2009/5/8

ニューヤークの地で  戦場の絆小説

戦場に立つようになって、1週間が過ぎようとしていた。
私がまだ新兵だからか、今まで厳しい任務についた事はなく、そのほとんどが後方支援や物資輸送などだった。
そんな任務をこなしながら、小競り合い程度の戦闘を経験し、MS戦にも慣れた・・・そう思い込み始めたころだった。

今回の任務は、機関部が故障したビッグ・トレーを修理の間護衛すると言うものだ。
そのために、私はここ・・・ジオン軍の勢力圏内である、ニューヤークに来ている。

周囲に敵影のない今が休憩時間だとばかりに、非番の者は皆休んでいる。
私も、自分の乗機・・・ジムキャノンの足元で休んでいた。

「よぉ、二等兵。戦場には慣れたか?」

声に振り返ると、今回の作戦の指揮を取る少尉殿が歩いてきていた。
私は慌てて立ち上がり、敬礼をする。

「はっ!以前は恐怖もありましたが、今はもう大丈夫です!」

「そうか・・・」

私は頼りない新兵と思われないために、そう答えた。
しかし、少尉殿は複雑な表情をしている・・・が、すぐに明るい顔になり、おどけて言った。

「だが、緊張しているな?肩に力が入っているぞ。まぁ、無理はするなよ。今回の任務はこのお嬢さんをジオンの悪漢どもから守れば良いだけだからな」

「はぁ・・・ビッグ・トレーがお嬢さん・・・ですか?」

「あぁ、そうだ。足を痛めて動けないお嬢さんさ。それを守ってやるんだ、男冥利に尽きるだろ?」

「はは。確かにそうですね」

「だろ?さぁ、そろそろ任務に戻ろう。敵さんも動き出すころだろうしな」

「了解です!」

少尉殿に応え、出撃前の最終ブリーフィングのために私は少尉殿と共にブリーフィングルームへと向かった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「やれやれ・・・ジオンの勢力圏内だってのにひよっ子のお守りかよ」

インカムから軍曹殿の不満そうな声が聞こえてきた。
今、私たちはビッグ・トレーの前方にある川に架かった橋の上にいる。
軍曹殿の声は前方にいる二つ目のMS・・・陸戦型ガンダムから聞こえてきた。
人間に似たその外見から、まるで腹話術人形のようにも思える。

「軍曹殿!自分たちは既に何度か戦闘を経験しています!足手纏いにはなりません!」

隣の機体・・・陸戦型ジムから何度か共に戦った上等兵殿の声が聞こえた。

「どうだかなぁ・・・」

「まぁまぁ、レクリエーションはそれくらいにしておけ、軍曹。それとな、上等兵。自信を持つことは良いことだが、過度な自信は良くないぞ?危険だと判断したら無理をせずに後退するか救援を呼べ。二等兵、君もだぞ。分かったな?」

「はい!」

「了解です!少尉殿!」

少尉殿の忠告に私と上等兵殿が素直に答える。

「よし、いい返事だ。さぁ、そろそろジオンの連中が来るぞ・・・二等兵、レーダーの反応はどうだ?俺たちの機体より性能が良いからな。目になってくれ」

「了解です!」

少尉殿の言葉に私はレーダーに目をやる。すると、敵機を表す赤い点が右手に3つ、左手に1つあった。

「敵は左右に分かれている模様。右手に3つ、左手に1つです。右手のものは既にレーダーの範囲内です」

「意外と早かったな。もうそんな距離まで来ていたのか。二等兵、左手のものに注意しつつ援護をしてくれ。軍曹、上等兵、いくぞ!」

「「「了解!」」」

3人の声が重なった。少尉殿の機体・・・ジム・コマンドに続いて軍曹殿と上等兵殿が前進する。私も機体のブーストを噴かしてあとに続いた。
ビルを回りこむとジオンのザクとグフと呼ばれる青い機体・・・そして、背の低いザクがいた。

「あの奥にいるチビ助は報告にあったザクを改修して造ったタンクタイプだな。あいつを叩かないとお嬢さんが危ない。二等兵、当たらなくても良い。その位置から叩き込んで脅かしてやれ。その隙に俺たちが突っ込む」

