「ここからがわからない 入試基礎 数学T・A40題/U・B40題(旺文社)」
徒然レビュー
教科書学習時につまずきやすい問題を集中的に扱っている
「ここからがわからない 入試基礎数学」T・A40題/U・B40題
「(同)CD−ROM講義付」数学T・A40題/数学U・B40題
(旺文社)
※06年8月7日執筆分等をもとに再構成
旺文社FAX数学指導部の過去10年間データの中から、受験生から質問の多かった問題(数学T・A/U・B各40題)に絞って、ヒントにあたる部分から丁寧に解説している。1問の導入に2ページをかけ、予備知識を含めて解説しているほか、巻末の解答では別解を意識して多く収録しており、好感が持てる。
選題は、教科書学習時に授業で扱いにくく理解も分かれやすいが入試では基礎となっている問題が半分、確かに傍用問題集や網羅系参考書の例題でよく見かけるが、突飛さゆえに手が出にくく改めて出題されると困る問題が半分という印象。「ハマると怖い」問題がどうしても中心になるから、時期が差し迫ってきた高3以上の受験生には基本的に薦めない。使うにしても5月の連休までぐらいだろう。逆に、高1・高2生の中間・期末テスト対策には役立つはず。壁を超えたいがイマイチ空回り気味の人、特に進度が速い・宿題が出しっぱなしにされるなどの理由で困っている進学校の生徒さんに薦めたい。
08年7月に発売された「CD−ROM講義付」版では、これに加えて1冊あたり8時間以上の「授業」が入る(ちなみに、本冊自体の内容は書籍のみ版もCD−ROM講義付版も変わらない)。技術的には講師をつとめる村上新先生が自身のサイト(オンライン数学塾aran.jp)でも使われている「PCレター」というシステムをもとにしたもので、WindowsPCの画面にテキスト本文が映され、その横の余白などに動くペンで「板書」が書かれながら音声(おそらく先生の肉声)による解説がなされる。予備校のビデオ授業等と比べてしまうと、講師の動きや表情などが映らないこと、そのためもあって巻き戻し・早送りもしにくいことなどあり見劣りしてしまうが、長さの面では十分であるし、価格も書籍のみ版の倍程度に抑えられていて、良心的。
難を探すなら、やはり巻末の解答部分がやや模範的すぎるというか、全体にそっけない感じがすることだろうか。章末の「練習問題」は本文中の問題よりやや難しめだが、ここに導入があったらさらに良くなったのにと思う。CD−ROM講義付版でもここはフォローされていあかったので残念。8時間もの授業が1枚のCD−ROMに入るなら、配分を考えて全体をフォローすることも出来たはずだ。
講義部分の演出面に関しては、授業者の顔が出ないときは代わりにキャラクターが出てきたり、授業の進み方にシンクロして本文が少しずつ表示されたり画面がスクロールしたりと様々なものが考えられ、進化の余地がある。「授業付き」参考書、これからひとつのムーブメントになっていくだろうか。
【リンク】
※書籍のみ版
※CD−ROM講義付版