2022/1/16

BLACK WIDOWが毒を盛られた、1982年のDAREDEVIL 187号、188号  アメコミ タイムマシーン

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Frank Miller時代のDAREDEVIL(“DD”)探求の旅はまだ続く。今回は187号、188号のレビュー。

筋書をその Miller、画をKlaus Jansonがそれぞれ担当。添付画像は188号の表紙。Millerの作品。187号の表紙はシンプル過ぎてつまらないので、消去法でこちらを選んだ。BLACK WIDOW (“BW”)の柔らかい外見が非常に良い。

粗筋から。一週間前に浴びた放射線の影響からか、ただでさえ敏感な知覚がさらに過敏になり、ちょっとした周りの音や臭い押し潰されそうなDD。それを制御する術を知るStickの助力を得ようとする。一方Handの忍者に毒を盛られたBWはDDの行方を追う。

気に入ったシーンや台詞を紹介。187号で一番良いのは、いつもと違って調子の出ないDDに気が付き悪人が彼に反撃する。そんな彼を助けたタクシーの運転手。名前もわからないが、乗せていた客を降ろしてまで、DDに手を貸す姿勢に心動かされる。

この時代のNick Furyは白人というのも知ってはいるが、今じゃ違和感がある。凄いなMarvel Cinematic Universeの力は。そのNickがBWの病魔を告知しようとする表情が良い。

安酒場の店主がDDに店を無茶苦茶にされなかったとほっと息を継ぐ。だが、悪人にぼこぼこにされたDDが店から道路に放り出され、店の窓が壊される。このシーンは可哀そうなのだが、面白い。

188号。この号で一番印象に残るのは、Millerの描いた1ページ目のデザインとJansonが描いた完成された画とを比較できる粋な計らい。Millerと比べ名のしれてなかったJansonを読者に印象付ける意図。どっちの画も良いな。

SHIELDがBWを助けるべく手を差し伸べるがそれを拒んだ彼女の台詞。”I’ll find my own way out of this.” 彼女らしいカッチョより台詞。

もう一つ紹介するのはStickの台詞。”If only his (DDのこと) head wasn’t such a snake pit.” 最期のsnake pitは混乱って訳が一番ピッタリくるかな。 DDを助けようとするStickが頑なにタンクの中に閉じ籠り外に出ることを拒む彼を批判しているもの。面白い表現で好き。

さて、4人の命を犠牲にして蘇らせた伝説の忍者Kirigiがアッサリと仕留められたのはなぜなのか。それとも死んだのはKirigiではないのか。次号も既に買ってあるので読むのが楽しみ。

Kirigiは桐木、それとも切木か。


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2021/12/26

Neal Adamsの表紙がカッチョ良い、1970年のTHOR 179号〜181号  アメコミ タイムマシーン

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地球に逃げ延びたLokiの罠に落ちたTHORの話を読み終えたので早速レビュー。1970年に出版されたTHOR179号〜181号。

筋書をStan Lee、179号の画をJack Kirby、インクをVince Colleta、180号、181号の画をNeal AdamsがインクをJoe Sinnotがそれぞれ担当。添付画像はNeal Adamsが描いた180号の表紙。この表紙は光文社版Mighty THORの2号の表紙に採用されたもの。日本語版のこの単行本に今回紹介する話は載っていなかった。Adamsの画を載せて欲しいというその当時の読者の要望が多かったと察するに余りある。しかし、編集側の載せたい話は別にあるわけで、妥協の産物か。

続いて粗筋。Lokiは魔術師に作らせたマスクを使い、THORと自分自身の顔を入れ替える。BalderとSif はTHORの危機を察知し地球に向かった。Lokiは地球で暴れまくる一方、THORはOdinの手によってMephistoの支配する世界に追放される。

次に気に入ったシーン、台詞等を紹介。まずは最初の1ページ。丸々1ページを使ったSplash Page、THOR率いるAsgard軍の凱旋シーン。Asgardの石の門がそもそも芸術。その下に小さいTHORの軍団が行進している。ダイナミックな画を得意とするKirbyはこういう細かな細工も上手だ。