「了解です、少尉殿!」

少尉殿の指示通りにキャノンを撃ち込む。ジムキャノンのキャノン砲が火を吹くたびに、敵の周辺で爆発が起きた。
当然、敵をロックオンしているわけではないので、命中はしないが、相手を慌てさせるのには十分だったらしく、ザクが慌てているのが見て取れた。
その隙に少尉殿たち3機がタンクタイプに突っ込んでいく。しかし、その行く手を阻むようにグフが立ち塞がった。

「く、こいつは場慣れしてやがるな。おい、上等兵、お前はザクを抑えておけ!大口叩いたんだ、出来るだろ!?」

「了解です、任せてください!」

「よし、頼むぞ。二等兵、回り込んでタンクタイプに攻撃を加えていてくれ。こいつを抑えたら俺もタンクタイプに取り付く!」

「了解です!」

私は機体を移動させて、タンクタイプを射程に捕らえた。そして、攻撃を行う。さすがに全弾命中とは行かないが、3発に1発は当たった。

そのまま戦闘は膠着状態となったが、少尉殿がふと気が付いたように尋ねてきた。

「二等兵、もう1機の敵はどうした?こっちのレーダーでは俺たちの後ろにいるようだが?」

言われて始めて思い出した私は、慌ててレーダーを見た。

「残りの1機は・・・ま、真後ろ!自分のすぐ後ろです!!」

「何!?」

私が慌てて振り返ると、そこには丁度水中から飛び出てきた茶色くてずんぐりとした機体が立っていた。

「二等兵!敵機を確認出来るか!?どんな奴だ?」

「茶色いずんぐりとした怪獣みたいな奴です!」

「く、ゴッグとか言う奴か・・・水中からこちらの背後を攻めるつもりだったのか!逃げろ、二等兵!そいつは接近戦仕様の機体だ!ジムキャノンじゃ分が悪すぎる!すぐに救援に行く!」

「少尉殿!自分が救援に行きます!」

少尉殿の言葉に続いて、上等兵殿が進言をする。
しかし、それは軍曹殿の言葉によって却下された。

「駄目だ!お前はそのザクの相手をしてやれ!少尉殿、自分が行きます。ガンダムの機動力なら十分間に合うはずです。こいつの相手を頼みます。」

「分かった・・・頼むぞ、軍曹」

「了解!聞こえたな、二等兵。すぐに行く・・・少し耐えてろ!」

軍曹殿の言葉には先ほどの様な皮肉は感じられなかった。
その言葉に慌てながらも私は答える。

「は、はい・・・ですが、キャノンが当たりません!」

私は動転して、ひたすらキャノンを撃っていたが、そのすべてが敵の頭上を越えていた。

「馬鹿野郎!当たり前だ!ジムキャノンにはハンド・グレネイドがあるだろう。敵に接近されたらそれで牽制しつつ逃げろ!俺の位置は分かるな?こっちに向かって逃げるんだ!敵に背中は見せるなよ!」

「りょ、了解!」

言われるまで存在を忘れていたハンド・グレネイドを言われたとおりに使って牽制しつつ、軍曹殿のほうへと後退する。ハンド・グレネイドを食らったゴッグが倒れている隙に距離をとろうとした・・・が、鈍い衝撃と共に機体が急に止まってしまった。

「な、何だ?何で動かないんだ!?」

突然のことに混乱する頭に軍曹殿の怒鳴り声が飛び込んできた。

「馬鹿野郎!建物に当たってるぞ!後ろを確認しろ!回りこむか上を越えるんだ!」

言われて後ろを確認すると、確かに建物に接触していた。
度重なる戦闘でもびくともしなかったこの建物はジムキャノンの体当たりくらいではなんともないらしい。
そうこうしているうちに、起き上がったゴッグが距離を詰めて、攻撃しようとしてきた。

