2008/3/19
「ワンドロップ」
久々の大阪でのたがとよライブ。谷町9丁目にあるライブバー「ワンドロップ」は地下鉄を降りてすぐそこにあった。こんな所にこんな良い店があったとは。音も思ったよりヴォーカルの抜けが良く、ちゃんとライブハウスの音を出してくれる。店長もミュージシャンだから音楽の事を良く知っている。バーボン時代のとよだの知り合いでもある。
今日の対バンはかわがらすの3人組と砂川タカユキ君だ。かわがらすは明るくて楽しい昔の関西フォークを思い出させるような元気のあるバンド。砂川君とは前にバナナホールでなんどかやった事があるらしい。(すみません、物忘れが激しくて)
ライブまえから続々とお客さんが入ってくる。狭い店内は出演者も中に居れないくらいだ。すごい活気だ。俺たちは仕方なく目の前の立ち飲み屋に入った。
「えらいことになっとるな」
「久しぶりにええ感じやな、こりゃまた燃えるで」
「わしらにもってこいの場所やないか」
「当ったりまえよ、まかしとかんかい」
「二人合わせて100歳やからな(ほんとは違うけど)」
「脳年齢は18から止まったままやけどな」
何度かワンドロップの店に戻って中を覗く。いい感じですごく盛り上がっている。ええ感じやないか。なんか昔のライブハウスを彷彿させるような感じだ。再び立ち飲み屋に戻りバーボンをあおる。仕事帰りの中年のサラリーマンが話かけてきた。
なんと広島の広陵高校出身らしい。酔いが回るにつれ広島の話がはずむ。懐かしい広島弁がとび出してくる。話してみるとどうやら俺よりも年下らしい。話はどんどんエスカレートしてとよだや周りのお客も巻き込んで盛り上がる。
立ち飲み屋で飲んでいる仕事帰りのスーツ姿のサラリーマン。組織の中で生きるって大変やろうな。嫌なこともいろいろあるんやろうな。
・・・きっと向こうも同じように思ってるんやろうな。こいつら大変やな、ええ歳してこんな格好してこんなところで飲んで。その長い髪ぐらい切って、ちゃんと仕事しろよな、なんてな。
「そろそろで出番やで。一発やりましょか」
「やりましょ。ガツンと一発、じゃあ行ってきます」
立ち飲み屋の客と別れワンドロップへ。もうすぐ出番。とよだも俺もカチッとスイッチが切り替わる。そしてただの酔っ払いのオッサンから「この瞬間のために生きています!ざまあみろ、俺たちがたがとよだ!どこからでもかかってきなさい!」ウルトラスーパースペシャルフォークバンド、「たがみ☆とよだ」に変身。スイッチが入った瞬間から二人とも体から変なオーラが立ち昇り始める。
店内は熱気でムンムンしていた。久しぶりの大阪でのたがとよライブ、やってる俺もすごく楽しい。二人の息、演奏、歌と喋りと間、誰も真似が出来ないパフォーマンスのたがとよワールド。調子に乗ったとよだがカウンターに上って暴れている。また変身して、まるで野獣と化している!