Lokiの顔のTHORがLokiの魔術を使い、ビルの電飾看板から電気を引き出し、Balderに放ったシーンは179号の中で一番迫力がある。Balderは気を失うのだが、息を吹き返した後の彼の台詞。”Loki would have slain and fled.”ロキだったらBalderを殺して逃げるはずだ。ここで、THORは罠にかかり顔を入れ替えられたという話がマンザラ嘘でないことに気付く。物語の序章としてはまずまずか。

180号でいきなり画がAdamsに代わるのは、ちょうどKirbyがMarvelに不満を持ち辞めた時期だからか。Adamsが立派なのはKirbyが地固めしたAsgardの景観やOdinら住人の衣装を忠実に守っているところ。SifなんかはAdamsが描いた方が素晴らしかったりする。あとMephistoなんかもAdamsが描いたからこその素晴らしさだ。

THOR の姿をしたLokiの台詞。”Whatever I may do, the blame will fall on THOR.”この台詞は後半のページの予言となってしまうのが印象的。しかし、Odin。全能の神でありながら、Lokiの姿をしたTHORの真の姿を見破られないとは…。一方Mephistoはしっかりと本来の姿を見破れるのだから笑ってしまう。

181号での解決篇は何か不思議な展開。まずは、Mephistoを破った技。自分自身の身体を小さくする魔法によって、魂がより鮮明に見えるらしい。THORの魂はMephistoは手に負えないらしい。この魂ってやつ西洋的でオイラの理解を超えている。

Lokiと戦闘中のBalderの台詞。”Loki hath stolen the power...中略 The skill is THOR’s and not thine!” こういう話の時不満なのは、相手の力を奪ったら始めから自分のもののように使えちゃう話ってよくあるけど、それは違うよねって冷めちゃう。今回はその逆。

次にTHORの力を持ったLokiを打ち負かした技。これは初期のTHORの設定を踏襲している点で興味深い。Mjolnirを手放して60秒経過するとLokiは本来の姿に戻り、Lokiの姿をしたTHORはDr. Blakeの姿に戻る。成程ね。こちらの方が納得感ある。

一つ一つの台詞を追うというより、話の展開そのものに気が行ってしまった。山あり谷ありで面白く、三話完結のこのArcを非常に楽しめた。

前述のようにKirbyは、相当不満が溜まっていた時期でもありながら、画の品質は非常に高かった。
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2021/12/12

コミックブックならではの表現方法が効果的、1982年のDAREDEVIL 185号、186号  アメコミ タイムマシーン

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この本が発売された1982年当時はX-MENを中心に買っていたのでDAREDEVIL(“DD”)まで手が出なかったけど、買っておけば良かったなとFrank Miller時代のDDを買い漁りながら後悔。今回は185号、186号をレビュー。

筋書をFrank Miller、画をKlaus Jansonがそれぞれ担当。添付画像は186号の表紙。Millerの作品。デザインが素敵だな。この当時はSienkiewiczも非常に良い表紙を描いていたが、コミックブックの表紙という意味ではMillerのデザインも非常に良い。

粗筋から。185号。DDの正体Matt Murdockの恋人Heatherが所有する会社の役員が爆弾を製造した。彼女はMattではなく同僚のFoggy Nelsonに助けを乞う。186号ではMattは検事局がその会社を訴追する手助けをする。

次に気に入ったシーンや台詞を順不同で。185号から。Foggyを頼るHeatherの気持ち。結局Mattは彼女と付き合いながらHeatherに家業を辞めさせることしか考えてないように彼女には見えるからなんだね。また彼女に正体を知らせていないし関係は浅い。

Mattは最初の1ページで彼の能力を説明している。その後はFoggyの主役回。その中でちょっと気になったのが、彼は聴覚だけでなくて、嗅覚や味覚も人並み外れていることが書かれている。自らをCrimefighterと名乗っているが、料理人になっても良かったんじゃないか。

Foggyが胡散臭い連中の集まる場所で、聴き込みをしている時、腕力自慢の男から言われた言葉とFoggyの返事(途中)。”Hey your shoes untied.” “But I’m wearing loaf…(ローファーと言おうとした。)”下を向かせてアッパーカットを仕掛ける手口。子供の頃こんな悪戯が流行ったな。(勿論アッパーカットはしないが。)

