「さよ〜おならぁ〜とぉ〜、泣かぁ〜ないでぇ〜・・。」♪
五木ひろしの歌う主題歌がいまだに忘れられない、テレビシリーズの「日本沈没」が放映されていたのは、1974年。年齢が思いっきりバレますが、私が小学校5〜6年生の頃。幼心に、沈みゆく日本国土の描写に毎回、涙していたのを覚えています。(DVDも発売されてて、かなり評価も高い様なのですが、いかんせん30,000円近いので買うのは断念 涙 )
年月は過ぎ去り、21世紀、平成の世に。
「日本沈没」の映画版リメークの波にのり、「日本沈没」ブーム再びという感がありましたが、これを機会に原作の小説をまず初めて読んでみました。
「日本沈没」 上下巻
小松左京 著 (小学館文庫) 各 ¥571(本体)
☆☆☆★★
小説としてはそれほどの作品ではないと思ったものの、地質学の説明(図説付き)などもかなり盛り込みながらの、サイエンス・フィクションで日本が沈没したらどうなるのか・・という発想の奇抜さも加わって、ベストセラーになったのもさもあらんという作品でした。また政府の対応なども、かなり細やかに描写されているのも臨場感溢れていて良かったです。恋愛描写が今ひとつなのと、科学的説明が多すぎて読みにくいのが難。
その後、映画を見たのですが、昨年公開のリメーク版と1973年公開の旧作を、それぞれ初めて見て、色々と思うところがありました。
まず先に新作を見た。特撮好きなので、どんなCGが見れるかワクワク。
「日本沈没」
2006年/日本 (監)樋口真嗣 (演)草薙剛 柴咲コウ 豊川悦司
☆☆☆
特撮も何もあったもんじゃない。脚本が最低。原作よりかなり設定が変えてあり、時代背景にあわせる意味もあるだろうし、それは構わないのだけど、どうしてこうなっちゃうの?っていう内容で、見てて哀しくなりました。主人公の小野寺が、何であんなにヘナチョコ男なの?マッチョな役を芝咲コウにふってるのに、彼女も同じ位ヘナチョコ。ヘナチョコ同士の恋愛なので、大人の恋愛ではない。アニメ出身の監督はダメだ!とつくづく思いました。それとも今の日本人は自分のことしか考えないヘナチョコしかいない国だよ〜っていうメッセージなのかいな?重要人物の田所博士(トヨエツ)は、ど〜でも良い様な配置。総理代行で国をひっぱる役目になる大地真央が彼の元妻である必要がどこにあるんだろうか?原作を大きく変えてしまっているラストの落ちも唖然・・。
そして旧作も見た。
「日本沈没」
1973年/日本 (監)森谷司郎 (演)藤岡弘 いしだあゆみ 小林桂樹 丹波哲郎
☆☆☆★★★
原作に忠実。しかしこの作品が成功しているのは、そのせいではない。登場人物が、しっかりと人間らしさを持っているからだ。とても単純な事なんだよ。特撮はほとんどミニチュアと合成で、今にも怪獣でも出てきそうな画面だけど、ドラマがしっかりしてればそんなの関係ないんだよね。森谷監督は、「赤ひげ」位まで黒澤明の助監督だった人だし、脚本は橋本忍!(「七人の侍」の脚本家。他も凄い作品ばっかりよ。)なのでスタッフに差がついてるのは否めないけど・・。映画ってやっぱり脚本だよね〜。それとこの作品で総理を演じる丹波哲郎は最高に良かった。これよ!こういう人物を映画では描いて欲しいのよ!!(涙)
このブログでは、けなさざるを得ない様な作品は、とりあげない様にしているのですが、最近の日本映画(特に娯楽作品)が、あまりに幼稚なので、比較するためにピックアップしてみました。
今回のテーマはずばり
「日本映画の幼児化現象」
ああ、私は森田芳光監督の「椿三十郎」を見るのが、今から恐ろしいよ。(どんな作品になってるか、楽しみだけど。)

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