受験生の皆さんが今どのレベルにあるかを知りたい。その指標としてよく使われるのが「模試の偏差値」ですね。これを読んでくださっている皆さんも、何度か模試を受けたことがあると思います。そんなわけで、皆さんには馴染みの深い数字といえる「偏差値」ですが、その意味合い、正しい見方が理解できていますか?
最初にごくごく基本的なことを言っておくと、偏差値は50が全受験者の真ん中。数字が大きいほど成績が良く、小さいほど悪いことを示しています。点の出方にもよりますが、おおむね偏差値40から60までに全受験者の7割弱が入ると考えて差し支えないと思います。
さて、注意すべき1つめは、そもそもその模試をどんな人が受けるかによって、偏差値50のラインが動くということ。模試の場合は受ける人全体のことを「母集団」と呼んだりしますが、その母集団の質によって問題・点数は同じでも偏差値は違って出るのです。とくに、高3の初めに受ける模試は、既卒生と一緒に模試をを受けますから、その中で上位をとるのは厳しくなり、高2模試のように対象学年が限られた模試とは成績の出方がまったく違ってきます。模試の種類によっても異なりますが、高3の最初の模試の偏差値を高2の最後と比べると、学力的に変わらず来た人でもだいたい10から15ぐらい下がると考えて普通、それぐらいの気持ちでいましょう。また、数学に限って言えば、理系と文系で問題が違う場合、理系の方が総じて厳しくなる傾向があります。
また、いわゆる実戦模試や私大模試、トップレベル模試、中高一貫模試といったものになると、そもそも母集団が一般の受験生の集団からかけ離れたものになります。さらには、受験者数自体も少なくなりますから、そういうものを学校で受けたという人は、他にどんな学校が参加しているか、過去に受けた先輩たちの成績がどうだったかなどの情報を、なるべく指導者に確認しておくべきです。また、学校から受ける場合、授業進度と噛み合わない模試を受けたりすると、皆さんひとりひとりは順調に学習を進めているはずなのに、学年全体の成績が大きく動いたりすることもありますが、後述するように偏差値だけに振り回されないようにしてください。
加えて、注意すべき2つめです。これが意外と見過ごされやすいのですが、問題の質が変わることによって、点数・偏差値の出方も変わってくるということです。総じて、高2までの模試では教科書学習後すぐ受けることを考慮した出題がなされ、教科書や傍用問題集の問題から少しひねった程度のものに多く当たっておけばそれなりに点がとれます。しかし、高3になって大学入試を意識した出題にガラッと変わると、それこそ「点がとれるところがない」という状況にもなります。高2までの模試で、基礎的な問題のミスを削って点を稼いでいたけれど、難問からは部分点も取れなかったことが多いと思っている人は、これからの学習に特に注意を払う必要があるでしょうね。
最後に3つめは、数学という教科の特性です。よく「数学の点数は、階段状に上がっていく」と言われますが、筆者が持っているのも同じ感覚です。必ずしも努力に比例して点が出るわけではなく、むしろ、ある程度学習を積み重ねると見える世界が大きく広がり、ある所でまとまった成果として表れることの方が多いと思います。ということは、他の教科は伸びているのに数学だけが伸びていなかったとしても、それはたまたま点が伸びにくいゾーンに来ているからそうなっているだけかも知れないわけです。ですから、1度や2度の模試の結果に一喜一憂して、いちいちやり方を変えるような学習だけは絶対に避けて欲しいのです。
当サイトでは、一応皆さんに偏差値はお聞きしていますが、それはあくまで目安にしかせず、アドバイスの際は教科書から入試(難関大)までを大きく6つに分けた「学習段階」という捉え方に重点を置いてお答えしています。皆さんひとりひとりが本当に何をすべきなのか、しっかり考えてください。
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※ 当記事は、元は06年度に「時節のアドバイス」としてこちら(→
http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/252.html)に書いたものですが、内容を拡充しまとめ直しました。