盆休みということで、半期に一度の大掃除をすることにした。
私の部屋は大量の洋服と大量の本でできている。洋服の整理はたいした手間じゃないので、すぐ終わるのだが、問題は本だ。
私が初めて「おはなし」ではなく「小説」というものを読んだのは小学5年の時だった。忘れもしない松本清張「点と線」。
おとなっぺー。
姉と二人で雑貨屋を始めた頃、とにかく毎日ヒマだった。最初の店は住宅街にあったので、お客さんがなかなか来ない。仕方ないので姉は平日バイトに出ることになった。店番は私一人だ。
やることもなく、毎日本ばかり読んでいた。手持ちの本はすぐ底をつき、リピート率も高くなって来たので、思い切って近くにあった古本屋に行ってみることにした。
当時は○○オフなどという古本屋はなく、その店も奥のカウンターでおじさんが一人でいるようなタイプの古本屋だった。
何回か通ううちに、おじさんに話しかけられるようになった。
「こういうのが好きならこれも好きだと思うよ」
確かに読んでみるとおもしろかった。
こうして私の本棚は裏表紙に\50とか\100とか書いてある本でイッパイになっていった。
その古本屋のおじさんはしばらくするとウチの店にも顔を出すようになった。なぜか帰らずいつまでもいるので、仕方なくお茶なぞだしたりしていた。おじさんは思ったよりおじさんじゃないようだった。
ある時、またおじさんが意味のない世間話をしに来ている時に、なにかの押し売り系の人が来たことがあった。私が「いりませんってば」と断っているのに、なかなかそのセールスマンは帰らない。するとおもむろに古本屋のおじさんが「いらないっていってるだろう!」と怒鳴り、そのセールスマンはあわてて逃げて行った。私も逃げたいくらいの怒鳴り声だった。
おじさんは「いつでも追っ払ってあげるからね」と言ってくれた。
そしてしばらくすると、おじさんが年配の女の人を連れて来るようになった。贈り物を探している、とのことだったがなーんか雰囲気が妙だった。
なんで私の方ばかり見ているのだ?
なんでそんなに微笑ましげに私を見るのだ??
どーもそのあたりが謎だったのだが、会計の時にわかった。
「これ、うちの母。こちら、前から話してた例の……」
「息子がいつもお世話になってますねぇ〜」
……ヒョー!!
オカンかよ!でもって『例の』ってなんだよ!おまけに『いつもお世話に』ってなんなんだーーーー!!
……そこには、なんだかナマナマしい香りがそこはかとなく漂っていた。
帰り際にも、お母様に「これからよろしくお願いしますね〜〜」と言われたのだが、一体古本屋親子の間でどんな話になっていたのか、聞くのも恐ろしかったので知らん顔することにした。
その後は二度とその古本屋に行くことなく、店も転居してしまった。
そんなこんなで、引っ越しの時に500冊以上処分したのだが、またこんなにたまってしまった。読んだヤツからどんどん重ねていくだけなので、ガッシャガシャに積まれている。
いい加減また処分しないと床が抜けそうだ。
でも整理しようとすると、読み出しちゃうんだよなー。一日で終わるんかなあ。誰か手伝いにきませんかね?
画像は、まったく片付ける気にならない本棚の一部。
