Perfume The Story Of A Murderer
2006年/ドイツ・フランス・スペイン (監)トム・ティクヴァ
(演)ベン・ウィショー レイチェル・ハード=ウッド アラン・リックマン ダスティン・ホフマン (ナレーション)ジョン・ハート
☆☆☆★★★
原作は1985年にドイツの作家、パトリック・ジュースキントによって発表された小説「香水」。世界45ケ国語に翻訳され推定で1500万部、ドイツ国内では400万部の大ベストセラー小説。実は、日本語訳版が出版された当時、私も読んでいるのですが、どうもピンとこなかった作品。しかし今回映画化作品を見て、あらためて読みなおしたいという衝動にかられています。
時は18世紀のパリ。セーヌ河沿岸に並ぶ、魚市場で仕事中の母親にその場で産み落とされた赤ん坊は、死産と決め付けられ、魚のはらわたとともに捨てられた。息を吹き返したその赤ん坊は、人類に二人といない嗅覚を持つ存在だった・・。
いつかご覧になるときのためにストーリーは詳しく書かない様にしておきますが、とにかくこの作品で感心したのは、トップシーンの魚市場のシーン。悪臭に溢れかえるパリの町の中でも、最もひどい臭いに満ち溢れていたであろう、魚市場の、その臭いの凄まじさを映像で表現しようと言うシーンで、感覚に訴える画面の鮮やかさにまず唸らされました。
小説の中のパリの描写。
「川は臭かった。広場は臭かった。教会は臭かった。宮殿もまた橋の下と同様に悪臭を放っていた」
数奇な運命をたどり、やがて香水職人の弟子になった主人公のグルヌイユ。ここからは、香水の世界の秘密という新たな興味に、気持ちが惹き付けられます。実は、私は結構、フレグランス好きなのです。香水売場で、香りのテスティングのし過ぎで気持ち悪くなってしまった事もしばしば。
そう。色々な香水に接しているとわかるのですが、安物はやっぱりダメ。きちんとした名のある香水は、好みの差こそあれ、深みを持っているのが実感出来ます。そんな香水作りのテクニックが紹介されるのも、勉強になりました。
しかし、グルヌイユの才能は、そんなレベルではとどまらない。至高の香りを求めて、次々と殺人を重ねていく。そして出来上がった香水とは・・。
お話の奇抜さと、味わいのあるナレーションの活用によって、不思議な世界を繰り広げていく作品です。グルヌイユの香水の師匠の役を演じたダスティン・ホフマンが、「アクターズ・スタジオ・インタビュー」でこの作品について語っていたのですが、「ティクヴァ監督は、まだ若く、感性だけでおしきっていく監督だが、そのチャレンジ精神が素晴らしい」と言っていたのが、今回作品を見てよく理解出来ました。ティクヴァ監督は「ラン・ローラ・ラン」の監督です。
皆さんも、是非この濃密な香りの世界にひたってみて下さい。
おまけ
私の一番好きな香水。(失笑しないでね)
CHANEL No.5
決して水商売の人用の香水ではない!同じく大好きなディオールの「プワゾン」も然り!是非、このステキな香りの深みを堪能して下さいませな。尚、今はお金がないので、もっぱらBodyshop愛用です・・。(金額のわりにはグッドなのよ。写真はOceanusです。)

0