暗号解読 The Code Book
サイモン・シン著 新潮文庫
上巻 ISBN 978-4-10-215972-9 ¥620(税込)
下巻 ISBN 978-4-10-215973-6 ¥660(税込)
☆☆☆☆
「フェルマーの最終定理」「ビッグバン宇宙論」に続き、サイモン・シンの「暗号解読」を読みました。以前から読みたかったのですが、今回文庫になったのを機に早速購入。
古代から、人は秘密を守るために暗号を考案してはそれを破ってきた。それは現代に至るまで続く、暗号作成者と解読者によって人知れず行なわれてきた知の攻防戦。
とにかく、面白かったです!前2作と同じく、これも知的興奮と、人間達の織り成すドラマに感動する事うけおいです。サイモン・シンって、素晴らしいジャーナリストだね、ホントに。
まずは、かの有名なスコットランド女王メアリーの使った暗号からスタート。最も単純なアルファベット換字式暗号の歴史が語られる。私が完全に理解できた暗号はこれだけ。(汗)
主に戦時メッセージのために使われた暗号は、その必要性から、解読される度に新たに複雑な暗号を生み出し、難解なものへと進化していく。
時代は移り、ドイツの発明した有名なエニグマ暗号になると、私の頭ではもはや理解不能。つくづく自分の頭悪さ加減がイヤになります。難攻不落と言われたこの暗号を解読したのは、ポーランド人。最も必要とする人間がやはり最も必死となる。解読者は、ポーランドがナチス侵攻直前に、かろうじて解読方法をイギリスへと伝授した。
そして現代の暗号と言えば、インターネット上での暗号にほかならない。このあたりなると、非常〜に難しくて私にはかいつまんで説明できないので、興味のある方は是非、本書を読んでみて下さい。うわっつらだけですが、ネット上の暗号とはどういうものなのかと言う事が、少しばかり理解出来ました。それだけでも、私にとっては凄い進歩です。(笑)
そして、そして最終章は、未来を担う「量子コンピューター」の概念の説明。実は、私、以前にもどういうものなのかを知りたくて、雑誌の特集を読んでみたこともあるのですが、全く理解不能。今回も理解出来ず・・・。(汗)私の知能レベルの限界です。大体、量子力学の概念すら理解出来ないよ。SFみたいなもんですよ、ホントに。とにかく、このコンピューターの開発が成功すると、世の中全てが変わるのは間違いないのは、わかりました。
量子力学の父の一人である、ニールス・ボーアの言葉には、ちょっと勇気づけられます。
「眩暈を覚えずに量子力学について考える事の出来る人は、量子力学がわかっていないのだ。」
そしてこのコンピューターに対抗すべき「量子暗号」が開発された時点で、暗号攻防は終了するんだそうです。なぜなら、「量子暗号」が解読される事は不可能で、(説明は省きますが。出来ないし。)解読される事=物理法則が全て間違っているということに他ならないからだそうです。
最後にもう一つ。暗号ではないのだけれど、使う人がいなくなってしまったために、強烈な暗号となってしまった古代文字解読の歴史にもこの本は触れていて、これまた非常に感動的でした。
そして先日「ウィンドトーカーズ」でもご紹介したナバホ語暗号の章も必読ですよ〜!
エニグマ暗号機。 何か、感動〜。(涙)


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