか、東京出版の他のシリーズに比べて様々な教材からの接続が容易。ただ、解説は好みが分かれるようである。
基本のラインナップはT/A/U/B/V/Cの計6冊。特に「B」にはそこまでの知識を融合して解く問題を扱った章があり目を引く。
【リンク】
$ 新課程対応「新訂版」(12年度〜)数学T/A
$ 現課程版数学T/A/U/B
$ 現課程版数学V/数学C
※06年1月10日執筆分をもとに再構成