香港はおっさんの街である。
おいしい店には大抵おっさんがわさわさ働いている。定年は一体何歳なんだろう。
そして街中でもおっさんはワシワシ働いている。大抵ジャニーズだ。
ジャニーズ、それは私とアカノちゃんが香港のおっさんにつけたあだ名だ。
理由は簡単。すぐ上半身裸になるからだ。まあ香港は暑いから仕方ない。暑い香港にはジャニーズがあふれている。ちょっと腹がゆるんだジャニーズだ。
そんなパワフルなおっさんに比べ、香港の若い人はイマイチ印象に残らないのだった。
アカノちゃんがスニーカーを買おうか迷って試着している横で、店のにいちゃんが昼メシを食っていた。テイクアウトの肉味噌炒め丼をがっつきながら、アカノちゃんの迷っている様を見ていた。
そんな彼。
またちがう店で、在庫の中からアカノちゃんご指定のサイズをとろうとして身体を伸ばした時に、腰履きのジーンズがさらに下がり、トランクスが丸見えになった。
茶色のチェックのトランクスだった。トランクス……。
アカノちゃんが両替のため、店から出て行き、もう一人の兄ちゃんが系列店にアカノちゃんご指定のサイズを取りに行き、私と彼は二人きりになった。
しきりに鏡を見て、トランクスの見え具合を確かめていた。
いやもう、そんなに細かく出したり引っ込めたりしなくても……。
ヨシ、これだ、と思ったらしい彼は、鏡に向かってニカッと笑い、ついでに私の方を見てニッとポーズをとった。
そんな彼。
そして、晩ゴハンを食べに入った海鮮料理屋さんで向かいのテーブルについていた彼ら。
香港ではめずらしくワインを飲んでいる。ボトルが2本くらい並び、デキャンタにも赤ワインが入っている。それだけなら全然気にならなかったのだが、二人組の片われ、丸顔・メガネ・坊主頭・小デブな方の彼の耳にピアスが光っている。ギラギラ光っている。余計なお世話だが、ルックスに全く似合っていない。
ものすごく議論している。顔が近い。男同士であんなに顔を近づけて話すって……。
ピアスじゃない方は、ワインが入ったグラスをぐるんぐるん廻している。そんなに空気を含ませる必要はないのではないか?廻し過ぎだー。こぼれる〜。
ぐるんぐるん……そして議論……ぐるんぐるん……続く議論。
彼らばっかし見てて、せっかくの晩ゴハンを覚えていない。
あれ?結構いるなあ。
でも今回の香港でいちばん印象に残ってる人は、朝の茶餐庁(香港の昔ながらの喫茶店のよーな店のことです)で、相席になったこのおじさん。
おじさん、ナニたべてんの?とフツーにのぞきこんだ私たちに、ちょっとビックリしながらも「このセット。おいしい」とオススメしてくれた。
「このパンの間になんとバターが挟まってるんだ!バター!バター!」
と何回も教えてくれた。そしてその店オススメだったモーニングセットを指し、
「これは私は好きじゃない、ダメダメ」と頭を振っていた。
このおじさんオススメの朝ゴハンはホントにおいしかった。
ということで、やっぱり香港はおっさんの街なのだ。
画像は、やさしいおじさんと、働くジャニーズ。

