2006/3/7  23:12

鉄斎  篆刻

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あまりの面白さに一気に読み乾してしまったぁ。
著者の笠嶋忠幸氏は幼い頃から「書」に親しみ、
東京学芸大学の書道科の門をたたく。
後に学習院大学の博士課程に進まれ、現在は出光美術館の学芸員として「日本の書」を専門に研究されているという。
本格的に鉄斎と出会うのは同美術館の企画展。
「富士山図」における数々の疑問から笠嶋氏独自の謎解きが始まる。
研究書にありがちな、堅苦しさや回りくどさなど微塵も無く、
言葉の選び方も適切で極めて緻密明快な構成がなされており、
痛快の極み。一気に読まされてしまった。
美術書をまるで刑事コロンボのミステリーのようにこんなにもワクワクしながら読んだのは初めての経験だ。
氏の、常に「本物」を観て来たいわゆる勘と、
研究の王道ともいうべき分類学的作業を丹念に行うことによって
鉄斎の数々の魅力的な画には個々にテキストが存在したのだという衝撃的な事実が浮き彫りにされる。しかし氏はそんな一見無機質な事実からも鉄斎の魅力を余すことなく引き出すのだ。
またその方法論や研究における作業工程までもが惜しげもなく披露されているので、ある意味では初学者に対する教育的配慮までなされているようにも感じた。
私は学生時、何かと鉄斎には触れることも多かったのだが、この本を読んで初めて鉄斎の魅力の一部に触れたような気がする。
とにかく久々の佳本だった。題名は『鉄斎「富士山図」の謎』学生社刊。書画に関る者の必読書と言っても過言ではないと思う。
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