勤務校で実施している新中1生対象の講習会も3回が終了。あと2回を残すまでとなりました。今日は、第2回の内容を書き起こしてみます。図がなくてわかりにくいところが多いのですが、ご容赦願います。
第2回:「コピー用紙の秘密」
(まず最初に、白紙のコピー用紙を1枚ずつ配りました)
さて、いま配ったのは・・・紙です。普段からよく見慣れている紙です。小学校でも、塾に行っていた人は塾でも見たことがありますね。実はこの紙には名前がついているんです。知っていますか?「コピー用紙」・・・そうですね。お店でコピー用紙を買ったことがある人は知っているかも知れませんが、実はコピー用紙の大きさには呼び方があって、皆さん「A4」とか「B5」とか、聞いたことがありませんか。そうです、あれが紙の大きさを表す名前なんです。
さて、皆さんがよく使っている紙は・・・だいたい3種類です。今皆さんが持っているのがB5。大学ノートと同じ大きさです。あと、大きめのプリントで使っている紙はB4、ノートを開いた大きさです。逆にB4を2つに折って切るとB5になるんですよ。これとは別にA4という紙もあります。A4は新聞広告なんかでよく見かけます。あと、皆さんが持っている教科書です。大きさは主に2種類あると思いますが、小さい方をA5といいます。A5はA4の半分です。
・・・だんだん規則がわかってきましたか?ということは、B4の2倍がB3、B3の2倍がB2、B2の2倍がB1、じゃあB1の2倍は・・・もうこの黒板よりも大きくなってると思いますけど・・・そうB0です。
ということは、小さい方もありますよね。いま配ったB5の紙を半分にしてみましょう。こうすると?・・・そうB6になります。このうち1枚は使いますから残しておきましょう。もう1枚のB6をさらに半分にして、B7を2枚つくりましょう。同じように、そのうち1枚を半分にしてB8をつくります。さあ、いま皆さんの机の上には、ノートのB5も合わせれば全部で4種類の紙がありますね。出来上がった4種類を見ていて、何か気づくことはありませんか?
・・・。
わかりましたか?実はこれらの紙、みんな「相似」なんです。たてと横の長さの比が、ずっと変わらないんです。すごいでしょ?・・・あれ、「えっウソ?」と疑っている人がいるみたいですね。それなら、相似になっていることを納得してもらわないといけませんねえ。どうしますか?
*** 「定規で長さをはかる」
もちろんそれでもOKですけど、たて:横の計算を4回しなくてはなりません。面倒くさいから今回はパス。それ以前に、今回は定規を持ってくるように言わなかったから、持ってきてない人もいます。
*** 「並べる」
これなら出来そうですね。どう並べますか。・・・ええと、全部の紙を横向きにして、左下を揃えるんですね。なるほど。すると・・・?ほらほら、紙の右上の部分どうしが、一直線に並びましたよ。これを見たら、B8をたて横同じ割合で拡大したらB7、B6となっていくことが納得できたでしょう。面白いですね。実は、A4やA3の紙も同じ性質をもっています。他の紙で皆さんがよく目にするものに新聞紙などがありますが、同じことが新聞紙でできるかどうか試してみたところ、うまくいきませんでした。どうやら、コピー用紙のたての長さと横の長さの比には、特別な秘密がありそうです。
今ここに、B0の紙のたてと横の長さの載った資料があります。言いますね。長い辺の長さを短い辺の長さで割ってみましょう。私もやってみましょう。すると・・・約1.41になります。この「約1.41」という数に秘密があるようですね。
※ 以下、長方形の頂点にA〜Dの名前をつけて(ABとDCが短い辺)説明します
実は、これがどういう長さなのかということを、皆さんに納得してもらおうと思って、私自身、いろいろな方法を考えましたが、その中で最もわかりやすいだろうと思われる方法を、今から皆さんに試してもらいます。この長方形を角Bで折って、頂点Cが辺ADに重なるようにしてください。この状態で、ABの長さとACの長さを比べるのです。今度は角Aを45度に折って、辺ABを辺ADに重ねるようにしてみます。すると・・・?
