展示会というのは、簡単に言えば少し先のシーズンのモノのサンプルが並べられた会だ。そのサンプルを見て「売れそうだな〜」とか「かわいい〜」とか思ったら発注するワケだ。後々の売り上げを大きく左右する大事な場なのだ。
そんな大事な展示会で、商談をする私と担当カトくんの座るテーブルにフクちゃんがやって来た。
「ワタナベさん、コレコレ!コレ食べてみて下さいよー!」
フクちゃんは前にも「おやつ担当」として当ブログにも登場しているが、やはりおやつ担当だったらしい。
「甘いモノ苦手なワタナベさんのために用意しといたんですよ!」
と言って出して来てくれたお菓子にはびっしりナッツがのっていた。
あ〜……。
「ワタナベさん、ナッツだめですよね?確か」
おお!カトくん!ビミョーに距離のあるつきあいなのに、よく覚えているじゃあないか!
「えーーー!マジでぇ〜〜〜?!」
ウン、前も言ったケド。ゴメン、食えんわ。フクちゃんお食べよ。
「そっかぁ。じゃ僕いただきまーす!」
パックリ。
「うわ!コレ!!浅草の味がするー!浅草ですよぅ〜〜」
洋菓子のくせに、どんな味だよ。
その後フクちゃんと企画の鴨さんが会話に参加することになった。
フクちゃん、手首ほそっ!
「そんなかわんないじゃないですかー!」
ちょっと並べてみた。明らかにフクちゃんの方が細かった。
「………最近僕ニンニクがダメで〜」
あ、話変えやがったな。
「胸焼けするんですよねー。トシかなあ〜」
フン…。
だが、どう見てもそのトシには見えないのが一種の悩みらしい。不動産屋さんでも若く見られて相手にされない、と言う。
「やっぱり、大人が履くような革靴とかじゃないとバカにされるんですよ」
大人が履くような革靴…とは??
「あるじゃないですかー、先がこう、とがったような…あーいうの履いてないと」
う〜ん…。どんな大人をイメージしているのか……。
そ、それより不動産屋さんって?引っ越しでもするの?
「僕、大黒柱になりたいんですよ」
これまたトートツなお話で。
「まずハコからって浅い考えなんですよ、こんな虚弱な大黒柱イヤですよね〜」
鴨さんがバッサリ。
イヤだよー、そんなヨワヨワ。
「イヤ、そーいう時は家族のみんなにカバーしてもらって……」
カバーって。え、ちょっと待って、家族にカバーしてもらうってさ、なに?すでに家族は働ける歳なの?え?家族はすでに大人ってこと?
大人ばっかり集めて家族を形成しようとしているのか?なんだ?その人生設計。
フクちゃんは、展示会のおやつの心配ばかりしている人ではなかった。
ヨワヨワの胃を持ちながらも大黒柱になろうとしているリッパな人なのだった。働き手として家族をあてにしてる大黒柱希望者なのだった。
そんなフクちゃんのおかげで、ちょっといつもの展示会とはちがう展示会になった。
あ〜おもしろかった。

0