そういえば、古本屋で買っていたっけ、と読み出したのだが、予想よりずっと面白くて、止まらなくなってしまった。もっと早くに読んでおけばよかった。
このところ「書く」スイッチより、「読む」スイッチが入っている感じ。
戦士と魔法使い、ふたりの女の冒険を描くヒロイックファンタジーで、『ファファード&グレイマウザー』の女性版と思ってもらったら一番分かりやすいかも。
『スタスキー&ハッチ』が80年代になって『キャグニー&レイシー』になったみたいに、ファンタジーも、ヒーローの役割をヒロインが埋めていっている。
そういう作品だからフェミニズム的な色彩は確実にあるのだけれど、『キャグニー&レイシー』がそうだったように、男社会の中で、ヒロインふたりは彼女たちなりに自由に生きている。そうすると、男中心の社会とぶつかってドラマが生まれる……というシチュエーションはヒーローが主人公だったそれ以前のファンタジーにはなかった要素で、素直に歓迎して楽しむべきところだろう。
基本的にこういう「つよい女性」キャラクターには弱い。
好きなシリーズ作品が〈V.I.ウォーショースキー〉〈紅の勇者オナー・ハリントン〉というくらい弱い。
日本ではしかしこうしたヒロイン像はいまいちはやらず、『美少女戦士セーラームーン』以降確立した「少女が少女のまま戦う」(男勝りとかいうことでない)というヒロイン像が大きな地位を作った。
こちらはこちらですごい発明だと思うのだが、本質的に「美少女戦士」キャラクターは、現実と乖離していることが多いのがちょっと気にはなるのだ。理由なく男の戦士よりも身体能力が優れていたり、恋愛以外で異性(つまり男)の存在が作中でひどく希薄であったり、『女神の誓い』のヒロイン像が、(舞台が架空世界であっても)現実に立ち向かっていく存在なのに、「美少女戦士」型のヒロインたちは、現実に背を向けているように見える。そのせいで物語自体の説得力というか、感情移入度も下がってしまっているように思うのだが……。
そうした理屈はともかく、この『女神の誓い』は面白い。女神の扱いもちょっとカナンっぽいところも好み。
3月30日
・なんか寝てしまった

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