以前にも同じようなことを書いていたような気がしますが、改めてまとめておくことにします。参考書に限らないのかも知れませんが、本を選ぶときに各出版社の得意分野やカラーも大きな情報になりうるので、かなり筆者の私見が入りますが一応整理しておきます。
【教科書出版社系】
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数研出版
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長年の歴史を誇る「チャート式」で有名だが、高校数学の教科書とその傍用問題集で最大のシェアを誇る出版社でもあり、好き・嫌いという以前に知らず知らずのうちにお世話になっている人も多いだろう(筆者もその1人であった)。レベル別に赤・青・黄・白の愛称で親しまれている「チャート式」だが、主に使われているのは「青」と「黄」。好みはあるだろうが、初学者向け、中級者向けなどという曖昧な言葉を使うよりも「黄チャートレベルの参考書」と言ってしまった方が通じやすいほどの知名度を誇り、改めてその影響の大きさを感じさせられる。最近は「チャート式シリーズ」として、「入試必携168」など総合参考書以外のラインナップも揃えてきている。
そんな数研出版の本づくりに対してだが、やはりどうしても「学校関係者の方を向いて」作られている印象が先に立ってしまう。節末や章末などに無理矢理(?)入試問題を入れたりしているのは、おそらく現場の教員からもそういう要求があるからだろうが、そういう「欲張った」問題収録が自学自習には大きな障害にもなりうるということを、もっと分かって欲しいものである。そのためもあり、自学自習を前提としている当サイトではこの会社の本を酷評することも多いわけだが、数学参考書全体に対する筆者の「愛」あるがゆえだ、ということにしておく。
ある時期を境に、ほぼすべての本の解答が見やすくなり、解説も詳しくなったが、これは非常に良い傾向。ここが本気を出してくると、他の出版社に対するハードルも上がり、それをさらに乗り越えようと努力する会社もあれば、予備校系を中心に別の個性を出そうとする会社もあり・・・というふうにこの世界全体が活性化すると思うし、実際そうなりつつある。数研出版という「巨人」にその他の出版社が向かっていくという構図は、当分変わりそうにない。
少々余談になるが、数研出版は自社の参考書・教科書・問題集から問題を自由に抜き出してプリントを作成することができる「スタディエイドD.B.」というパソコンソフトも作っている。なかなか出来がよく筆者も愛用しているが、学校としては、他社から解説が詳しい本や良い選題の本が出ても、少々の差では採用図書を急に変えられない一因にもなってしまっているようで、ちょっと複雑な思いがある。
○
文英堂
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初級〜中級向けに強い出版社。各レベルの総合参考書が揃っているが、教科書レベルの導入に強い「これでわかる」と、入試基礎レベルまでがほどよい分量にまとまって使いやすい「シグマトライ」は独自の地位を確立しており、さらに初学者向けを意識しつつも到達点の高い「理解しやすい」、また、07年9月時点で未完であるが、入試で差がつく問題に例題形式で触れられる「考え方解き方」のシリーズも筆者の高く評価する本である。
また、これはとはまったく別系統に、予備校講師を著者に迎えたシリーズもある。「理系入試の最速攻略」「理・医系入試の完全攻略」などがそれ。学校関係者の方ばかり向いたつくりでなく、幅広いレベルの生徒さんを視野に入れた本づくりが光る。
これらを含むすべての本において、紙面は圧倒的に見やすい。スッキリしているだけでなく、賑やかにするところと落ち着かせるところのメリハリがきいていると思う(あくまで筆者の私見だが)。現在は中経出版からの著書の多い坂田アキラ先生の出世作「看護医療技術系の数学[数T・A必出問題の完全解法]」は当初この出版社から発売されたものだった。
○東京書籍
「ニューアクション」シリーズで知られる。教科書会社としても、小学校用から「新しい」シリーズで親しまれており、紙面作りにノウハウあり。全体を通じて、別冊解答の紙面レイアウトが良い。最近のはやや分厚過ぎるが、これは収録問題数が膨れ上がっているため。次の改訂では適正分量に精選して欲しい。
○旺文社
「本質の研究(/解法/演習)」シリーズが柱。「研究」は総合参考書としてはやや毛色の変わったシリーズだが、筆者は個人的に気に入っていて、ファンも多い。解法・演習はそれぞれチャート式における黄・白とレベルと考えたらよい。
他に「ここからがわからない」シリーズなど、別系統といえるシリーズも立ち上げてきており、底力を発揮しつつある?
