「坂田アキラの三角比・平面図形が面白いほどわかる本(中経出版)」
徒然レビュー
センター試験の三角比の問題を到達点とする講義調の導入書
「坂田アキラの三角比・平面図形が面白いほどわかる本」(中経出版)
もはや「板書調」と言うべきかも知れない。とにかく楽しい紙面構成の講義調導入書であるが、今回は「三角比」「平面図形」を扱っている。
目を引くのは2つの分野の扱いの違いとその配列。主になっているのは三角比で、平面図形(たとえば内接四角形の性質や角の二等分線定理など)はサブ的にあちこちにはさまっているが、これは、現課程のセンター試験で、三角比の問題の一部で平面図形の性質を積極的に使わせる出題がここまで続いたことを受けて、著者(坂田先生)なりに出した答えと考えたい。実は、筆者(水野)も最初からそこに照準を合わせたような導入書が出てくるのではないかとうすうす感じていたが、ここまで徹底してやられると、もはやぐうのねも出ない。
さらに、他書でもよくある三角比と2次関数との融合についても、2次関数の性質をまとめた節を巻末に設けるなどフォローしている。また、定理の証明も主なものは本文中か巻末にある。
このように、センター試験を強く意識した構成となっているわけだが、逆にそれが短所となる場面もある。少し見れば分かるが、個別試験で本格的な平面図形の問題を出してくる大学を受けようと思っている人には明らかに内容不足である。三角比のセンター対策以外は基本事項の導入と求値問題の練習用と割り切り、証明問題の演習は他書で補って欲しい。
さて、中経出版の講義調導入書のシリーズも、これにて一応全分野を網羅したことになる。今後しばらく、他のレベルのラインナップ充実を期待したい。
【余談】
少し前からであるが、中経出版のシリーズには「誤植が多い」という声が聞かれるようになった。紙面構成の特殊性ゆえ誤りのチェック自体が難しいということもあるのだろうが、出版社のサイトでは正誤表をアップするなどフォローはしているので、定期的にアクセスすることをおすすめしておく。
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