1954年/日本 (監)成瀬巳喜男 (演)原節子 山村総
上原謙 杉葉子
☆☆☆★★★
原作は川端康成。
DV系浮気夫の上原謙と上手くいっていない、妻の原節子は、同居している舅の山村総の優しい気遣いのおかげで何とか夫婦生活を続けている。しかし、夫が別の女性を妊娠させた事を機に、離婚を決意するまでのお話。
映画では実の父親の様に優しい存在の舅だが、原作ではもっと倒錯した感情が、二人の間にはある事がわかる。
当時の映画ではそこまで表現できなかったのかもしれないが、舅の前で鼻血を出す原節子、能面に原節子の表情を見る舅の描写等でその感情を匂わせているのは、成瀬巳喜男ならではだと思った。
とにもかくにも、昭和20年代の日本映画は本当に何もかもが美しい。
今の日本社会、日本映画が失ってしまったものの全てがある。
そして日本映画が誇るハリウッド級美人女優の原節子がいた。
こんな美人が、ちゃぶ台の前で、台所で、障子を張り替えながら、涙を見せ、大輪の笑顔を見せてくれる。
同じ成瀬監督の名作「めし」 泣けます。立ったままお茶漬けをかきこむ原節子。たまりません。
木下恵介監督の「乾杯お嬢さん」没落令嬢の原節子の可愛らしさ。
アメリカ映画っぽいコメディ感覚も秀逸の傑作。
そしてそして私の最も愛する日本映画の1本、小津安二郎の「晩春」
「哀愁」のビビアン・リーもしのぐほどの美しさ。
とにかく み・て・ね!


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