2018/7/22  17:22

李陽冰 篆書千字文  篆刻

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殺人的な酷暑が続いております。頸椎の具合もおもわしくなく引きこもりの生活が続いていますが手先のトレーニングだけは休むと感覚が鈍るので、最近非常に気になっている古典の一つ李陽冰の篆書千字文を臨書しそれをオマージュする形で数点刻してみました。

李陽冰は唐代の能書家ですが秦漢代以降徐々にすたれて永らく絶えていた篆書を、「始皇七刻石」の一つ「嶧山刻石」(えきさんこくせき)に学び、復興させた人物で、孔子の「呉季札墓誌」で筆法を磨き、また唐代初期に刻されたという「碧落碑」と呼ばれる小篆の碑を愛好して何日も何度も碑に見入り、とうとう碑のそばに泊まり込んでまで書法を学んだという逸話の持ち主。いずれも伝説の域を出ないのですが、かなり早い時期から篆書に傾倒し、その書法を徹底的に学んだのは確かなようで、改革者として篆書復興に尽力した書人です。また顔真卿と懇意で顔碑の篆額のほとんどを手掛けたとされます。
この一見稚拙というかコケティッシュというか間が抜けたような可愛らしさを持つ文字達ですが、習ってみるとどうしてどうして…、その分間布白の妙味たるや恐るべき計算がなされており驚愕します。完白山人も李陽氷を習い千字文を残しているわけで後世にも多大な影響を与えたことは言うまでもありません。全体的なバランスといい曲線の流れとその配置には、初世中村蘭臺なども大分学んだのではないかと察するところが幾多もあります。
篆刻家は一度は習うべき古典の一つではないかと認識をあらたにした次第です。

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清朝の作家の篆書作品のように緩急や筆の休み場所がなく、一本の曲線は筆幹を巧みに回したり戻したりしながら一気に書き上げねばならずかなり難しい。

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分間を極力統一させ、ときにぽっかりと空間を印面に随所に配置して粗密を付けてみました。

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やはり分間の統一を意識しつつ、文字の大小などは比較的自由に変えて、ベクトルが縦横無尽に絡み合うように。

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篆書には全て当てはまることですが、この古典に関しては特に優れている点でもある、文字の充実感。曲線の内側の空間の張りというか気が充満していて今にも破裂しそうなパンパンな臨界状態。この気の充実感は弓道でいうところの「会」の状態に似ている。

いずれにしても、今までどうしてスルーしていたんだろうと思うくらい素晴らしい古典だと思いました。いつかこの古典に習う形で、内藤香石が残した千字文全文刻印よりもさらに小さな材で全文刻印を作りたいという衝動に早くも駆られていますw
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