M★A★S★H
1970年/アメリカ (監)ロバート・アルトマン
(演)ドナルド・サザーランド エリオット・グールド ロバート・デュバル サリー・ケラーマン トム・スケリット
☆☆☆★★★
M・ A・ S・ H とはMobile Army Surgical Hospitalの略で野戦病院の事。1970年代の作品だし、見たのがだいぶ前だった事もあり、てっきりベトナム戦争が舞台かと思ってたら、朝鮮戦争だったので驚いた。
ある野戦病院に人手不足からサザーランドとトム・スケリット演じる二人の医師が補充された。ところがこの医師たち、軍規を無視してやりたい放題。途中エリオット・グールド演じる医師も加わり、馬鹿らしいハチャメチャ騒ぎを繰り広げていく。
実は昔、名画座でこの映画をはじめて見た時は、「この作品はムリ・・・。」っていう感じで大嫌いな作品だったのですが、今回再見したらもの凄く面白くって、笑いころげてしまいました。
女性看護士と関係してみたり、手術用の薬物を乱用したり、ゴルフをしたりとバカ騒ぎばかりしている医師達なのですが、やたらリアルな手術のシーンではいたって優秀。悪ふざけと手術シーンが交差して一つのペースをつくりあげているのに感心。それと、ラジオ東京から流れる日本語の歌もしぶい。(笑)
後半は大金をかけたフットボールの対抗試合になるのですが、こちらも爆笑。医師たちに反発していたS・ケラーマン(ホットリップス)が、何時の間にかチアリーダーになってるのもかなり笑えます。彼女もちょっとイカレタ女なのに、看護士としての腕は良く優秀。
戦争、軍隊、フットボールに代表されるアメリカン・マッチョな世界を風刺したブラック・コメディーではあるのだけれど、アルトマン監督は恐らく人の命を対象にしたくなかったんだろうな・・と私は理解しましたけど・・。
1970年代には反戦を題材にした作品が、あれこれとあったけど、この作品は「失われたアメリカの夢」を嘆くのではなく、「アメリカにもともと夢なんてないよ」っていう軽いスタンスなのが、ユニークだと思う。カンヌでグランプリをとったけど、ヨーロッパの方が確かにこの作品は評価高そうな感じです。
即効的な演出っぽいし、カメラワークも荒いけど、歯科医が自殺を決めた夜の、「最後の晩餐」を模したシーンはなかなか美しい。それと、オープニングで流れるテーマ曲の「自殺のすすめ」 Suicide Is Painless は素晴らしい曲だな〜。サントラ欲しくなっちゃう。あの怪しい日本語の歌の数々も収録されてないかしら。(笑)
しかし、やっぱり70年代の映画は(音楽も)良いですね。作者のメッセージやテーマがビンビン伝わってくる。アメリカは本当は、とってもナイーブな国なんだよね・・って思います。

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