○桐原書店
英語に良書の多い出版社だが、数学の参考書にもひそかに強い。「即戦ゼミ 大学入試数学頻出問題総演習」シリーズ、「ズバリ攻略!センター数学」など。
○啓林館
高校数学の教科書には強く、おそらく数研出版の次ぐらいのシェアを誇る。総合参考書は学校採用専用になってしまって残念だが、「フォーカスゴールド(/アップ/ライト)」とラインナップが揃っていて、おおよそチャート式でいう青・黄・白のレベルと思ってもらえればよい。
【塾・予備校系】
○河合出版
その名のとおり、河合塾系の出版社。「やさしい(/ハイレベル)理系数学」「医学部攻略の数学」「理系(/文系)数学の良問プラチカ」「新こだわって! 国公立2次対策問題集」など、過去問演習と並行かその前段階ぐらいに用いる演習書に強い。かといって、初〜中級者を意識していないわけではなく、「チョイス新標準問題集」「土曜日に差がつくシリーズ」などラインナップは豊富。
予備校系の中では、シリーズを複数の著者で分担して執筆する場合に収録問題の難易度や紙面構成の統一性がとれているほう。他の出版社から出てくる本を見ていると、この部分が大切で、またいかに難しい仕事なのかが本当によくわかる。
○駿台文庫
駿台予備学校系の出版社。当サイトでは初〜中級向けの「カルキュール[基礎力・計算力アップ問題集]」ばかり薦めている気がするが、本来上級者向けにも強く、「数学の実戦演習」「理系標準問題集 数学」「最高峰の数学へチャレンジ」などのラインナップがある。「受験数学の理論」は、旧「受験教科書」(SEG出版)のリニューアル。
紙面構成など、全体に地味なイメージ。
○東進ブックス
「ハッキリ言って講師陣が自慢です!」で知られる東進ハイスクールの系列の出版社。
「佐藤の数学教科書」「名人の授業シリーズ」など。現課程になってから「佐藤の〜」以外の本が少ない。会社全体として、出版より他の分野(地元の塾をネットワークで結んで授業を配信するなど)に力を入れているからかも知れない。
○Z会出版・増進会出版社
「チェック&リピート」「理系数学 入試の核心」「短期集中インテンシブ10」など。
Z会といえば主に上級者向けの通信添削に強く、筆者が受験生のときからずっと「東大合格者の半数以上がZ会の会員」とうたわれていた。そういうこともあってか、中心はあくまで上級者向けの本のようだが、「チェック&リピート」は一般の受験生も意識した本で、当サイトでもよく薦めている。基礎の確認と言いつつ、ひとひねりした(問題の意味を理解するのが難しい)問題が揃っているのが、いろんな意味で「Z会」的だと筆者は勝手に思っている。
○代々木ライブラリー
代々木ゼミナール系の出版社。
「数学ブリーフィング」など、西岡康夫先生の上級者向けの人気が根強いが、湯浅弘一先生に代表される初学者向け、また「解き方がわかる」など中級から上級へのつなぎなど、各レベルを一応は網羅している。
○マセマ
元予備校講師の馬場敬之(ばば・けいし)先生が中心の出版社。「初めから始める」「元気が出る」「合格!数学」「合格!数学プラス100(/110)問題集」「頻出レベル理系(/文系)」「ハイレベル理系」にセンター対策のシリーズも加え、初学者から上級者までカバーする「マセマ・サクセスロード」なる一大シリーズを構築している。基本は、分野ごとの章に分かれ、簡単な講義のあと例題が続くという形式。「初めから〜」だけは読まされている感じがしてしまうが、他はテンポよく入試レベルまでもっていくという感じ。トコトン丁寧というわけではないが、独特のノリに熱狂的なファンがいる。
表紙を見ると「スバラシク強くなる!」などのキャッチコピーがおどっているが、こういう、いかにも個人企業的かつ自画自賛的な雰囲気が筆者はどうも好きになれない。紙面も全体にゴテゴテしていて(とくに数字の字体がくどすぎる)、派手なのはいいがその中にセンスが感じられない。
○栄光
もともとは高校受験の塾が主力で、この分野に強い出版社だったはずだが、いわゆるカリスマ講師を著者に迎え、「大学合格ドリームチーム選書」として大学受験向けにも手を伸ばしてきた。
「小島の難関大突破」など。
【その他の教育出版系】
○東京出版
「大学への数学」の出版社と言った方が分かりやすいかも知れない。数学が得意で得点源にしたい人、難関大志望者向けの演習書に関しては絶大な支持率を誇る。
「1対1対応の演習」「微積分 基礎の極意」など。
また、「月刊 大学への数学」およびその増刊扱いになる「解法の探究」「新数学演習」「新数学スタンダード演習」など。
同じく増刊扱いだが「今年の入試で合否を分けたこの1題」は本の性格上毎年内容も変わり、筆者のお気に入りでもある。
○学研
「きめる!センター」と同「演習編」など。
○科学振興新社・フォーラムA
「モノグラフ」など。
○研文書院
数学的に興味深い例題に特徴のある「大学への数学」(別名『黒大数』)が有名。当サイトでも、東京出版の同名のシリーズと区別するためにこの呼び方を用いる。
○教学社
「大学入試シリーズ」というより通称の「赤本」と言った方が分かりやすいだろうか。ほぼすべての大学の入試問題を網羅する過去問集が主力で、筆者も受験生のときはお世話になった出版社。赤本以外では、「東大(/京大)の理系(/文系)数学25ヵ年」といって、過去問を分野別に再構成した演習書なども出している。
○聖文新社
「全国大学数学入試問題詳解」という、いわゆる「電話帳」のシリーズを毎年出している出版社。受験生の皆さんがこの出版社のお世話になることは少ないかも?
○現代数学社
【一般書出版社系】
○中経出版
講義調参考書といえばここ、といっても差支えないだろう。旧課程時代は、現在小学館から出ている「細野真宏シリーズ」とほぼ同じものを出していた。現在の主力は初学者向けの「坂田アキラ(/志田晶)の数学が面白いほどわかるシリーズ」で、講義調イコール導入書というイメージを持ちがちだが、最近は「佐々木隆弘シリーズ」「奥平禎シリーズ」で中級〜上級者向けのラインナップも充実してきた。
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