Le Peuple Migrateur
2001年/フランス(監)ジャック・ペラン(共同監督)ジャック・クルーゾ ミッシェル・デバ
☆☆☆★★★
ジャック・ペラン監督が、昆虫たちの世界を素晴らしい映像とユニークな視点で捉えたドキュメンタリー「ミクロコスモス」の製作に続き、再び生き物の世界に挑んだ感動ドキュメンタリー。撮影に3年、製作費に20億円を費やし、100種類以上の渡り鳥たちとともに地球全土を旅した末に完成したかつてない鳥の目線による驚異の映像が展開する。
私の大好きなアメリカ映画「グース」でも登場していた、鳥の目線で撮影された映像が今回は更にグレードアップして、CG撮影と見紛わんばかりの美しいシーンを見せてくれる作品です。
ナレーションは最低限におさえられ、科学番組の様な解説がほとんど入らないので、少し物足りなく思う人もいるかもしれないけれど、この作品はあるがままの鳥達の姿を映像で捉えることによって,大自然の素晴らしさを体感してもらう事を狙いにしている作品です。
鳥達の目線から捉えられた地球。大陸を横断する鳥、海を渡る鳥、山を越える鳥。大都市部を通過する鳥。何万年と繰り返されてきたのであろう渡り鳥達の姿を見ていると、人間の世界での紛争、人間達の作った国境線といったものが、恐ろしくつまらないものに見えてくる。以前、鶴のエベレスト越えの映像を見て感動したことがあるのですが、今回はさらに多くの感動的な映像を見ることが出来ました。極アジサシという鳥は、北極から南極までを渡りのルートにしていてその距離20,000キロだそうです!
過酷な渡りの最中で、狩猟によって撃たれる鳥。定番ルートの水辺が工場廃水によって汚染されている事もある。繁殖地が農業地帯になり、巣づくりが出来なくなっている事もある。人間による弊害も描写されるが、ナレーションがかぶさるワケでもなく映像は続いて行く。そのことによって鳥達が渡りをやめる事はないからだ。
自然の中で生きる生命は本当に美しい。鳥達は進むべき方角を星の位置や、身体の中にある磁場を感じる器官で知ると考えられているらしい。人間もかつては、大自然の生物の一部として、そういう感覚を持っていたのかもしれない。今はそれをすっかり退化させてしまったのかも知れないけれど、美しいものを美しいと感じる事が出切る脳を授かった事には感謝したいです。
ところで、監督のジャック・ペランは60年代を代表する二枚目俳優。最近だと「ニュー・シネマ・パラダイス」で成長したトトを演じている俳優さんです。今回、この記事をつくるにあたって、はじめて気がつきました!ジャック・ペラン監督について、ファンの方がつくったサイトを発見しました。ご興味のある方は下記アドレスまで。
http://www.geocities.jp/siro324/index03.htm

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