はやいものでもう10月、10月といえば長崎市民も毎年楽しみにしている「長崎くんち」があります。そして本日3日は長崎くんちの序章ともいえる「庭見世」があり、4日には「人数揃い」そして、7日から9日までの本番と長崎はくんち一色に染まっていきます。
今年は私がブログを書き始めた2006年から7年目、最初に書いた長崎くんちの記事が今年の踊り町と同じでした。あれから7年も経ったのかとつい物思いにふけってしまいました。
今年の踊町も前回と同じ6町。桶屋町「本踊」万屋町「鯨の潮吹き」栄町「阿蘭陀万歳」本石灰町「御朱印船」船大工町「川船」丸山町「本踊」です。では、各踊町の説明をしていきましょう。
第一番 桶屋町
桶屋町は、その昔、桶職人が多く居住して発展した町で、現在も昔の町界のままである。
傘鉾は、朱塗りの台の上に白象と金色の宮殿を配し象の両脇に時計を彫刻し、宮殿内にブロンズ製のオランダ人の打鐘の像を置く。からくり仕掛けの人形は珍しく、オランダ人は時鐘を鳴らし、象は耳を動かし鼻を曲げる。垂は「繻子地に下部に花籠模様を織出し上部に三社紋刺繍」である。安永元年(1772)3月製作で、長崎市指定有形文化財に指定されている。演し物は、本踊りで、今年は神官と巫女に扮した踊り子が神事の舞を厳かに披露し、その後、大祭で賑わう街の様子を表現する「錦照弥栄宇舞社(にしきてるいやさかえませまいのにわ)」を奉納する。今年は初めて天狗が登場する。
第二番 万屋町
万屋町は、始めの頃は、鍛冶屋町と称したが、寛文12年本鍛冶屋町となり、延宝6年萬屋町となる。
傘鉾は、長崎市指定有形文化財の指定を受けており、垂の模様は、長崎刺繍の魚づくしで、飾は、角樽二組重ね鰹節七五三連である。
出し物は、「鯨の潮吹き」で、安永7年より奉納されている伝統ある出し物である。
鯨の潮吹きは唐津呼子浦の鯨組頭中尾甚六が伝えたとされ、約二百三十年の歴史がある。長崎古来の食文化から生まれた出し物である。素材は昔ながらの竹を使用している。7日の前日は、大海原を泳ぐ鯨であるが、9日の後日には網が掛けられ逃げ惑う鯨が演出され、また囃子方が乗る納屋船が後日には雪化粧するという細かな演出も見物である。
第三番 栄町
栄町は昭和38年に袋町の全部、本紺屋町の一部、酒屋町の一部が合併してできた町である。
傘鉾は、四季模様を大和絵で書いた貝二組に紅葉を配したもので、垂は塩瀬羽二重金にて三社の紋である。
出し物は、阿蘭陀萬歳である。「阿蘭陀萬歳」は日本に漂着した二人のオランダ人が生計を立てるために、万才をしながら正月のお祝いに回った言い伝えを基にした踊りで、オランダ人をコミカルに演じ、見ていて楽しくなる出し物である。今年は、主役である「万蔵」「才蔵」に初めて男性二人が演じることで話題となっている。
第四番 本石灰町
本石灰町は、油を精製する石灰を扱うところが集まった町で、最初「石灰町」称されていたが油屋町を挟んで、今石灰町、新石灰町が出来たので「本石灰町」となった。諏訪三神の一柱である住吉明神は、この町の尾崎に在った。
傘鉾は赤染め潮瀬羽二重にアニオー行列を刺繍で再現房は組紐平緒に玉を鏤(ちりば)め四本で東西南北を表す。飾(ダシ)は、御朱印船主荒木宗太郎が豊臣秀吉より初めて御朱印状を受けたことから秀吉が戦いに向かう際使用した印千成瓢箪に因み大小の瓢箪一対を台上に載せる。又正面に朱印状後面に安南(ベトナム)側から出された交易の保証書金札を配す。
出し物は、「御朱印船」で、御朱印船主荒木宗太郎は安南国国王の信篤く、王族の娘を妻に迎えて帰国した。その時の華麗な行列のさまを、のちに本石灰町居住の荒木家から諏訪神事の演じ物に出した。世にこれをアニオーさんの行列と称した。本石灰町ではこれを昭和45年に御朱印船として復活した。荒木宗太郎は、オランダ東印度会社の社章である丸にアルファベットのVOCを上下逆にして自船じるしとした。今年は従来の龍ばやしに変化を付けた石灰ばやしが取り入れられ、船回しもアレンジされているそうだ。
第五番 船大工町
船大工町は、船の修理場などがあったところから船大工が多く住んでいたのでこの町名になったという。
傘鉾は檜板葺き屋根型の上に、上棟式具で、垂は「蝦夷錦、金襴織出、牡丹唐草地紋に五爪の龍の模様」である。
出し物は、川船である。川船の飾りは、紅葉に白菊である。見所は、子供が扮する船頭の「網打」である。川船は7町が奉納しているが、船大工町の川船は軽快な船回しが特徴である。
第六番 丸山町
江戸の「吉原」、京の「島原」と並び江戸時代の三大花街の一つであった丸山町。小説「長崎ぶらぶら節」の舞台となった町として一躍有名になった町である。町内には、坂本龍馬がつけたと思われる刀傷がある料亭「花月」や長崎検番がある。前回7年前は41年ぶりに参加したことで話題になった。
傘鉾の垂れ模様は、塩瀬羽二重に三社紋金糸縫である。飾は、朱塗の台に金色丸額を配し丸山町の町名を記す。
出し物は、本踊りで今年は一頭の獅子に命が宿り、首を大きく振って荒々しく表現するも、柔らかしく獅子の居眠りを表現する「勢獅子祭祝諏訪社頭(きおいじしまつりをいわうすわのおやしろ)」を奉納する。長崎検番のデビューして1年の新米芸妓の茶々丸さんが出演することで話題になっている。
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待ちに待った25年度長崎くんちもまもなく開幕です。
長崎くんち公式ホームページ
参考資料
長崎くんちの栞(長崎伝統芸能振興会)
平成十八年度 長崎くんちプログラム
長崎くんち 踊町地図(長崎くんち塾)
長崎新聞ホームページ

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