MIDNIGHT COWBOY
1969年/アメリカ (監)ジョン・シュレシンジャー (演)ダスティン・ホフマン ジョン・ボイト
☆☆☆☆
開巻、ニルソンの歌う「噂の男」 "Everybody's Talking"が流れてきただけでド〜っと涙が出てきてしまう。
1969年のアカデミー作品、監督、脚本賞を受賞したアメリカン・ニューシネマの秀作。
自慢の体を武器に、ニューヨークでジゴロとして一旗あげるべくテキサスからやってきたカウボーイのジョー。しかし、現実は思うようにいかず、孤独感に襲われていくなか彼は、肺病を病み片足が不自由なラッツォと呼ばれる小男と出会う。
ニューヨークではカウボーイ・スタイルはゲイ専門の男娼の印。
手持ちの金も底をつき、男に体を売るまでに落ちていく彼は、ラッツオとの出会いによりお互いの孤独を癒しあう様に、奇妙な友情で結ばれていく。
久しぶりで再見したのですが、これほどまでに残酷で、かつ心優しい作品だったかと、あらためてビックリしてしまいました。
ラスト、ラッツオの憧れの地、マイアミへと向かうバスの中で彼が息を引きとるシーンの美しさと哀しさ。大好きなヤシの木のガラのシャツを着て、ジョーに抱きかかえられながら。
こういう作品があるから、映画を見るのはやめられないのです。
主人公ジョー役のジョン・ボイトは、アンジェリーナ・ジョリーのお父さん。
若い彼は、笑顔が娘とそっくりだった。やっぱ親子なのね〜。
ジョン・ボイトも素晴らしかったのですが、ダスティン・ホフマンには、やっぱり参ったよ!
上手い!これが、「卒業」の翌年の作品だから恐ろしいほどの才能だよね。
おまけ 私のダスティン・ホフマン名演ベスト3
「わらの犬」
サム・ペキンパー作品。暴力に耐えつづけるホフマンが、ついにぶち切れてチンピラを次々に片付けていく。この作品はスーザン・ジョージも良いんだよね〜。
「パピヨン」
実話の映画化。無実の罪で投獄されたマックィーン(彼も凄い演技よ!)が13年後、ついに脱獄を成功させるまで。(その後彼はこの原作を書いた。)彼を見守る囚人仲間のドガがホフマン。マックィーンの迫力にまったく負けない確かな演技が素晴らしい。
「レニー・ブルース」
ボブ・フォッシー監督の名作!これが私のホフマン映画ベスト!
セックスや人種問題をテーマに過激な喋りで、政府からも目をつけられていた実在のスタンダップコメディアン、レニー・ブルースの生涯。本人がとりついたかの様な鬼気迫る演技に唖然とするよ。
やっぱ、彼は70年代がサイコーだわ〜。

0