「佐々木隆宏の数学の論証力・答案作成力が面白いほど身につく本(中経出版)」
徒然レビュー
教科書学習時に練習しにくい「論理」にスポットを当てた意欲作
「佐々木隆宏の数学の論証力・答案作成力が面白いほど身につく本」(中経出版)
タイトルに惹かれたという人もいるだろう。教科書学習時にはなかなかまとめて学習する機会がないが、あとあと差がつく要素になりうる「論証力」にスポットを当てた本。もともと余力の範囲でやるべき「分野」でもあり内容的に上位向けに偏って当然ではあるのだが、難関大志望者が喜びそうな内容も盛り込みながら、その他の一般の受験生向けとのバランスをうまくとっていると思う。前半で「集合と論理」を初歩から導入し、後半へとつなげる形にしたのも工夫点だと思うが、前半は後半を学ぶ前のウォーミングアップ的な位置づけで、こちらのためだけに買うほどではないだろう。
比較対象として真っ先に浮かぶのが「大学への数学 数学を決める論証力」(東京出版)。あと、図形の通過範囲なども扱っているので「大学への数学 数学ショートプログラム」(東京出版)なども参考にしたい。が、これらはやや古い本ということもあり(「論証力」の初版は平成13年)、想定レベルがやや高い、文章が延々と続くような箇所が目につくなど気になる点が多かったので、一貫校の生徒さんか高2までで数学が非常に得意な人ぐらいにしか薦められず、ずっと筆者は「もったいないな」と感じていた。これらに対抗できる本が出て欲しいとずっと思っていたが、まさかそれが(どちらかといえば「軟派」のイメージがある)中経出版から出るとは驚きだ。
内容的に、数学を得点源にしたい「自称・上位」の生徒さんで、記述の答案づくりに課題を残す人などに見て欲しいが、高2までなら傍用問題集の問題ならほぼ問題なく解けるレベル、受験学年であればせめてセンターレベルにメドがつき、過去問演習の前段階が8割がた仕上がったレベルに到達してから使うべきである。志望校の入試動向を変に聞きかじって「○○が気になる」と悩んでいる程度の人には(かえって負担になってしまうと思うので)薦めたくない。ただし、学習に行き詰って「目先を変える」必要性を感じた生徒さんが期間限定で使うのであればこの限りではない。