もう一冊の野沢尚作品、リミット。
こちらは2000年7月3日から11回連続で日本テレビ系で放映された作品のシナリオ。
シナリオを本で読むのは、慣れないとかなりの違和感がある。
自分がシナリオを書いてみよう、と思った時点で、何作品かシナリオの本? を借りてきた。
一作目はどうしよう・・・ と思ったが、二作目からは先に情景を書いてあるため読みやすく感じられるようになった。
安田成美さん主演のこのサスペンスドラマだが、幼児誘拐=臓器売買を扱った作品。
あとがきとして、『リミット創作日誌』を載せておられるが、実際に視聴率はそれほど高くなかったようだ。さもありなん、と思う。
軽いタッチの旅情ミステリーなら、こちらも気軽に見ることが出来るけれど、野沢作品になるとじっくりと腰を据えてかからないといけない。
途中だけ見て、それで納得できるような作品ではないのだ。
幼児が次々に姿を消した。
すわっ、誘拐? と思うのだが、身代金の要求がない。身代金要求がないために事件にはならず、子どもを失った親たちは途方にくれる。
そんなある日、小学生の女児がいなくなりこちらには身代金の要求があった。その身代金引渡しなどにかかわるのが、安田さん演じる警視庁捜査一課特殊犯罪捜査係の有働公子。
そう、この作品はドラマではなく映画で見たかったな、と思わせる作品。
誘拐されたのは、主にペインレスチルドレン。親の心はともかく、子供心には、私は生まれてこなければ良かったのに・・・ と悲しく生きている子供達。
誘拐し、臓器売買をしようと企んでいる田中美佐子演じる澤松智永もまた、親に殺意を持ちながら生きてきたペインレスチルドレンのひとりだった。
親から愛されずに生きている、必要とされずに生きている子供達だが臓器移植の分野ではとてつもない需要がある。眼も皮膚も、心臓、腎臓、肝臓などのあらゆる臓器にも、じっと臓器移植の番を待っている人たちがいるのだ。
必要とされていない子供達を、必要としている人間に渡して何が悪い!
そう考える智永と、愛する人との一人息子を智永たちに誘拐され、警察官としてではなく、ひとりの母親として必死に救い出そうとする公子。
まともに拳銃も使えなかった公子が、智永の仲間二人を射殺し、母性のみでタイの奥地にまで息子を探しに出かけ、息子の機転にも助けられて事件を解決する。
これから、シナリオを書いてみよう、と考えている私にとっては、とても勉強になる作品だった。自分はまだまだ無知だな、と思った。
しかし、読後感はやはり重い。私には口直しの必要のある一冊だった。
水曜日の情事、リミット ともに、ひとりになりTVのない生活をしていた時の番組なので、まったく予備知識はなくシナリオを読むことが出来た。2000年、2001年は私にとっては、冷たく澱んだ時期だったが、その冷たく澱んだ時期があったからこそ今の温かい愛情に満ちた時期を迎えることが出来たのだと思う。すべてにおいて、無駄なことはない、改めてそう感じている。