近所にスーパーがある。
たまにそこのパートのおばちゃんがお茶を飲みにくる。
精肉担当の彼女はボウシさんという。いつも帽子をかぶっている。
たいてい一緒に来るのはおさるさんだ。
おさるさんは、とある占い師に言われて改名した某芸人に似ている。
某っていってもそのままですが。
ボウシさんとおさるさんは、とても仲が良い。
いつもおさるさんがしゃべって、ボウシさんが聞き役になっている。
そしてほとんどの場合会話がかみあっていない。
「最近コレ買ったんだわ、ほら」
「フーン」
「チタンなんだけど、○○屋でも売っとったわ」
「最近△さんどうしとる?」
「でもねえ○○屋だともっと高かったんだわ」
「あの人もそうだもんねえ」
「そうだねぇ」
彼女たちの間では成り立っているらしい。
ボウシさんはたまにちがう人と来ることがある。
その人は声がとてもデカく、私はちょっと苦手だった。
キッチンにいても彼女の声は聞こえた。
「今月はあと北海道に行って、そのあと仙台に移動なんだわ」
最初は旅行かな?と思っていた。ボウシさんの声は全く聞こえない。
「あと東京でスリーデイズ」
スススス、スリーデイズ!三日間ではなくスリーデイズ。
「うちのメンバーも今ピンが多いからさ〜」
ピン!業界用語で一人という意味である。
それより何より、うちのメンバー??
もしかして彼女はアマチュアバンドでもやっているのであろうか?見たカンジはバンドと言うより女相撲なのだが・・。
「うちのメンバーは優しいからさー」
「うちのメンバー今度特番あってさ」
そして、とうとう「うちのメンバー」がわかる時が来た。
「うちのメンバーってさ、やっぱしトモヤでもってるってとこあるじゃん」・・・・・・!
そう。「うちのメンバー」というのは「TOKIO」のことであった。
親近感ここに極まれりである。
おっかけ魂ってこういうことなのだ。
そして「うちのメンバー」の話も、「○○屋では高かったチタンネックレス(3800円)」の話もボウシさんは真剣に聞く。
噛み合わないまま、どちらの話にも食いついている。
そのうち、噛み合っていないことにお互い気がつくのだろうか?
いつまでも気がつかないでほしいな、と私は願っているのだが。

0