「タックルを使え!」

軍曹殿の声に反射的に反応して、タックルの入力を行う。
攻撃をするために体を開いていたゴッグにタックルが決まり、体制を崩したゴッグは再び倒れ、質量差から弾き飛ばされたジムキャノンも倒れかけたが、オートバランサーがギリギリの所で耐えてくれた。

「よぉし、良くやった!後は俺に任せろ!機体損傷は・・・そんなに無いな。お前は少尉殿たちの援護に行ってくれ。いくら少尉殿でもグフを捌きながらタンクを潰すのは厳しいだろうからな」

「了解です!ありがとうございます、軍曹殿!」

「礼は戦闘が終わってからにしろ!さぁ、来い茶色デブ!俺が相手だ!」

私は軍曹殿に言われたとおり、ゴッグを軍曹殿に任せ、少尉殿たちの援護へと向かった。

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「はぁ・・・」

結局、あの後私は少尉殿たちと合流し、援護砲撃をしていたが、役に立ったとは言い難かった。
上等兵殿はザクの片腕を斬りおとし、無力化させ、少尉殿がタンクタイプを無力化させたことでジオンは作戦続行を無理と判断したのか、撤退して行った。
ゴッグはと言うと、軍曹殿が奮闘していたが、ほとんど無傷に近い状態で撤退して行ったという。
軍曹殿が言うには「まるで豆鉄砲で鉄板を撃ってるみたいだったぜ。傷一つ付かなかった」らしい。

「どうした?黄昏てるな?」

少尉殿が声をかけてきた。

「ハイ・・・自分は戦闘を経験し、恐怖も克服し、お役に立てると思っていたんですが・・・今回、全く役に立ちませんでした。」

「・・・本当にそう思っているのか?」

少尉殿の意外な言葉に驚いて振り向く。

「お前は十分役に立ってたよ。確かに、目立った戦果はなかったかもしれない。だがな、上等兵がザクを無力化できたのは、お前の砲撃で敵が怯んだからであり、俺が敵タンクを無力化できたのも、お前の砲撃がグフの足止めをしてくれたからだ。それに、お前は生きて帰ってきただろう?それだけで、十分立派さ」

「少尉殿・・・」

少尉殿が私の横に座りながら続ける。

「それにな、二等兵。恐怖は克服するものじゃない。いや、克服できるのならそれでも良いが、大抵の人間は克服できないさ。死という恐怖はな。それは今回のことで実感できただろ?」

「ハイ・・・」

「恐怖はな、克服するんじゃなくて飼い慣らすものさ。俺だって恐怖を感じる。今日だってずっと恐怖に囚われっぱなしだったさ。」

「少尉殿が・・・?恐怖を?」

意外な言葉に私が驚いて顔を向けると、少尉殿はその顔に笑みを浮かべていた。

「当たり前だろう。俺だって死にたくはない。誰だってそうさ。だから、味方がピンチだと誰もが助けようとする。死の恐怖を知っているからな。軍曹だってそうさ。だから、憎まれ口を叩きながらも助けに行っただろう?」

「ハイ。」

「お前も上等兵もこれからまだまだ強くなる。そうしたら、今度はお前たちが守ってやれ。死の恐怖からな。」

そう言いながら、少尉殿は立ち上がって私の頭を軽く叩き、歩いていった。

「ハイ・・・」

私は俯きながら少尉殿の背中に答えた。今更ながら溢れてきた涙を気づかれないために・・・
ニューヤークの夕日に照らされたジムキャノンが私を見下ろしていた。いつか、私もこいつと一緒に誰かを守ることが出来るのだろうか。そう考えながら、私は夕日を見つめていた。


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私が初めて書いた物語です

色々と拙い所が・・・
って、それは今でも同じか^^;

一応、内容としてはアーケードゲーム「戦場の絆」がベースになっています
もっとも、これを書いた時にはまだRev.1の最初の頃でしたけどね・・・

一応、今回ここに上げるにあたって多少手直しはしていますが・・・それでもやっぱり本質は変わらず・・・
所々拙いです・・・
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2009/5/8

作っちゃいました  

ここはみんなが書いた物語を置ける場所として作りました

皆さん、仲良く使いましょう



ここが良き場所になる事を願って・・・
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