2005年/日本 (監)堤幸彦
(演)渡辺謙 樋口可南子 坂口憲二 及川光博 香川照之 大滝秀治
☆☆☆★★★
働き盛りのサラリーマンに襲い掛かる“若年性アルツハイマー”の恐怖を描いた荻原浩の同名ベストセラー小説の映画化作品。
広告代理店に勤める49歳の渡辺謙。仕事も充実し、一人娘の結婚も控え、公私ともに忙しくも幸せな日々を送っていた。ところが最近になって急に物忘れが激しくなり、不安になって病院を訪れた渡辺謙は、そこで“若年性アルツハイマー”という診断を下される。やり場のない怒りと不安に苛まれる夫を妻の樋口可南子は静かに受け止め、2人で一緒に病と闘い続けようと覚悟を決めるのだった。
別にいまどきの流行で、映画を見て泣きたいワケではなかったのですが、久し振りに思いきっリ
泣いてしまった作品です。「何よ〜、堤監督、こんなにちゃんとした映画も撮れるんじゃない
!」先日、「大帝の剣」で思いっきり虚脱させられた後だけに、とっても感心もしてしまいました。
もしもアルツハイマーになってしまったらどうしよう・・。若年性だと、老人の認知症とは違って、患者に体力があるだけに、支える家族の苦労は並大抵ではない。自分の家族が、それに耐えられなかったらどうしよう。しかも、自身でそれを認識する事すら出来なくなる。徐々に記憶を失っていく恐怖
医者で、渡辺謙がアルツハイマーかどうか、テストされるシーンは私も緊張しました!3つの単語、覚えてられないかも!今、机の上に何がのっていったのか覚えてられないかも!私もアルツハイマーかも〜!!みたいな恐怖がありました。(汗)
記憶力を失いながら、娘の結婚までは現役でいたいと、降格人事の憂き目にあいながらも、働き続ける渡辺謙の姿と、彼を何とか支えて行こうとがんばる樋口可南子の姿は、演出の自然さもあいまって心を揺さぶります。
堤幸彦監督ならではの映像を見せてくれるシーンもある。特に、渡辺謙が幻覚や恐怖に襲われるシーンの映像や演出は、「トリック」や「金田一少年」を彷彿とさせます。
この作品は一人の働き盛りの男性の闘病記であり、家族の絆というものを描いた秀作です。唯一、誰にでもお勧めできる堤作品でもありますよ〜。
チ〜ン。(かなり泣いたので鼻をかむ音)

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