Morocco
1930年/アメリカ (監)ジョゼフ・フォン・スタンバーグ
(演)ゲーリー・クーパー、マルレーネ・ディートリッヒ アドルフ・マンジュゥ
☆☆☆★★★
アフリカのモロッコ。灼熱の太陽の下で行進するフランス外人部隊に加わっているアメリカ人ゲーリー・クーパー。パリからこの地に流れてきた歌姫のディートリッヒ。この二人は愛し合う仲となるが、大富豪のアドルフ・マンジュゥが彼女に求婚している事を知ると、身を引きアラビア反乱軍討伐に出征してしまう。自棄になった彼女は,富豪の求婚を受け入れてしまうが・・。
私の一番好きな外国人男優はゲーリー・クーパーなので、この作品を機に彼の魅力を記事にしようと思ってたのですが、ディートリッヒのオーラたるや絶大で、今回は彼女の素晴らしさについて、語ってみたいと思います〜。
1時間30分ほどのモノクロ作品。二人が熱愛の仲になるまでの詳しい描写があるワケでもないし、背景についての説明などもほとんどないのですが、クーパー/ディートリッヒの存在感だけでドラマを構築させている、まことに映画が映画であった時代の作品です。
開巻、カフェの場面で、ディートリッヒが男装をして歌う"Quand L'Amour Meurt"のシーンがまず素晴らしい。女性の客に近づき口づけをするシーンなど、昔のヨーロッパの男装の麗人たるや、こういう存在だったんだなと納得させられました。その後水着姿でりんごを売りながら歌うのは"What Am I Bid For My Apple?" 確かに体型だけいったら、今の女優の方がはるかに美しいボディだけれども、この存在感だけは誰にも出せないだろうと思った。彼女の仕草の一つ、一つが計算されつくされていて、かっこ良いことこの上なし。女優でこういうタイプは本当に希だと思う。
特に酒場で酔いつぶれていたクーパーに再会した時の彼女のかっこよさはどうだろう。そして一転して、砂漠への行進がはじまった部隊の後を裸足になって追う彼女の情熱の表現。
豪華な屋敷に住み、毎日の様に高価な贈り物をしてくれる男性を捨てて、私も彼女の様に、好きな男の後を追って砂漠への行進に加われるだろうか?もしもそれが出きるのならば、きっと私はその瞬間、最高に幸せを感じる事だろう。
(映画のせいで、かなりロマンチストになっております。笑)

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