059がバリ旅行から帰って来た。
女二人旅、バリ、とくればさぞかしバリニーズに声をかけられたことであろう。日本人はお金持ちだと思われてるから。……フッ。甘いな。
私がバリに行ったのは、もう10年くらい前になる。
前の晩にバリに着いた私とMちゃんは、両替屋が開くのも待ちきれず朝飯を求めて街に出かけた。ガイドブックでチェックしていたカフェに行き、朝からモリモリ食べた。バリの食い物はウマいのだ。おまけに安い。
海外旅行に行くと、現地のお金に慣れるまで少し時間がかかる。
その朝ゴハンも合計で25000ルピアなんて金額になっていた。
1ルピアっていくらになるんだ??昨日のタクシー代の残りしかルピア持ってないし……足りるかなあ……。
朝からこんなに食うんじゃなかったよ……。
私とMちゃんは相談して、とりあえずカードで払うことにした。
カードを出した時お店のお姉さんは少しけげんそうな顔をしていた。
あとから考えたら納得。
その時の25000ルピアって日本円で\240くらいだったのだ。\240でクレジットカードを出す日本人もめずらしかったのだろう。
私だって\240でカード使ったのは、後にも先にもこの時だけだ。
バリではエステ三昧だった。
毎日いろんなエステに行ったのだが、特に印象に残ってる一軒がある。
そこは一人ずつ小さなコテージのようなところでエステを受けるのだった。スッパの私と全く言葉の通じないエステティシャン。1対1だ。
泥パックのようなものを塗られマッサージを受けた。そして彼女は私に壁の方を向いて立つように身振りで示した。そして…バシャシャシャ〜!肩越しにチラリと見てみると、彼女はホースで私に水をかけていた。
ホースって……。
その後、ジャスミンの花を浮かべたジェットバスに入るよう指示された。いい香りだ〜。
と思う間もなく、彼女がコテージから出て行った。まだ最後の仕上げがあるはずなんだけどな……と思いそのまま待つこと15分あまり。お湯はどんどん冷えて来るのに、彼女は戻らない。おまけに外ではスコールまで降り出した。スッパで冷えた風呂に入っているのに、すぐ窓の外で雨宿りまでされている。どう見ても3人くらいいる。
彼女が戻ってくるまで、どれほど心細かったことか……。
バリといえば、サーフィンのメッカだが、私もMちゃんもまったくサーファーじゃなかった。ただ、Mちゃんの元彼がサーファーだったのだ。
ビーチを散歩していると、突然Mちゃんが砂に座り込み、波に乗ったり乗られたりしているサーファーを見つめ出した。
もちろんまったく知らない人だ。
「あ、波つかまえた…」Mちゃんがつぶやいた。
つ、つかまえた……?
……ひたっている……。
ヒザを抱えて、一心に海を見つめるMちゃん。
あんな遠くなのに、うまいかどーかなんてわかるのか?
仕方ないので私も並んで座ったが、なんでどこの人だかもわからないサーファーを見なきゃならんのだ。
私たちのまわりにはバリの子供と物売りがワラワラいる。
「ミチュアミ、ミチュアミ!」
えーい!うるさい!三つ編みなんかしていらん!
まるでユーミンの歌に出て来るかのよーなシチュエーションにひたっていたMちゃんではあったが、「ミチュアミ」ばかりでなく、「シマシマ!」「シマシマ!」と何度も現実に引き戻され、とうとう無言で立ち上がったのだった。
ちなみに「シマシマ」というのは、Mちゃんが持っていたバッグがボーダーだったから。Mちゃんはドコを歩いても「シマシマ!」と声をかけられ「私はシマシマじゃないっ!」と最後には声を荒げていた。
バリはホントにいいところで、私も機会があったらまた行きたいと思っている。059も楽しかったようでホントによかった。