「講習会(第3回)・・・+α」
数学トピック&PDF教材
勤務校の新中1生を対象とした講習会の第3回(といっても、実施したのはもう1週間ほど前のことになるのですが・・・)。今回は、「最後の算数の授業」と称して今までの算数の知識を用いて解けるクイズのような問題を出題しました。ここでそのすべてを再録することはしませんが、ひとつだけ気になることがあったので、それについて書かせてもらいます。
何問めかに、こんな問題を出題しました。
$ 「1つの頂点から10本の対角線がひける多角形は、何角形ですか?」
すると、当初の私の予想に反して見事に解答が分かれてしまいました。「20角形」という誤りもありましたが、さすがにごく一部。明らかに図形認識ができていない生徒さんはほとんどいないことがわかり、少し安心しました。一方、「12角形」という誤りがかなり多くありました。おそらく、対角線を引く→n角形の内角の和の公式公式180度×(n−2)あたりが頭にあり、そのへんから、単純に2を加えるという発想が生まれてくるのでしょうけど・・・。
物事をきちんと考えて、正しい答えを出そうという姿勢。それに欠けている生徒さんが多すぎると(いつも思っているのですが)今回改めて思い知らされました。単に2倍とか、根拠のない公式(?)に勝手にあてはめて、問題を解いたような気になっているだけ。もちろん、もっと緊張感を与えたり解答時間を長くとったりすれば、それだけでも正答率は上がるのでしょうけれど、今回のようにイベント授業やクイズのような雰囲気におかれてしまうと、生徒さんは悪い意味で「頭が切り替わってしまう」というか、途端にその弱点を露呈するのです。
作業などを通じて考えること・・・これを、数学の世界ではよく「実験」といいます。「試行による思考」などとシャレた言葉で表現する人もいます。社会に出てからも大事だし、もちろん大学入試の問題を解くうえでも非常に大事なことなのですが、それができない・・・というより、やろうとしない人が多すぎるのです。
・・・気を取り直して、「復習になるけれど、頂点の個数と対角線の個数の関係をもう1度きちっと考えてみよう」と言い、急遽「解説」をしました。
今回は多角形の頂点の数が分からないけれど・・・。とりあえず何角形でもいい。たとえば6角形で考えてみたらどうか。「主役」の頂点を1つ決めて残りの6−1=5(個)の頂点に線をひく。このとき、主役の頂点の両隣のには対角線をひくことはできないから(対角線ではなく「辺」になってしまう)、1つの頂点からひける対角線の本数は5−2=3(本)とわかる。これをわかったうえで、頂点の数を変えて考えてみる(対角線の「行き先」を増やしていく)。すると、頂点の個数のほうが、いつも対角線の本数より3多くなることがわかる。こう考えると、頂点の個数は10+3=13(個)、つまりこの問題の答えは「13角形」とわかる。
不正解だった生徒さんには「なんだそれっぽっちのことか」という顔をされてしまいましたが、果たしてそれっぽっちのことでしょうか。正解だった生徒さんの中にも単にあてずっぽうで答えを出しただけの人がけっこういたはずですが、正解すればそれで終わりでしょうか。違いますよね。
実はその前に「方眼上の縦4×横4の点を結んで、面積の異なる正方形がいくつつくれますか?」という問題も出したのですが、これは最初に黒板に16個の点を打ち、それをノートに写すように指示していたので、生徒さんは自然と自分で手を動かすことができ、かなり多くの生徒さんが「5個」という答えにたどり着いていました(どんな形になるかは皆さん自身で確かめてください)。今回の問題も「凸8角形の1つの頂点からはいくつの対角線がひけるか」とすればほとんどの生徒さんは実際に八角形をノートに描いて、対角線をひいていたと思うのですが、今回はその図形がそもそも何角形なのかが問題になっていて、いきなり正解の図を描くことが難しい。そこで何をするか。
・・・へたするとそこで1番差がつくんです。
付け加えて、こんな話もしました。
あなたが大学の先生になって、自分の教えた学生さんが大学を卒業して研究者になったり社会人になったりしたときのことを考えてみましょう。ある学生は、自分が一生懸命教えたこと、注意したことをぜんぜん聞いてくれなくて、ちょっと仕事が難しくなるとすぐに自分勝手な方法にたよってしまい、間違いを犯してしまいました。別の学生は、一見ムダだと思えること、目の前の仕事と直接関係なさそうなことでもしっかりとこなし、難しい仕事に当たったときにそこで得た経験・知識を生かしてくれました。このどちらの学生さんを、あなたは教えたいかと言われたら、もちろん後者と答えるでしょう。もし入試問題でそのどちらになるかが分かってしまうとしたら、どうしますか??・・・もちろん完全に分かるわけではないが、そういう問題の出し方もあるんです。
トータルで見て、いろいろな問題の処理法を塾などでトレーニング、インプットしてもらってはきているけれど、カベのようなものも確かにある。特に問題解決という点では非常にバラつきがあり、そういう意味での本当の「トレーニング」をしてあげる役目は、我々中学校の指導者に丸投げされてきているんだなということを、今回の授業で痛感しました。小学生にメネラウスの定理を教えたり、0.57とかいうあやしい定数を教えたりする必要はない。それよりも、まずは座って話を聞き、ノートを書くことを苦にしない生徒さんを育てて欲しい。心からそう思います。
=====
※ 以下の内容は「時節のアドバイス」に移しました。
投稿者: 水野 健太郎(理事会)
トラックバック(0)