・・・おっ、こんどは頂点Bも、Cと同じ場所に重なってしまいました!
そう、三角形ABCは二等辺三角形・・・角Aは直角ですから、そう「直角二等辺三角形」とわかりました。ABの長さを1としたときACの長さが約1.41でしたね。長さ1の直角二等辺三角形の斜めの辺の長さが約1.41になるということです。もっとわかりやすくするために、これと同じ紙を4つ作って並べたところを考えます。すると、斜めの辺で正方形をつくることができます。この正方形の面積は、ひし形の面積の公式を使えば、2×2÷2=2と求まります。そう、さっき皆さんに計算してもらった1.41は、
*** 面積が2の正方形の1つの辺の長さ
なんです!!この数、紙以外にもいろいろなところで使われる数で、こまかく計算していくと、1.41421356・・・といくらでも数字が続いていくのですが、毎回1.4142・・・と書いたり電卓で打ち込んだりするのは大変なので、特別な記号を使って表します。聞いたことあるでしょう?・・・そう「ルート」です。「√」という記号を使って、√2と表します。面積が2、になる正方形の1辺の長さなので、√2です。検定教科書では中3。勤務校の皆さんは遅くとも中2、早ければ中1の後半で正式に習います。
実は、こんなふうに紙の規格を決めたのは、じつは日本人なんです。すごいでしょう。どうしてこういうことを考えたかというと、それは紙屋さんの立場になってくれたらわかると思います。もし、紙を買う人がてんでバラバラのサイズで注文してきたらどうしますか?大変でしょう?倉庫には大きい紙があって、それより小さい紙を売るときは紙を切っていくことになるのでしょうが、10000枚くださいって注文を受けて、何時間もかけて切ったのに、注文が取り消しになったり途中でサイズが変更になったりしたら・・・大損ですよね。「訴えてやる!!」とか○○弁護士に相談しないといけなくなったりして。でも、みんながもし同じサイズの紙を注文してくれるのなら、紙屋さんは困らないし、注文がくる前から紙を準備しておくこともできるようになります。みんな得をするんです。このお話、私も別の先生から聞いて知ったんですが、なるほどと思いました。
ルートの記号はほとんどの国で中学までに習いますが、それを使って紙のサイズを決めるというのが
*** 数学を生活に役立てる
ということです。皆さんは、ただ単に授業で先生が説明した内容を覚えたり、入試の問題が解けるようになるだけでなく、社会に出てからそこで得た知識や知恵を生かせるようになって欲しいのです。それを言うのに、今回の講習会はちょうどよいチャンスだと思って、この話をさせてもらいました。
これで今回のお話はほとんど終わりなんですけど、おまけでもう1つ。単に元の紙と2つ切りにした紙が相似になればいいのなら、1:√2ならどんなサイズでもいいはずです。1mと1.41mなんかにした方がわかりやすいはず。なぜ「この」大きさなんでしょうか?
実は、さきほどB0のたてと横の長さを教えてあげましたが、今度は割り算ではなく、かけ算をしてみてください。およその大きさが重要なんですけど、何かきっちりした数に近くなりませんか?かけ算の結果、単位は平方ミリメートルになりますから、単位も別のにしましょう。すると・・・そう、
*** 1.5平方メートル
になります。長さでなく、面積がきれいな数字になるんですね。さ〜っすが日本人はたいしたものだな・・・と私は思うんですけど、皆さんは今の話を聞いてどうですか?昔、日本が貧しかったころ、日本人はこういう知恵で、国全体を成長させてきたんだなあということが、こういうことからもわかります。皆さんは、日本をどこへ導いてくれるのでしょうか。楽しみにしています。
(問)B4のコピー用紙とA4のコピー用紙を1枚ずつ用意します。定規で辺の長さを計ったりせずに、長さが同じになる部分を探して、2つの紙の面積比を求めてみましょう。
※ 純粋に中3の知識を要するので、今回の授業では扱えませんでしたが、面白い問題です。実は、B4の紙の長い方の辺と、A4の紙の対角線がぴったり重なります。
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投稿者: 水野 健太郎(理事会)
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