唐沢俊一の単行本デビュー作だというのは読み終わって、後書きで知った。
彼の生家である薬局の話を中心に、日本の社会における薬というもののあれやこれやを教えてくれる内容。
うんちく本は数多いが、単に知識の羅列でなく、本全体を読ませる力のあるうんちく本を書かせたらこのひとは実にうまい。いろいろキャリアを積んだ上でのデビュー作とはいえ、デビュー作でこれというのはさすがというほかない。
それにしても、薬局ひとつとっても奥が深いものなんだなあ。
毎日氏のサイトの日記を楽しみにしている私は、氏の考え方、手法には大いに共感する(などというえらそうなものではないね)……教えられるものがある。
プロフェッショナルなものかきとしてやっていくために必要なもののいくつかは氏の日記を通じて学んだものだ。うまくできているかはわからないが、つい狂信的になりがちな自分を律するのに彼の言葉は大きな指針となった。
と学会の会員としても有名な氏だが、彼のかき口はとんでもな世界に対する愛情にあふれていて、読んでいていい気分になる。そこらあたりも共感するところなのだよな。
この本でも、医薬行政や医療業界の問題点を容赦なく書きだしていながら、悪事を糾弾するような方向には向かわず、そうした世界を興味深く、いっそ楽しいものとして受け止める視点が貫かれている。
うんちく以上に、ものの見方で教わるところが多いのが唐沢著作の特徴だと言えるかもしれない。
3月27日
・久々に眠った
・悪巧み中
・さすがに今日は仕事をしないと

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