海外の話が続くが、来月からつゆちゃんがロンドンに行く。
つゆちゃんはウチのロゴやらDMやらスタンプカードやらのデザインをお願いしているデザイナーである。
つゆちゃんは、一人でなんでもやってしまう、バリバリ仕事のできる頼りになる女子なのだが、どうしても私的に気になることがある。
仕事が朝までかかることもあり、家にはほんの少しの睡眠をとるためだけに帰る、ということも多いつゆちゃん。
でもたまに会ったりすると……。
………あれ……。えーとー……つゆちゃん、アンタお風呂入ってる?
「う〜〜ん。入ってない」
ナンデヨ!!入んなさいよ!
「だって、お風呂入るよりやりたいことがあるもん」
!!
もう真夏でも湯船に入らないと気が済まない私は、心底驚いた。
つゆちゃんとイスタンブールに行った時に、現地でホテル探しをしていてなかなか「バス・トイレつき」というのが見つからなかった。イスタンブールの旧市街は本当に古い街なので、水道事情が悪いのだ。でも一軒、見た目もすばらしく料金も予算内、場所もイイ、というところを紹介された。
部屋を見せてもらっている時に、おや?と思い確認してみた。
バスは?
「ここだよ」ホテルの人がドアを開くと、そこにはトイレと、すみっこにシャワーがあった。
あれ?最初にバスつきって言ったよね?
「バスルームでしょ?」アルタンと書いた名札をつけた彼が言う。
バスルーム……、えっと〜バスタブ!バスタブのある部屋はありますか?
「……バスタブ??バスタブって何?」
バスタブって…何って言われても……。えっと〜、こう四角くて、深さはこんなもんで〜お湯を入れて入るんだけど…。
必死でジェスチャーで説明する。もちろん四角くて〜のあたりはすべて日本語。
トイレの横で、両手を広げ枠を作りその中に入るマネを一生懸命した私だったが、その結果、
「わっかんない!バスタブって日本語でしょ?英語で言ってよ」
とアルタンにあっさり言われてしまったのだった。
その時つゆちゃんは、といえば、「ぐふふふふ」と笑ってみていただけだった。
そりゃそーだ。つゆちゃんはお風呂なんてどっちでもいいんだもんなあ。
その時のことを思い出しても、つゆちゃんは海外生活に向いている、と思う。
変なコダワリがないのだ。
自分の中の大切なモノさえ優先できれば、それ以外は「なんとかなるよ」とニコニコ笑っていられるのだ。
今度のロンドン行きはグラフィックデザインの学校に留学のため。仕事のスキルアップを目指してのことだろう。英語は大丈夫なのか?と心配する私に「う〜〜ん、自信ないねぇ〜。でもまあしばらくいればなんとかなるんじゃない?グフフフ」と笑っていた。
身軽なつゆちゃん、どんどん前に進んでいっていただきたい。
でも、せめてシャワーだけは毎日浴びるようにしてね。日本とちがって湿気が少ないからって、お風呂入んなくてもいいよ、なんて思わないよーにね。おおざっぱなつゆちゃんも一応、女子なのよ。
つゆちゃんが帰って来るのは来年の夏。
それまでに絶対ロンドンに行くぞ。
あーでも、バスタブのない部屋に住んでそうだなあ〜。