Turkなるヤクザに慕われ付き纏われるが、彼を飛行機に乗せてシカゴまで飛ばしちゃうラストは面白い。頼りない彼ではあるが、案外周りに喧伝していたようにタフガイなのかもしれない。

このTurk、186号ではStiltmanのスーツを奪っちゃう。盗まれたスーツの件を警察に届けたのも笑えるが、彼が我を忘れて自分自身のスーツの弱点をDDに教えちゃったのはもっと面白い。

KingpinがTurkに厳しい言葉を投げた。”You are an idiot.” I don’t employ idiots.” この言葉が後半の結論に繋がる。

見開き2ページ8コマで、FoggyがHeatherの会社の訴追準備を進めるMattを怒るシーン。Foggyの声がドンドン大きくなる様をフォントを大きくしていくことで表現したのは効果的だな。コミックブックならではだ。
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2021/11/3

使っている表紙逆じゃない?1968年のTHOR 156号 157号  アメコミ タイムマシーン

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先々月紹介したMangog篇の続きを読み終えたので早速レビュー。1968年に出版されたTHOR156号、157号。

筋書をStan Lee、画をJack Kirby、インクをVince Colletaがそれぞれ担当。添付画像はKirbyの描いた156号の表紙。Balder、Worriers of Three、THOR、Sif、RecorderがOdin Swordの前に勢ぞろいの図。これは良いね。157号の表紙はMangogの腕がTHORを掴んでいる図。実際の話を当てはめるとこちらの方が156号の話に繋がっていて、156号の表紙は157号の話と繋がっている。Marvelは2つの表紙を取り違えたんじゃないかな。

続いて粗筋。MangogがAsgardに近づいている。THOR、Worriers of Threeが彼を止めようとするが、何十億もの異星人の力が宿ったMangogに歯が立たない。こいつがOdin Swordを握ると世界の破滅に繋がる。

1ページ丸々使ったSplash Page。156号ではLoki、157号ではBalder他Asgardの戦士たちが馬を進める姿が描かれている。どちらも凄く良いな。まさにKirbyの力強い筆が存分に発揮された凄いページ。またもや眼福。

残念なのは彩色がそれ程良くない点か。

逃げようとするVolstaggに対する Mangogの台詞とそれに対する返答。”Come back thou timorous one.” “Timorous I with the heart of lion?” timorousは自信を失った状態。Vostagg逃亡を図っても口では勇ましいことを言う。楽しいね。

Balderを虜にしているNornheimの女王KanillaがBalder何故殺そうとするのかという問いに対する台詞。”The love of Kanilla is a selfish love, brave Balder. If thou wilt not be mine, then none shall have thee.” 彼を独り占めにしようと目論む彼女の恋は確かに我儘かもしれないが、恋とはえてしてそんなもの。

勇ましいBalder率いるAsgardの戦士だが、Mangogの力の前にボーリングのピンのようにはね飛ばされるシーンも良いな。

Odinsleep中のOdinが最後はMangogと彼と同類の異星人たちにかけられた魔法を解いて大団円となるわけだが、この辺は何か如何にも神話っぽくて面白いな。

最終ページでは、”Dum Sprio Spero”なるラテン語が付されている。生きている限りは希望があるという意味らしい。自分の覚書。「これ覚えておこう。」
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2021/10/10

Electraの死、1982年のDAREDEVIL181号、182号  アメコミ タイムマシーン

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Frank Miller時代のDAREDEVIL(“DD”)、しかもElectraの最期の号を取り上げた181号、182号をレビュー。181号は高値で売られていて仕方なく2019年に再版されたFacsimile Editionというものを取得した。非常に紙質が良くてしかも紙の厚さが通常のコミックブックより厚い。1982年当時の定価は$1.00。40年後には$4.99。物価は5倍だ。


筋書と画をFrank Miller、画の仕上げをKlaus Jansonがそれぞれ担当。添付画像はへそ曲がりなので、182号のものを添付。Millerの作品。DDの正体Matt Murdockの気持ちを表現したこの表紙の方が断然良い。

