随分前に購入して未読になっていた、新潮社編集による警察小説アンソロジー2冊を、入院の時間を利用して読みました。何だか「火曜サスペンス」レベルだな・・・って感じの作品もありましたが、異なる著者の短編集と言う事もあるし、警察ものが好きな私にとっては、病院のヒマな時間に読むにはもってこいの内容でした。
それほどお勧めっていうほどでもないのですが、ちょこっとご紹介させていただきます。
「鼓動」
新潮文庫 ISBN 978-4-10-120845-9 ¥629(本体)
☆☆☆★★
大沢在昌 「雷鳴」
今野敏 「刑事調査官」
白川道 「誰がために」
永瀬隼介 「ロシアン・トラップ」
乃南アサ 「とどろきセブン」
何だかんだで、やっぱり大沢在昌の作品がベストです。これは「新宿鮫」外伝みたいな短編で、短いお話なんですが、構成が見事だった。ロッカーの恋人さえ出なければ(笑)鮫島はこんなにも魅力的な男だ。本当に惜しい!その他はまあまあ。乃南アサの作品は町のおまわりさんものなんですが、ほのぼのしててわりに良かったです。全く力まない描写はなかなかだと思いました。面白かったし。
「決断」
新潮文庫 ISBN 978-4-10-120846-6 ¥629(本体)
☆☆☆★

逢坂剛 「昔なじみ」
佐々木譲 「逸脱」
柴田よしき 「大根の花」
戸梶圭太 「闇を駆け抜けろ」
貫井徳郎 「ストックホルムの埋み火」
横山秀夫 「暗箱」
こっちは「鼓動」よりわりに地味め。逢坂剛の作品は、トリッキーでなかなか良いのだけれど、
ちょっとあり得なくな〜い?ていう感じも。戸梶圭太と貫井徳郎の作品は、私はダメ。貫井徳郎の作品は、ネタバレしちゃうけど「刑事マルティンベック」の息子の話なんですが、中味のあまりの浅さにビックリしちゃいました。その他の作品は、地味なお話なのですが、私好みでした。警察が主人公の小説と言うのは、何も大きな事件が起きなくても、人間の内面さえしっかりと描かれていれば、読み応えのある作品になるものだな・・と再確認出来ました。もちろん、これはどんなジャンルの作品にも言える事なんですけど。佐々木譲作品は、昔、テレビで放映されてたアメリカのテレビシリーズ「ポリス・ストーリー」を思い起こさせました。(これ素晴らしいドラマだったんですよ〜。どなたか覚えてる人いませんかね?)最後の横山秀夫の作品は、やはりこの中ではベストです。人生のどうしようもない残酷さが描かれていて、つらい内容ではありました。
何だか読み終わってから、交番で見かけるおまわりさんを見る目がちょっと変わったりしました。(笑)今度は、外国の警察小説を読みたいな〜。

0