おっ、なんと立ち飲み屋で一緒に飲んでいたサラリーマンが見に来てくれた。こりゃまた一段と気合が入るで。ちゃんと見とってや。俺たちただのオッサンじゃないんやで。胸を張っていえる、アホの上に大が3つくらいつくほど熱くて大アホなフォーク好きな男たちです。
「わしらジャンルは一体なんや?フォークか?」
「わしらのジャンルは、た・が・と・よ・じゃ〜!」
なんか目茶苦茶のようでちゃんと計算されつくしたステージング。店内を飛び交う歓声と野次。笑い声と溢れる笑顔。演り手とお客さんとスタッフが一体になっている。やっぱりライブはこうでなくっちゃな。この瞬間をみんなが楽しんでいる。みんなで音楽を一体になって楽しんでいる。やっぱりライブはこれやで。
アドレナリンが噴出している。頭がクラクラしてきた。目もチカチカする。体がフワフワする。いい酒をガンガン飲んだ後みたいだ。アンコールが終わりフラフラになった。もう酸欠状態だ。たがとよステージはいつも汗だくの完全燃焼で、終わった後しばらく動けなくなる。めっちゃしんどいけどめっちゃ充実感。全てを圧倒した、たがとよワールド。
ライブが終わって出演者やお客さんと一緒に時間を忘れて飲む。音楽やギターの話で盛り上がる。かわがらすのみんなも砂川君も目をギラギラさせていろんな事を聞いてくる。みんな音楽が好きなんだ。昔は必ずあったこんな打ち上げの風景も久しぶりだ。大阪もまだまだすてたもんじゃないな。若いミュージシャンらも頑張ってるやつは頑張ってる。
たがとよはソロの時とまた違う楽しさがある。ソロはソロでまた違う俺の世界だ。どちらも好きだからやめられない。理屈じゃないんだよな。ただ好きかどうか。好きじゃないところに進歩も自分の弱い心に勝ちもしない。勝ち負けはいつも自分にあるんだ。自分に勝てるかどうか。いい歳して決して粋がっているわけじゃない。ただそのために俺は今日も頑張ってるかどうか?人の事をとやかく言う前にまず自分はどうかだ。
みんなそれぞれの立場で頑張っている。若いミュージシャンも、立ち飲み屋のサラリーマンも、ワンドロップの店長も、そして見に来てくれたたくさんのお客さんも。俺も頑張ってる心を持ち続けたいだけだ。それが熱いというのならそうかもしれない。
ほんとうに好きか、他の何よりも好きか?ほんとに好きだったら、しんどいこともしんどいとは感じない。投げ出したり逃げ出したりしない。まして人のせいなんかにしない。何度も自分に負けて挫けそうになっても何度も立ち上がれる。そしてまた壁に立ち向かう。きっと情熱ってそういうことなんだろう。
これからもソロとたがとよと、毎月できる限りライブをやっていこう。ソロはソロのメッセージを、たがとよではたがとよの熱い歌を歌っていこう。心に響く歌をどんどん書いていこう。ソロは「愛と平和の詩」を中心に。そして、たがとよは・・・リウマチの歌、老眼の歌、糖尿の歌??「たがみ☆とよだ」の☆は中高年の星か!!
俺たちもあと何年ステージに立てるだろう。何回歌えるだろう。こんな事を考えるなんて歳をとった証拠だな。そういえば前にとよだが体を壊した時もこんな話をしたよな。
「お互いもう体がボロボロやな。いつまでステージで跳べるんやろ?」
「まだまだや。まだ何とかいけるで。跳ぶ高さはだいぶ低うなったけどな」
「跳べんようになってもステージに上がろうで」
「車イスに乗ってでも上がる」
「二人で点滴をぶら下げながらか?」
「当たり前よ、尿瓶も用意してな」
「ほんまにアホやな、俺ら」
「ほんまにアホや、でもやるならとことんや」
「ええ根性しとるわ」
「でないとわしら生きとる価値がないからの」
「好きやから仕方ないやんか」
「そうや、好きやから仕方ないよな・・・」
たしか前に広島にライブに行く時、とよだが右足にギブスして松葉杖できた事があった。でもあいつ、ステージではギブスはずして跳んどったもんな。全然怪我なんかしてないような顔をして。やっぱりあいつは根性あるで、プロ根性が。
そんなところがあいつの大好きなところなんやけどな。・・・きっとあいつは南極に置き去りにされても死なんやろうな。南極の氷の上で雄たけびを上げながら、アザラシやペンギンの前で跳んでるやろうな。そこまで俺は付き合えんけどな。たがとよイズムは健在や。
コメントは新しいものから表示されます。
コメント本文中とURL欄にURLを記入すると、自動的にリンクされます。