まずは粗筋から。刑務所から脱獄したBullseye。狙うは宿敵DDの命。彼はその前にKingpinの殺し屋の座を奪ったElectraの命を狙う。182号ではElectraの死を納得できないMattの常軌を逸した行動。半分はPUNISHERが脱獄してKingpinの麻薬取引を止める話。

気に入ったシーンや台詞を書いていく。181号前半のBullseyeの並々ならぬDDへの恨み節が可笑しくもあるな。”You’ve hurt me. You ruined my reputation. That’s not the worst of it. (中略)You saved my life.” 肉体的に傷付けられたり、評判を貶められたりしたことより、彼のプライドを傷付付けられたことが、DDへの恨みの本源。

Millerの画は上手いのかそうでないのか時々わからなくなる。だけど、動作の連続を描く力は凄いな。前半のDDのトレーニングシーンやElectraとBullseye、DDとBullseyeとの戦闘シーンは芸術だ。それと影の使い方だな。「必殺シリーズ」に匹敵する。182号でも居ても立っても居られず、Electraが生きている証を探しに行くDDの描写なんかは凄く良い。

Mattの相棒NelsonがElectraに狙われると知り、Mattのことも調べ尽したBullseyeの台詞。”I start thinking about how much he (Matt) look like you (DD).” 凄いね。Bullseye.

ちょっといただけない点。その後彼はMattがDDの正体であると知り、それをKingpinに伝えたこと。オイラだったらそんなこと誰にも喋らない。たとえKingpinにも。そんな誰も知らない情報は、後々何に使えるかわからないお宝だからだ。

182号良かったのはDDがKingpinの招集した会議の場に現れElectraの所在を聞くシーン。Kingpinの心臓の動きを聞き、無駄骨だったことを悟るところかな。それでも諦めない辺りは、DDが人間であるが故か。

DDが去った後のKingpinの台詞。”One man I feared might prove an obstacle is off chasing phantoms.” 冷静なKingpinらしい。そして何やら憐憫の情まで感じられる。

最後にはElectraの墓までMattは暴くわけだが、そこにFoggyが現れるシーンも良いな。友達思いなんだよね。

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2021/9/12

祝生誕100周年のJack Kirby、1968年のTHOR 154号 155号  アメコミ タイムマシーン

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昔のTHORを読みたくなってMycomicbookshop.com、Milehighから手に入れた1968年に出版されたTHOR154号、155号をレビュー。もうちょっと待てばMilehighの60%引きセールを使えたのに残念。アメリカでは昔のコミックブックが結構引っ張りダコらしいので、ここまで割り引くとは思わなかった。

筋書をStan Lee、画をJack Kirby、インクをVince Colletaがそれぞれ担当。

Kirbyは8月で生きていたら100歳らしい。今読み返してみるとAsgardの人々が細かく描かれていて感心する。それでいて月に1度出版されて、かつ他の作品も描いている可能性があるんだよな。この時代のKirbyの画はアクションの始まりと終わりの間にコマがない。テンポが速い気がするね。もう一つ、155号の1ページ目、1ページを使ってTHORが描かれている所謂Splash PageはKirbyの力が存分に発揮されている良いページだな。眼福。

添付画像はKirbyの描いた154号の表紙。彩色が単調なのが玉に瑕だが、THORの背景に描かれているのものは、古代エジプトの絵巻もののようだ。

粗筋から。邪神Lokiとの死闘の結果、Sifは大怪我を負い地球の病院に入院。Odinも眠りについている。一方Asgardには新たなる脅威が近づいている。止められるのはTHOR 、Loki、そしてBolder。

154号は何となく時間稼ぎの話が多かった。今のアメコミと変わらん。

その時間稼ぎの話の中で、高校だか大学だかを中退したヒッピー3人組に意見するTHORが面白いな。彼の言葉を借りてこの時代の若者にメッセージを送っていたんだね。言葉は違うけど、スラムダンクの諦めたら試合終了みたいな感じ。

“Let no living being disturb what lies within by order of imperial Odin.”と書かれている忠告を無視して封印を解くトロールのUlik。洋の東西を問わずこういう馬鹿チンが問題を引き起こす。無責任にも逃げ出しちゃうんだよねこいつは。

