1949年/日本 (監)黒澤明
(演)三船敏郎 志村喬 三條美紀 千石規子 中北千枝子 植村謙二郎
☆☆☆★★★
1949年、昭和24年。この年、下村国鉄総裁事件が起き、湯川秀樹がノーベル物理学賞を受賞した。
前年の「酔いどれ天使」に続き、医者が主人公のこの作品は、黒澤映画の中では地味めの作品ではあるものの、彼らしい社会派ヒューマニズムにあふれる映画で私は大好きな作品。ヤクザ役ばかりが続いていた三船敏郎を、周囲の反対を押し切り知的な医師役で起用し、三船の役者としての可能性を広げた作品でもある。
昭和19年、戦況不利の南方戦線の野戦病院で、軍医の三船は梅毒患者の手術中に傷口から感染してしまう。終戦まで十分な治療が出来なかった事から、梅毒を悪化させてしまった三船は、婚約者にも別れを告げ、病と戦いながら、貧しく不幸な患者のために力をそそぐ決意をする。
メスで傷をつけてしまった指から梅毒に感染!
結核に続き今回は梅毒。原作は菊田一夫の舞台劇「堕胎医」。本来主人公の医師は、発狂して死んでしまうらしいです。それを映画では未来のあるエンディングにしているのは、黒澤監督らしい。それに梅毒が治らない病であるというイメージを観客に与えるのも、当時の世相的にも良くないし、現代で言えばAIDSをテーマにした作品だと思ってもらえれば正しいと思う。そういう意味でも、決して古びたテーマの作品ではないし、人間の生き方を問う映画でもある。
まずは、とにかく三船敏郎が、ハンサムなんで見惚れてしまいます。(笑)妊娠させられた男に捨てられて自殺を図り、三船医師に助けられた元ダンサーの千石規子も物凄く良かった!彼女の演技の中でも最高かも!やさぐれて自暴自棄になっていた最初のシーンと、看護婦の免許を取得したラストのシーンの違いを是非ご覧いただきたいです。
次回は「醜聞 スキャンダル」です。まだまだハンサムな三船敏郎が楽しめるよ〜〜。(笑)

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