Finding Neverland
2004年/イギリス・アメリカ (監)マーク・フォースター
(演)ジョニー・デップ ケイト・ウィンスレット ジュリー・クリスティ ダスティン・ホフマン フレディ・ハイモア ケリー・マクドナルド イアン・ハート ラダ・ミッチェル
☆☆☆★★
名作「ピーター・パン」誕生にまつわる物語を描いたドラマ。1903年のロンドン。新作不評で気落ちしていたジェームズ・バリは、散歩に向かった公園で若い未亡人のシルヴィアとその4人の幼い息子たちと出会う。少年たちとすぐに仲良くなった彼は、中でもどこかクールで少年らしさの見られない三男のピーターを気に掛けるようになる。やがてジェームズと親子との交友が深まっていき、子供達、特にピーターにインスパイアされ彼は1904年に「ピーターパン」を発表する事になるが・・。
ジェームズ・バリは、当時既に著名な劇作家だった。映画の中ではくわしい説明は全然ないのですが、イアン・ハート演じる友人のアーサーとは、アーサー・コナン・ドイルの事です。それにしても、彼の名声を決定的なものにした「ピーターパン」創作の背景にこんなドラマがあったとは知りませんでした。ジェームズ・バリは、社交界での不倫疑惑、小児猥褻疑惑といった噂をたてられながらも、この母子との交流を深めていくのですが、その事がきっかけで妻と離婚にまで発展してしまう。
ジョニー・デップ演じるバリが、子供達の創造力豊かな姿に引き込まれ夢中になっていく姿、女手一つで子供達を育てているケイト・ウィンスレットへの思い、やがてそのファンタジーが新作劇「ピーター・パン」になっていく過程が、ドラマチックすぎる事もなく、嫌味にもならず、流れる様にストーリーを展開させていく技量には感心しました。それに何と言っても、20世紀初頭イギリスの社交界、演劇界の様子の描写が素晴らしかったです。監督は「チョコレート」のマーク・フォレスター。
所々に挿入される、ファンタジックな映像も楽しいし、美しい。普段あまり見られない、ジョニー・デップのストレートな演技も楽しめて、見てよかったと思える作品でした。
ジェムズ・バリはその後も子供達の後見人として世話を続けたとの事。でも、長男は第一次世界大戦で戦死。次男は大学生の時に溺死。ピーター・パン創造のもととなった三男のピーターは60代の時に自殺をしてしまったそうです。現実の世界はやはり辛く、とても厳しいもの。だからこそ、人間にはファンタジーが必要なんだろうな・・と思いました。

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