Ragnalok(神々の黄昏)が軽々しく使われ過ぎなTHOR。今回そのRagnalokを招くのはMangokなる怪物。それが何かカッチョ悪い。牛の顔とHULKの身体みたいなイメージ。しかしえらく強い。山をミサイルで崩して生き埋めにされたのに、意にも介さない。

155号の最後のコマのCliff Hungerは効果的だ。Mangogの3つの爪に首を掴まれ身動きできないTHORの図。

怪我の傷も癒えぬ内にTHORに呼ばれたSIFの台詞。”Whatever awaits us, Sif shall face it with thee.”勇ましいな。ところがだ、いざMangogの元へ一緒に向かうと思いきやTHORはAsgardに置いてっちゃう。そんなんだったら、地球に残しておけば良いのに。

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2021/8/29

Frank Miller節はこの時代既にあった、1982年のDAREDEVIL179号、180号  アメコミ タイムマシーン

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Frank Miller時代のDAREDEVIL(“DD”)をちゃんと読んでみたくて、御用達Mycomicbook.comから取り寄せたDD179号、180号をレビュー。

筋書と画をFrank Miller、画の仕上げをKlaus Jansonがそれぞれ担当。Jansonは彩色も担当している。凄い。見たことあるなと思ったら、1986年にDCから出版されたDark Knight Returnsと印象は変わっていない。DDの方がもう少し荒っぽいか。だけど、その荒っぽさが逆に力強さを強調しているように感じる。添付画像はMillerによるElectraの図。

まずは粗筋から。ニューヨークの市長に立候補したRandolph W Cherryh。彼を裏から支援しているのは暗黒街のボスKingpin。Cherryhの周囲を嗅ぎまわる新聞記者Ben Ulichは命の危険を感じDDに支援を求める。Kingpinが雇った殺し屋ElectraがBenの命を狙う。

いつものように、気に入ったシーンや台詞を書いていく。

まずはDD。特殊な放射性同位体を浴びた彼は五感が鋭い。それに加えて結構力も強いこと良いことがわかる。鍛えているのだろうが。400ポンド(181 kg)のバーベルを軽々と持ち上げている。胸の筋肉で上げているのならまだしも両腕だけで持ち上げそしてそれを投げている。かなりの力だ。

179号で足を怪我したDDだが、そんな彼でも3人の犯罪者を軽々とあしらったり、ワニを無力化したり、180号の最後には下水道の王者を倒してしまうのは凄いな。というより、足が痛くて松葉杖を使って歩いているにも関わらず、悪人を倒しに行くのか?この下水道の民はMorlocksとは違うのか。

CherryhのUlichに対する台詞。(その前に煙草を吸っていたら50歳まで持たないと言った後にね。)”You’ll never make forty-one if you don’t smarten up.” この話は1982年に書かれている。

179号の最終ページがまさにMiller節。暗がりの中で向きを変え逃げようとするUlichがコマ送りで描かれる。そして真ん中のコマでUlichにElectraの投げたサイ突き刺さる。そして、Ulichの後悔とも諦めともつかない台詞があり、完全な暗闇のコマで終わる。綺麗。

しかし、あっさりBenは180号で生きていることがわかる。なんだそれ。

テレビの画面を通じて選挙戦の進捗を説明しているのはもう一つのMiller節。もうこの時期にこの手法を用いているのね。

180号最終ページ。Kingpinの台詞。”But Murdock has a partner..an unimportant man who few will miss and none will defend.” Cherryhが市長となることを防いだDDに対する報復のために、DDの分身Murdockのパートナーを殺そうとしている。流石Kingpin。

181号を手に入れたのだが、まだ到着していないため。続きは来月。

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2021/7/11

米国の移民法に対する抗議、1988年のSpectacular SPIDER-MAN 137号、138号  アメコミ タイムマシーン

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1988年のSpectacular SPIDER-MAN (Spec)、137号と138号についてレビュー。

