2010/5/31  1:30

奥義か?  篆刻

ここのところ、天の香具山氏が現代中国の最高峰ともいえる著名な篆刻家G先生より、直伝された刀法について、丁亥印社社員で激しく研究しております。
かなり微妙な話ですし、しかも解り難いことこの上ないので、巧く説明できませんがお許しください。

以下は、私が今まで二十数年間続けてきた、いわゆる斜角入刀法と、そのG先生直伝の直裁法(仮称)にて同じ文言を同じ条件で刻し、双方を比較したものです。
先ずは、今まで私が行ってきた斜角入刀法での印面と印影をご覧ください。
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刻している最中は、布字線の際をしっかりと捉えながら刻すことが出来るので非常に彫りやすいのですが、刃先に働く力のベクトルが実線の方向と印面の奥方に分散されるために余計な力を入れなくてはならず、刃が石に食い込み進みが悪くなります。

そのため線一本を一気に彫り進むことが出来ずに骨格が寸断され、エッジの角度が微妙に異なり、X字の底も凸凹が残ります。線に自然な骨が得られていないことに注目。
また、始筆と収筆を拵えあげなければならず、僅かなミスタッチで不自然な溜りが出来ます。(羊字の横画など)

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斜角入刀での印影。出来るだけ線の際を自然に刻していますが、どうしてもエッジの角度がところどころで異なるため、捺印の強さや印泥の量によっては、不本意な被りが生じ、線の肌に望まない痩肥が出来ます。畢竟、骨格も揺らぎます(亡の中心線など)。

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さてこれは、直裁法での印面。余分な力を加えずに、線一本を始筆から収筆まで一気に刻せるため、エッジの角度にほとんどムラができず、したがってV字の谷底も一本筋が通り、それが即、線の骨になり書線としてとても健全な状態です。
自分で言うのも何ですが印面の美しさが物語っているでしょう?
始筆収筆の処理も最低限の補刀で処理することが出来、とてもシンプルです。
よく篆刻の入門書に出てくる図解されたものに等しく、模範解答のような印面ですが、あらゆる入門書に書かれてあるとおりに刻しても、絶対この印面にはなりませんw…保証します。
直裁法のみ可能だと思います。

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直裁法での印影。線に骨が通るので、立体的で強い線になり、筆画の交接部分も強靭になります。何より限りなく書線に近く安定感も出ますし、エッジの角度にムラが無いので、線の皮肌が清清しく清潔感も出ます。


私は、天の香具山氏に何度もしつこくご教示頂き、且つ図解までしていただいてようやく理解できました。今まで考えたことも無い刀法であり慣れるのに非常に時間がかかります。しかもこの刀法、口で巧く説明できない。そしてなにより石の中に埋もれている刃の先端を、刻している瞬間に先行想像しながら、刃先だけでなくまた切っているエッジだけでもない、刃渡り全体を意識して刻さないと出来ないのです。
しかし一度理解できると、今までの半分の力で刀が進んでいることを知覚できます。
全く余計な力がかからない。なにか武道の奥義を体得したような感覚になり、気分も高揚しますw

暫くはこの方法を出来るだけ自然に手に染込ませられるよう努力して、仕事をしようと思っています。
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