なんにもすることがない木曜の夜、大好きな山下達郎の「SPACY」を聴いてると、すっかりセンチメンタルな回想モードに。
それはまだ僕が若く、ハマチの面子とも知り合ってなかった頃。
当時の僕は弾き語りピン芸人として、ライブに出させてもらってた。
25歳になるまで人前で演奏するということをやったことのない自分には、ステージからお客さんの様子がよく分かるのが驚きであるのと同時に悩みの種だった。
おしゃべりしてるひとが気になる。
いちばん聴いてもらいたい部分で「わはははっ!」と爆笑する声。
あ、こら外に出ていくんじゃない。
つい気がそれる。トチる。不本意な演奏。落ち込む。
そもそも自分は稚拙なオリジナル曲中心で、MCもヘタ、お客さんを強引に巻き込むようなコール&レスポンスみたいなのも苦手だった。カバーをやってもエンケンだのフィッシュマンズだのおよそポピュラーでない曲ばかりやるものだから(ふふっ青いのうw)お客さんの反応もイマイチ。
なんだかなあと悩む日々。だんだん観客恐怖症の兆候も・・・。
そのことを某中古レコードショップを経営するSさん(笑)に愚痴ったことがあった。
するとSさんはぽつり、こう言った。
「みよしくん、お客さんは選べないんよ。」
嗚呼!目からヤニが、いやウロコが!
「そうか、マニアックなこだわりだけではダメだ。なんとかお客さんを振り向かせるような曲を書いてみよう」
そう思って「忍者居酒屋まきびし」という曲を友人と作ったのだった。
もちろんそんなに一直線に出来上がったものではなく、こういうの作ってもええんかな?なんて揺れるー思いー♪になったりもしたけど。
おかげさまで「忍者居酒屋」は結構ウケた。
同時期にボイン倶楽部や巨根トライアングルと知り合ったりして、フルベースレーベルの活動へと動き出していった。
その結果レーベルの活動のほうが忙しくなり、ピン芸人としての自分は自然消滅してしまったが、あのときのSさんの一言で溜まってたものが抜けた(あ、いやらしい言い方)ところがあり、本当に感謝している。
そもそも自分の理想と周りの反応が一致するなんてことは、滅多にあるものじゃないんです。
それを当時の自分は分かってなかったとです!反省。
それから紆余曲折ありまして、現在はお客さんを過剰に意識することはなくなりました。音楽はお酒の添え物(by細野晴臣)として楽しんでもらえたらそれだけで何よりです。
というか、ハマチではアナログシンセなる面倒な楽器をあたふた操作しなければならないので、周りを気にする暇がなくなったから・・・なんて、言わないよ絶対〜♪(←せめて自分の音は気にしろっ!)
それではまた。

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