「不味い!」
小泉武夫 (新潮文庫)
ISBN: 4-10-125941-0 ¥420(税込み)
裏表紙 解説より
何だこれ! こんなもの喰えるか!ふつふつと沸きあがるあの怒り、あのわびしさ、あの悔しさ。 〜 中略 〜 自らの苦闘と悲劇を糧にして、不味さがどこから来るのかを科学的に、ときに感情的に解き明かす。本当の美味しさを知るには、まずは不味さを知るべし!
著者の小泉武夫先生は、東京農業大学の醸造学、発酵学、食文化の先生。良くテレビにも出ていて、お話の面白さに感心していたので、本屋で見かけて思わず衝動買いしてしまいました。テレビでは、納豆の素晴らしさについて語っていたのですが、私その後しばらく毎日納豆を食べてました。(笑)
ここには身の回りの食品から、異国の珍味まで、30点あまりが紹介されているのですが、不味さの正体を、いちいち科学的に分析して解説してあるのが、おかしくてあっと言う間に読み終えてしまいました。
私は全くグルメではないので、食べ物の良し悪しより、実はお店の雰囲気の方に神経質な方。まったく気がきかない、バイト店員さんがいる様な、繁忙な店に入ろうものなら、神経がやられてしまいそうになります。(大げさか)「何で、あのお客さんに水を出さないんだ! あの人、もうかなり待ってるよ。あ、今、新しく入ってきたじゃないか〜。」等、心が休まりません。(笑)店員の態度があまりのも悪い店に入ると、もうアウトですよね・・。
とは言え、観光地で食べた食事にがっかりしたり、お店の雰囲気だけお洒落で大した事のない創作料理にがっかりする事って良くありますよね。
小泉先生は、およそ人間が口にするものなら、何でも食べてみる食のプロフェッショナルで、世界のあちこちで、虫やら、蛇やら、ワケのわからない発酵食品を食べまくって、「不味い」と言ってるんだから、唖然としてしまいます。(笑)
今回、はじめて知った世界一臭い食品をご紹介します。
スウェーデンのニシンの発酵缶詰
「シュール・ストレミング」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0
臭みの強さを測定する機械というのがあって、(「アラバスター」と言うそうです。)それで計ると、納豆は352 焼いたくさやが1267 この本の中でも紹介のあった強烈なアンモニア臭のする韓国のホンオ・フェというエイの発酵食品が2230、そしてこの「シュール・ストレミング」はぶっちぎりダントツの8070なんだそうです。恐ろしいよ〜。本国でも地獄の缶詰と呼ばれているこの缶詰を開ける時は、厳重な注意事項があるのです。開けた途端に中味が炭酸ガスとともに飛び出してくるので、
1 必ず戸外で開ける。そして戸外で食べるのが望ましい。
2 いらなくなった服(レインコートが最適)を着る事。
3 風下に人がいないことを確認する。
先生曰く、「私は百戦錬磨の達人なので何とかなるが、普通の人は気絶するかも」との事です。
幸い、食品衛生法の問題で日本では現在は販売されてないそうですよ。ふ〜・・。
食文化っていうのは、面白い物ですね。
美味しいものってホントに、人生の喜びの一つで素晴らしいものだけど、ダークサイドにいる不味い食べ物たちっていうのも、奥が深いものだな〜・・と思った1冊です。

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