この話の背景として1986年に制定されたImmigration Reform and Control Actという法律がる。不法移民と知って雇用した場合の罰則や1982年より前に入国した不法移民の合法化が定められている。この話に出て来るMary Jane Watson (“MJ”)の友達Elviraは1982年以降に入国したため常に強制退去と隣合わせの状態。この話昔の話でも米国だけの話でもない。日本人にはピンと来ないかもしれないが、こういう状態の人は沢山日本に住んでいる。つい最近も拘置所で病死したスリランカ人の女性の事件がこの問題を浮き彫りにしている。

筋書をGerry Conway、画をSal Buscemaがそれぞれ担当。Buscemaがインクも入れている。添付画像は137号の表紙を採用。今回の悪人La Tarantulaの画。

粗筋から。Daily Bugle新聞社に働く中米からの逃亡者がLa Tarantulaに殺された。La Tarantulaは同じ中米の国からの別の逃亡者Elviraと彼女の家族の命を狙う。MJからの助けを求める声を受けたPeterはSPIDER-MANとして、Tarantulaに立ち向かう。

気に入ったシーンや台詞等を紹介。137号から。ニューヨークに住む不法移民の少年たちに襲われたPeter。”I don’t know how I got into these things. But I know how to get out.” こう言って覆いかぶさってくる大勢の少年たちの輪から飛び出るシーンは、そのままギャグ漫画で使える。それか昔のアニメね。

137号の最終の方、折角La Tarantulaの一味から命を救った家族が移民局に拘束されてしまう。怒りを隠せないSPIDER-MAN。この話の怒りの矛先が上記の移民法。

最終ページで米国政府の人間と陰で手を組むLa Tarantulaの前にCAPTAIN AMERICAが現れる。次の話が読みたくなるな。ワクワクする。

この当時のCAPはSteve Rogersではない。しかし彼のコスチュームが象徴する精神は変わらない。そして移民局の拘留施設での彼に対する視線は彼が期待したものではなかった。Conwayのこの法律に対する考えがそのまま反映されている話だね。

最初CAPはLa Tarantulaと共闘してSPIDER-MANと戦うが拘留施設での体験や、La Tarantulaの嘘、汚い戦い方を見てそっぽを向く。この辺りは面白いな。あくまでも政府の依頼で動いているのでLa Tarantulaと戦うことまではしないのか。

Elviraは本国に送還されたが、世間の目もあり、本国であまり酷い扱いはされない。また米国でも政治的亡命者として申請が行われる。そんな妥協の産物で物語は終わる。それに対するPeterのコメントと、MJの応えが気が利いているので書いておく。”You have to settle for small victories.” “But It’s the small defeats that break my heart.”

この2話完結の話。長すぎず話も面白いので好き。しかしどうもSpider-senseに対する扱いが違うんじゃないかと思うシーンが2つある。まずは、自分に危険がないはずなのに、コスチュームを着ていないLa TarantulaにSpider-senseが反応する点。もう一つ。確かにCAPに気を取られているとはいえ、La Tarantulaからの攻撃にSpider-senseが反応しない点。都合が良すぎる。

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2021/7/4

映画ロッキーVを見倣って敵を打ち倒せ、1988年のSpectacular SPIDER-MAN 135号、136号  アメコミ タイムマシーン

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Sin-eater篇の最終話1988年のSpectacular SPIDER-MAN (Spec)、135号と136号についてレビュー。

筋書をPeter David、画をSal Buscemaがそれぞれ担当。Buscemaがインクも入れている。添付画像は136号の表紙を採用。135号の表紙はElectroでどうもしまらない。

まずは粗筋。前号でElectroに敗れたSPIDER-MAN。動けない彼を救ったのはSin-eaterことStan Carter。後に彼が出演したテレビのワイドショーにElectroが出現。しかしSPIDER-MANはElectroに立ち向かうことができない。

気に入ったシーンや台詞等を紹介。135号。SPIDER-MANを助けたCarterの手にした銃を手放すよう促したSPIDER-MANに対するCarterの台詞。”You want this gun? Go to Toy’s r’ us.” 彼が手にした銃は玩具の銃。Toy’s r’ usは当然玩具店というオチ。このチェーンは米国では破産したんじゃなかったかな。こんな表現は既に昔のものになってしまった。

