2017/4/21  0:20

刻字扁額  刻字

丸二日続けて作業したので、早めに仕上がりました。
柿渋に少し朱墨を多めに混ぜて茶色を強くし、うずくりで磨きました。
後はひたすら金箔置き。わりに渋めに落ち着いた表情になったと思います。

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彫りの深さは1cm弱。

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基底部の浚いは平鑿でなるべく平らかに凹凸を出さぬようにしたつもりですが、
それでも磨くと鑿痕が尻労出ますね。

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落ち着いた小篆体の場合には、粗いい斫りは合わないと私は思います。
私は斫りはあまり巧くないので書の雰囲気をなるべく壊さぬようにしています。
印部分は朱色のカシューの生塗り。

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文字の打ち込みは前回の金文同様、平鑿でなくあくまで丸鑿で当てています。
初世、二世蘭臺や関野香雲、松丸東魚の鑿痕も皆丸鑿で当てているのは、
線の含みやあや、深みが格段に上がるからでしょう。
ただし、丸鑿はランダムに適当に当てると線の骨を途端に壊してしまいます。
とくに「壽」字の右肩部の頂点の一鑿などは角度や入れる深さなど細心の注意を払わないと、
文字を脆弱にしてしまいがちです。
篆刻における浙派の刀痕が刻字をやるようになって今更ながら大変参考になるのです。
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小篆にて「延寿萬歳常與天久長」
制作開始から一月。桂材凸彫の半切扁額です。まだ途中の粗彫り状態ですが、これからさらにバリ取り、柿渋入れ三回に磨き、金箔置きを施してあと一週間ほど完成です。
やはり大物の凸彫りは彫る面積が広いので時間がかかりますね。彫りだけで4日かかりました。
線と線の間、底面の浚いと均しは気長にやるしかありません。仕事や他作品と同時並行して制作しているのでなかなか思ったようなスピードでは刻しきれません。途中経過としてupいたします。
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2017/4/14  20:34

大型九畳篆印「萬壽無彊」  篆刻

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「萬壽無彊」(6.5cm角)
実はここのところ続けて大型印を刻しているのは訳がありまして…希夷斎の友人で某企業社長の出資で輸入している萌古石。その中で私が検査し不具合品として撥ねた、商品にならない大型板状印材が会社に残っておると。それを使えるなら使ってほしいと送っていただいたので、何とか使って世に出してやりたいと、一生懸命刻しています。砂釘の入っている部分は彫り抜いたり、文字をら避れば十分に印に出来ます。瓦礫放光とはいきませんが、作ってみればそれなりに作品になったりするものです。

この「萬壽無彊」印は、元代から明代まで長く続いた大型官印の様式を取り入れて刻したものです。文字は畳篆と言われる幾層にも折り畳んだような直線的な篆書体が特徴で、太い枠の中に等分間で配置され、非常に荘厳な雰囲気を醸しだします。元代と清代はそれぞれモンゴル人、満州人の支配した王朝ですから、この様式にパスパ文字や満州文字が併記されます。
この印は明代の漢字のみの官印を摸倣して作りました。

このようにすべての文字を精緻に等分割して布字するのは、感覚だけに頼ってできるような代物ではなく、四字各々の最大公約数的な値をあらかじめ出しておき、それらに従って折り畳み数をできるだけ合わせて、縦横全体の畳数が決まったら印面にその数だけ線を引いて升目を作ります。そこに文字を重ね合わせていくという算術的な方法を用いたりします。別に誰に教わったわけでもありませんが、何度かチャレンジしていって多分この方法が一番確実だなと思った次第。
この類の印は大型印でも昨今の公募展などには一切見ない様式ですね。多分激しくメンドクサイのと、印影にメリハリが付かず全く目立たないからでしょうw
でも、明治、大正、昭和初期の巨大な印人たちは結構手掛けているんですね、こういう印を。
とくに関野香雲のこの手の印は見事です。

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印頭には、中央に小篆で萬壽無彊を陽文で配置し、両脇に曹全碑系の隷書で落款を施しました。
それにしても萌古石は見た目は良くないですが、ハネものですらかなり安定感があり、欠き飛ばしや、割れなどほとんどなく、微に入り細に入る表現が可能な良材だと思います(^^♪
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2017/4/11  18:24

笑而不答  篆刻

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李白詩「山中問答」です。

問余何意棲碧山。笑而不答心自閑。
桃花流水杳然去。別有天地非人間。

余に問う何の意あってか碧山に棲むと
笑って答えず心自ずから閑なり
桃花流水は杳然として去る
別に天地の人間に非らざる有り

李白さんよいったいどういうつもりでこんな山奥に住んでんの?

「なはは( ´∀` )。どうしてかねぇ、うはははは…」
「まぁこういう大自然の中に暮らしているとのどかな気分になれるのよ。あたしゃ都会暮らしはまっぴらごめんだよ」
桃の花びらが遥か遠く川面に流れ去っていくように、ここならば何もわずらわされることなく過ごせる。ここには都会の生活にはない別天地があるのさ(^^♪

てなところでしょうか。
まるで私希夷斎が詠ってるような詩ですねw
ここ吾野の山中には山桜が咲きかけていますが、それより一足早く桃の花が艶やかなピンク色の花を渓流に散らせています。この源風景こそが幸福そのものです。
この詩は、私の大好きな陶淵明の桃花源記にも通ずる、味わい深い詩です。
都心部で開催する個展に似つかわしいものではないでしょうが、出陳いたしたいと考え刻しました。6.5cm角に「笑而不答」の四文字を、極めて凡庸に印篆でいれました。
印頭に全詩を北魏墓誌銘風に。
公募展にも出てきそうな様式で私にしては珍しいですねw

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