1949年/日本 (監)黒澤明
(演)三船敏郎 志村喬 淡路恵子 木村功 河村黎吉 千石規子 千秋実 東野英治郎 伊藤雄之助
☆☆☆★★★
終戦から4年たった1949年(昭和24年)製作、黒澤明の9作目の作品は、敗戦の傷跡を残しながらも、少しづつ復興しつつある東京を舞台にした刑事ドラマ。
ベルギーの推理小説家ジョルジュ・シムノン(メグレ警部シリーズね)のファンだった黒澤監督は、当時実際にあった「巡査がピストルを盗まれる」という事件をもとに、社会派の犯罪映画にとりかかる。
炎天下の夏の午後、新人刑事の三船敏郎は、バスの中でピストルを盗まれてしまう。スラれたピストルの行方を追って三船は行動を起すが、そのピストルによって障害事件、殺人事件がおきてしまう。ベテラン刑事の志村喬とともに二人は、犯人を追跡する・・。
この作品は何が良いと言って、私にとってはとにかく廃墟の残る東京の風俗描写がたまらない。私は、戦後の焼け跡、闇市、必至に生きのびようとする人々の様子がたまらなく好きで(というか物凄く心を動かされるのです。)、写真集も買ったりした位。GHQ占領下の東京の写真ならどれでも欲しい!何でこんなに惹かれるのかわからないんですが、とにかくその時代を背景に、戦争で自暴自棄になってしまった青年が犯す犯行と、それを追う刑事の姿をセミドキュメンタリータッチで描いた秀作なのです。
バラックの様な家が立ち並ぶ貧民街、復員兵の姿で犯人を探す三船の姿、レビューの踊り娘達の休憩時間の生々しい描写、かぼちゃをつまみに配給のビールを飲む刑事二人、巨人対南海の試合シーン、アプレゲールという言葉等々、今から見ると当時の様子を残す貴重なドキュメンタリーフィルムの様です。
またとにかくドラマも良いんです!素晴らしいんです。細かくあげつらっているとキリがありませんので、未見の方是非見てみて下さいね!尚、最後に絶対に言っておきたいのは、若き三船敏郎の美青年ぶり!もう、「ルードヴィッヒ」のヘルムート・バーガーも真っ青だよ!っていう位の美しい表情のシーンがあったんですが、さてどこでしょうね〜。(笑)

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