2012/5/19

DARK TOWER その47(今回は小説版)  小説

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今回は、アメコミ版ではなく、小説版DARK TOWER (以下"DT”)の新作をゴールデンウィーク中に読み終えたので、レビュー。

今回の話The Wind Through The Keyholeは、一度は終了したDTシリーズを尊敬する作家Stephen Kingが、再び手掛けたもの。第8作目にあたる。話の順番としては4冊目のWizard of Glassと5冊目のWolves of Callaの間となる。King自身がこの作品を4.5と言っているのは、物語の順番が理由だ。

話の構成は主人公Rolandとその一行が大嵐(Starkblast)に襲われる話。そして、嵐から避難している間の時間つぶしのため、Rolandが旅の仲間達に話す昔話とその話の中の劇中劇。3つの話がサンドイッチになっている。

DTファンとしては、結構読み応えがある良い作品だと思う。5作目はともかく、6冊目、7冊目にもの足りなさを感じたファンもいると思うが、これはそれらとは違う。4作目の続きと言ってもおかしくない、温かい話だ。

まず、好きなところをアメコミのレビューのように気ままに列挙。昔話の中では、小説ではあまり活躍の場がない、Rolandの父親Stevenの活躍や、Rolandの仲間Jamie Decurryの登場シーンがある。Rolandの青春時代の頃の話はアメコミ版を含め大好きなのだが、Kingはそれらを再現してくれた。ありがたい。冒頭の謝辞は、アメコミ版の筋書きを考えているRobin FurthとMarvel Comicsのスタッフ宛となっているが、アメコミ版がなければ、生まれなかった作品なのかもしれない。

Rolandの昔話は、シェイプシフター(クマとかトラとかにどんどん変身していく化け物だ)退治が主軸。犯人探しを含め、手に汗を握る内容。さすがKing。しかし、この話の最大の見せ場は、Rolandの母親のRolandへの手紙。そしてその母親の願いに対するRolandの返事だ。涙がぐっと出て来たね。

Kingのファンとしては、どうして犯人がシェイプシフターになったかってところも注目だ。Desperationでも出てくる古代の神だかなんだかが1枚噛んでるんだよね。

それから、劇中劇の方は、Timという少年が、目が見えなくなった実の母親を助ける話。この話も良い。要所要所にDTシリーズでお馴染みの小道具が出てくる。

さて、どうもわからないのは、ここに出てくるMaerlyn(アーサー王の話に出てくる魔法使いMarlinがモデル。)が良い魔法使いなのか、悪い魔法使いなのかってこと。アメコミ版DTのRobinの解説では彼は、Rolandを虜にしたPink Grapefruitの創造に関わっていたはずなのだが。

それから、納得いかないのはMan in Black(”MiB”)の存在。Rolandの母親を陥れ、Rolandの故郷Gileadを滅ぼす手伝いをした悪の魔法使いだ。もしRolandがこの昔話を母親から聞かされたのだとしたら、母親だって、MiBが悪で、自分を騙しているってことぐらいわかりそうなものなのに。いや、勘の良いRolandであれば、父親に使える魔法使いのMiBがこの昔話に出てくる魔法使いと同一人物だってわかるでしょう。
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2010/5/3

Robert B Parkerを悼む  小説

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ちょっと前の日経に大好きな作家Robert B Parkerの弔文記事が載っていた。亡くなったことを知ったのは、それより数日前。亡くなったのは1月18日なので、亡くなってから2ヶ月ぐらい経過して知ったことになる。彼の作品をほぼ独占して出版している早川書房のサイトを検索して知った、追悼出版の「勇気の季節」を読み終えた。元々この作品の対象年齢はティーンエイジらしく男女の関係を書いているシーンはあまりない。

今回のテーマは、男女のパートナーとしての「信頼」や、世の中の目に見えている部分や評判の裏にある実態は、目に見えている部分や評判とは、ちょっと違うこともあるってことかな。そういうことを普通に書いたら、説教臭くなるんだけど、友達の死の原因を探っていく主人公Terryとその彼女Abbey(本人達は彼氏、彼女であることを否定しているけどね)の会話を通して伝えられているので、そんな説教臭さ感じはないな。

彼の作品で有名なのは私立探偵のSpenserシリーズ。(普通Spencerって苗字が多いが、cじゃなくてsを使う。イギリスの詩人と同じようにね。)初期の作品で、すばらしい話は、「初秋」。両親に見離されたPaulってやるきがぜんぜんない少年をSpenserが、自立させる話。何度読んでも泣かせる。Spenserが撃たれて復帰するまでを描いた作品や親友のHawkが撃たれた話(両方とも書名を忘れた)も好きだな。賛否両論あるみたいだけど、銃弾が飛び交いまくる「キャッツキルの鷲」も良い。後期の彼の作品は妙にあっさりし過ぎちゃって、ちょっともの足りなさも残るけどね。翻ってこの作品もちょっとその「もの足りなさ」感は否めないけど、主人公2人の爽やかな会話がそれを打ち消すね。後味が良い。

それにしても彼の死は残念。もっと良い作品を書き続けて欲しかったな。
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タグ: Spenser



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