今年の私は意気込みがちがう。なんてったって初詣にもう4回も行ったのだ。そんなにあちこち行ったら神サン同士でもめるかもしれないが、4回とも専門分野がちがうからいいのだ。実家の氏神様、自宅の氏神様、商売の神様、そして今回の縁結びの神様だ。これぞ本命!真打ち登場だ。
縁結びの神様はあちこちあるが、ナゴヤ市内だと笠寺観音が有名、らしい。知らんかったが。
私と059はノリノリで、姉はつきあいで、休みの日に出かけた。
笠寺観音に向かう参道は、下町らしい細い道だった。その細い道いっぱいに年寄りが群れをなして歩いている。私と059はその群れの中から頭ひとつ出ている。姉は出てない。
鳥居をぬけると、境内には屋台がいっぱい出ていた。
わぁ縁日みたいだねー!
「ワクワクするねー!」
だがしかし、入ってすぐの屋台は盆栽だった。「ボケの花」と書いてある。いいのか?
次は印鑑の屋台。……なんかちがう…。
まあいいや、とりあえずまずは本堂から行こう!
と、本堂の入り口近くに手相の屋台が出ていた。
あ!手相見だよ、縁日っぽいね。
「……でも『人生相談』って書いてあるよ…」
占いとちがうんかい!ここまできて相談かよ。
その人生相談手相見の屋台は、風よけのシートで囲ってあった。そのシートにはいろんな人の手相がサンプルとして描かれている。
「田中角栄」バーン!…「佐藤栄作」ババーン!……「吉田茂」バババーン!……。
ふ、古い。古すぎるぞ、政治家シリーズ。
他には「芥川龍之介」「太宰治」の作家シリーズ。生まれて来てすいませんって縁起悪っ…。
本堂でまずはお参り。
「お賽銭いくらいれる?」
ん?私はいつも100円。
「ふーん…あ〜ん、45円がない〜」
45円…しじゅうごえん(始終ご縁)がありますように、ってやつだな。フッ私より神頼み度数が高いぞ、059。
だがそんなお願いをするのなら、こっちじゃなくて縁結び神社なのだ。
というわけで私はさっさと縁結び神社へ向かった。それは縁日のど真ん中にあった。
小さな鳥居の真向かいは干し椎茸メインの乾物屋の屋台だった。
「椎茸は百薬の長!椎茸食べてりゃ薬いらず!ワシはナゴヤのみのもんたやで」
店番のおじさんがずっと講談をしている。
その声を背中で聞きながらお参りしようとすると、さっと先におばあちゃんに行かれてしまった。
おばあちゃんが縁結びの神様にナニをお願いするのだ?まあいいや、すぐ終わるだろうと思って待っていたのだが、なかなか終わらない。本気やん。
「おねえさん!黒が粋だね〜!」
乾物屋のみのもんたの声がする。私か?私なのか?
怖くて振り向けないままお参りをすませ、おみくじを買いに本堂へ。
「大吉だったぁ〜!」
先におみくじを買ったらしい059といれちがいに本堂へ向かう。
おや、お守りも売っている。買っておくか。
この赤と白のお守りは、どうちがうんですか?
「赤が安産、白が縁結び。どっちがご希望?」
…縁結びで。
「あ〜、じゃあ赤は順番がちがうわな、はははは」
…ははは、そうっすね…。
ってもうこうなったら順番なんてどーでもいいんだがな、実際。
私も大吉だったよ!
「大吉ばっかし入れてるんかな〜?」
縁結び神社の前で059が半笑いの顔で立っていた。
「あー!きれいなおねえさんが二人になった!あ〜こりゃいいわ。ええ目の保養だわ」
乾物屋のみのもんた…。私が来るまで059は一人でこの講談の嵐をモロにかぶっていたようだ。姉はあっちでみたらし団子を買っている。
「えーねぇ〜。オシャレだね〜、ブーツがええねぇ。二人ともブーツがええねえ」
…は、は、は、は……。
「しゃれとるねえ、そんなしゃれとるのは…イタリー製!」
イ、イタリー製ですか…。
すごいおじさんだったね。
まわりの屋台をひやかしながら059に言うと、
「もうさ〜最初に目が合っちゃってさ〜そしたら『おー!目が合った!目と目が合ったら、もう親戚だわ!』って言われたもん……」
目が合っただけで親戚って、むちゃくちゃ強引やな、ナゴヤのみのもんた。
あ!
ももも、もしかして私たちと縁が結ばれたのは、乾物屋のみのもんたか?
少なくとも059とは親戚の縁が結ばれたワケだしな。
でも神様!私には、ちゃんとした縁を結んで下さい!お願いっ!

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