Electroがニューヨークの地下鉄の線路の上を滑っていく様は結構カッチョ良い。

135号の最終ページでは、ワイドショーの観客がElectroの電撃で怪我をするのを恐れ手出しができないSPIDER-MAN。彼に唾を吐いて退出するElectro。2号続いてElectroの勝利。ファンとしては見ていて辛い。

Peterを思い遣るMary Janeのシーンは、135号、136号に溢れている。彼女のユーモアが顕著なのは、Electroに敗れた記事を切り抜いた新聞をPeterに渡すところかな。Buscemaの画がここでも冴えている。

Peterは彼のパンチのお陰でCarterが吃音と歩行に支障が出ていることに責任を感じている。そんな彼にMJは映画ロッキーVを例えて心理的な障害物に打ち勝つようアドバイスする。(ロッキーV観てないんだよな。)

PeterはロッキーVに活路を見出すことに対し、”That’s like learning opera from Twisted Sister.”と評するのだが、本当にその作戦を後に使うことになる。Twister Sisterは80年代に活躍したハードロックバンド。つい最近ボーカルのDee SnyderがNetflixのドラマCobra Kaiに出演したのには驚いた。そして楽しかった。

心理的な障害物を指してa demonと言っているのも面白い。Carterは彼の別人格Sin-eaterを同じように a demonと言っているのが上手い対比だね。

最後にCarterはその悪魔を祓うために取った行動が興味深い。Davidの話の進め方は唸らせる。

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2021/6/6

Peter David節炸裂、1987年のSpectacular SPIDER-MAN 130号、134号  アメコミ タイムマシーン

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1987年のSpectacular SPIDER-MAN (Spec)、130号と134号についてレビュー。

130号の筋書きをBob Layton、画をJim Fern、134号の筋書をPeter David、画をSal Buscema、両号のインクをVince Collettaがそれぞれ担当。添付画像は130号の表紙を採用。134号の表紙があまりに地味なので消去法。Fernによるもの。この表紙は嘘を言っていないな。

粗筋から。Harry Osbornの命と引き換えに、SPIDER-MANにKingpinの帳簿を盗むよう強要するHobgoblin。帳簿は欧州のギャングが保有している。Kingpinも奪回すべく動く。134号では、Sin-eaterことStanley Carterが釈放された。彼に会ってムシャクシャは消えないSPIDER-MANがElectroと対決。

気に入ったシーンや台詞等を紹介。130号から。帳簿の行方を探す機械をSPIDER-MANに渡した後のHobgoblinの台詞。”Harry Osborn will share your fate.” HobgoblinはSPIDER-MANとHarryに同じ毒薬を盛ったわけだが、これがどうしても腑に落ちない。Harryはともかく、SPIDER-MANは手袋をしているわけで、直接この機械を触っていない。

その後にSPIDER-MANはLizardの正体Curt Connorsの元に向かう。SPIDER-MANは何か困るとすぐ彼を当てにするね。

最後のページで、SPIDER-MANがHobgoblinに逃げられてしまう。それを見たKingpinの台詞。”You let him escape, didn’t you? Amateur.” KingpinがSPIDER-MANを見下していて結構楽しい。

続いて134号。2ページを使ってMary Janeが自分自身をカメラで撮影するシーンがある。カメラは固定されているので、背景は同じで全11コマ。最初は彼女しかいないのだが、Peterが後から近付いてきて彼女をカメラのフレーム外へと持ち上げるコマで終わる。本題とは関係ないが、Salの画力が冴えている良いシーン。

釈放されたSin-eaterを脅して犯罪を防ごうとするPeterに対するMJの台詞。”What. Are you some caped crusader?” BATMANを指しているのは明白で、そのちょっと後にBATMANの固有名詞も登場する。

DCの親会社Werner Brothersが制作するSupernaturalにもSPIDER-MANに関する言及は結構あり、こういうのは出版社の枠を超えた表現は結構ありなんだとあらためて感じた。

今まで苦汁を飲まされてきたSPIDER-MANに初戦で勝利を収めたElectroの笑みが可愛い。”You beat me in the past. 中略 Now we’re talking current events.” 電流のという意味と現在のという意味のcurrentを掛けた洒落。Peter David節だね。

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